【コラム・玉置晋】日本時間で10月29日の真夜中、太陽で大規模な爆発が起き、人工衛星の観測でX線や放射線が増加したという通知に起こされました。比較的大きな太陽フレア(爆発現象)が発生すると、情報通信研究機構から以下のようなメールを受信できるサービスに登録しているからです。

▽太陽フレアに関する臨時情報(10月29日01時40分JST=日本標準時):10月28日15時35分(UT=世界時)に、太陽面でX1.0フレアが発生しました。SDO(太陽観測)衛星の極端紫外線画像(AIA094)によると、このフレアは活動領域2887(S28W01)で発生したと推定されます。

▽プロトン(太陽からの高エネルギー陽子到来)現象に関する臨時情報(10月29日04時00分JST):GOES(静止気象)衛星の観測によると、静止軌道の10MeV以上のプロトン粒子フラックスは10月28日16時00分(UT)ごろから上昇を始め、28日17時40分(UT)に10PFUを越えて、プロトン現象が発生し、現在も継続中です。この現象は、活動領域2887で28日15時35分(UT)に発生したX1.0フレアに伴うものと推測されます。

情報はどのように伝わるか?

太陽フレアが発生した場所が地球から見て正面だったので、地球周辺に影響を及ぼす可能性があるため、眠い目をこすって、朝イチで僕が働く人工衛星運用現場に伝えられるように情報収集を開始しました。宇宙開発の現場においても、宇宙天気情報は十分に認知されておらず、情報を展開しても「暖簾(のれん)に腕押し」な感はあるのですが、近い将来、この活動実績が重要になるという確信があるので、めげずにやっています。

現在はSNSが普及していて、世界中の人たちの発信情報を見ることができます。太陽フレアの発生直後から、世界中の宇宙天気専門家のみなさんがクイック評価の情報をつぶやきはじめて、それを横目に見ながら、実際の観測データをチェックする作業をしました。

日本では夜中だったので、地上の望遠鏡で「観測できなかった」と悔しがるつぶやきを見て、クスっと笑いながら…。

太陽フレアの発生から4時間が経過した時点で、世界中の宇宙天気専門家や宇宙天気の影響を憂慮する一部の人々は情報収集を開始しましたが、太陽フレアが発生したという情報は一般にはまだ知られていません。これから、太陽フレア情報がどのように人々に伝わるのかを見ていきたいと思います。(宇宙天気防災研究者)