つくば市が、敬老大会中止に代わる記念品として定価1000円の「箸とスプーンセット」を70歳以上の高齢者全員に贈るとしていた問題(6月17日付、23日付)で、市は、箸とスプーンを取り止め、1000円のクオカードを贈ることを決めた。今年の敬老の日前後に70歳以上の計約3万7200人全員に郵送する。
箸とスプーンをめぐっては議会から異論が出て、付帯決議が出されていた。市高齢福祉課によると、付帯決議を重く受け止め、再度庁内で検討し、6月29日に贈呈品目の変更を決めたという。市内店舗限定で利用できる地域商品券なども検討したが、敬老の日に間に合わないことから、既成のクオカードとするという。
発送作業については、1000円のクオカードは市が購入し、メッセージや中袋の印刷とクオカードの封入作業などを市内の障害者就労施設に優先的に発注する。ただし市指定の印刷ができる作業所が市内に2カ所程度しかないことから、市は印刷ができる作業所に仕事を委託し、委託作業所から市内の別の作業所に仕事を回してもらうようにするという。
箸とスプーンセットは、6月議会に購入費と包装代約6300万円と郵送代約1300万円の計約7600万円が計上された。しかし今年3月、市は75歳以上に3000円を給付する一般敬老祝金を廃止したばかりであることなどから、議会では、祝金がもらえなくなる高齢者が大半となる中、箸とスプーンで喜ばれるのかなどの意見が出たほか、障害者就労施設への発注をめぐっても受注機会を増やすことにつながるのかなどの疑問が出されていた。
予算は付帯決議を付けた上で可決されたが、6月議会最終日には、川久保皆実氏(つくばチェンジチャレンジ)、橋本佳子氏(共産)、塚本洋二氏(自民党政清クラブ)、小森谷さやか氏(市民ネット)から「欲しいものは人それぞれ」「クオカードや地域商品券が喜ばれる」などの意見が相次いで出されていた。(鈴木宏子)