コロナ禍で生演奏を聴く機会が減る中、つくば市豊里の杜、ギャラリー夢工房で13日、若手ピアニスト2人によるジョイントコンサートが開かれた。午前と午後の2部制で、周辺地域から音楽愛好家やピアノを学ぶ子どもたちなど合計50人ほどが集まり、本格的なクラシックピアノの演奏を間近で味わった。
コンサートを開いたのはつくば市豊里出身の菊池愛奈さんと笠間市出身の森田凪さん。2人とも音大生で、各年代の全国コンクールなどで受賞歴がある。水戸芸術館が開催している演奏会「茨城の名手たち」にも出場している。
演奏は全6曲。2人の連弾によるシューベルトの軍隊行進曲、ブラームスのハンガリー舞曲のほか、ソロでそれぞれショパンのバラードや、ラフマニノフのエチュードなどを披露した。「ショパンは小さいころから慣れ親しんできた一番好きな作曲家。今回は大学でより深く学んだ晩年の作品を選んだ。人の心に届く演奏を目指し、今後も精進していきたい」と菊池さん。「ラフマニノフは寂しげな和声や響きの中で、芯の部分に強く深いメロディが鳴っており、ロシアの大地を感じさせる。今日はお客さんとの距離が近く、アットホームな環境で楽しんでいただけた」と森田さんは話す。

客席の最前列で、奏者の指遣いを食い入るように見ていた田端彩咲さん(沼崎小3年)と茉奏さん(同1年)の姉妹は「腕や指の動きがすごかった。同じピアノでも上手な人が弾くと、全然違う音に聞こえる」などと印象を語った。
午後の部ではサプライズゲストとして、内モンゴル出身の馬頭琴奏者、セーンジャーさんが登場。2人にも馬頭琴を指導する間柄で、7月3日のノバホールでのコンサートでは森田さんがセーンジャーさんの伴奏を務める予定。「今日の演奏は、2人それぞれの性格がよく出ていた」との感想を述べた。

主催者の一人、竹内立子さんは「コロナ禍で大学の授業はオンラインになり、コンサートもなかなかできず、演奏家には不自由な時期。身近な場所で生演奏の機会をつくることができ、多くの方々に来ていただけたことは大きな刺激になった」と、観客に感謝の言葉を述べた。
会場の夢工房は、以前は写真展や陶芸展などギャラリーとしての活動が中心だったが、近隣の人たちとのつながりが広がるにつれ、今ではミニコンサートや勉強会など、コミュニティースペース的な利用が増えているという。セーンジャーさんの馬頭琴教室や、四本恵風さんの書道教室などが定期的に開かれ、竹内さんもピアノ教室の場として活用。「自宅や防音室でのレッスンとは違い、広い空間で、グランドピアノの響きを楽しみながら思いきり弾けるのは最高のぜいたく」と話す。(池田充雄)
問い合わせは電話090・4676・9623(夢工房・塚田さん)。