つくば市は20日から、つくばセンター地区活性化協議会(茂木貴志会長)、つくばまちなかデザイン(内山博文社長)と共に、つくばセンタービル(同市吾妻)で「つくまちアート」を開催する。まちなかの公共空間を活用して、アートやサイエンスを感じてもらうための取り組みで、第1弾として物質・材料研究機構(NIMS)の国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA、つくば市並木)によるマテリアルズナノアートの展示とイベントを行う。
会期は8月19日まで。展示会場はつくばセンタービル1階通路に設けられる。
マテリアルズナノアート(MA-NanoArt、マナノアート)は、電子顕微鏡などでしか見えないナノスケール(髪の毛の太さの10万分の1の大きさ)の物質が織りなす形象をとらえアート作品としたもの。WPI-MANAの研究者が普段見ている世界を切り取った。
電子顕微鏡は構造上、単色でしか観察できない装置だが、画像処理技術を駆使してカラー表示を実現している。そのビジュアルがおもしろく、作品として目にする機会が増えているそうだ。
深田直樹さん(MANA主任研究者)の作品はシリコン基板上に成長したゲルマニウムナノワイヤの走査型電子顕微鏡像で、タイトルは「花ひらく Efflorescence」。ナノワイヤと呼ばれる構造を基板垂直方向に一面に形成した際、試料を観察していて撮影できたという。
共に研究グループリーダーを務める川上亘作さん、ヒル・ジョナサンさんは、大豆成分からできた粒子の走査型電子顕微鏡像から「ナノ手毬(てまり)」、「ナノ花」を作品化した。
アートをきっかけにまちなかを回遊してもらうため、アートポストカードラリーも同時に行う。つくば駅周辺の各施設に16種類のアートポストカードを1種類ずつ設置。ポストカード10種類以上を集めると、MANAオリジナルグッズなどがプレゼントされる企画だ。
NIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点は、ナノテクノロジーの新概念「ナノアーキテクトニクス」に基づいて、世界トップレベルの新材料開発の研究を進める国際研究拠点。半導体加工などに用いられるマイクロテクノロジーとは一線を画し、理論やシステム分野における材料開発の新しいパラダイム変換を目指している。(相澤冬樹)
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