「絵画の筑波賞」展が5日、つくば展で幕をあげる。20日まで、つくば市二の宮のスタジオ’Sで開催。筑波大学と東京藝術大学の日本画・洋画出身者から出品者を募り、優れた作品に賞を授与し、広く発信する美術賞で、同展実行委員会(野堀喜作代表)が主催する。昨年創設され、今年2回目を迎える。
大賞の城野紗貴さんはじめ作品26点展示
筑波大学(洋画研究室・日本画研究室)と東京藝術大学(油画研究室・日本画研究室)の在学生、卒業生・修了生で、35歳以下の者を対象にしている。今回は、両大学の各研究室からの推薦で計20人の出品が決まり、選考で大賞に城野紗貴さん(筑波大学大学院修了)の作品「Fence」を選ぶなどした。

つくば展の後、6月23日から29日まで池袋展(東京・西武池袋本店6階アート・ギャラリー)を開く。展示総数は26点。各作家の応募作品20点のほか、受賞者には新作の追加出品も認め、6人がこれに応じた。このためホームページには載っていない作品も会場では見ることができる。
同賞は若手作家の優れた作品に賞を授与し、買い上げて支援するとともに、展覧会を開くことで発信もサポートしようというもの。筑波銀行や関彰商事など、主につくば市内の民間企業や個人からの協賛金を基に運営されている。

実行委員の一人、筑波大学芸術系教授の仏山輝美さんによれば、「国や公共団体の主催ではなく、ツクバ計画の野堀喜作代表ら地域企業の方々が予算を出し創設してくださった、かつてない貴重な機会。若い人の努力が報われ、創作活動の大きな励みになる。未来へ向けて根付かせていきたい」という。
大賞に選ばれた城野紗貴さんの作品「Fence」は、半開きのフェンスへの眼差しとその向こうに見える景色に、こぼれ出す水のようなイメージや草花の線描などが重なり、複数の視点を統合・圧縮したような複雑な画面構成が魅力。仏山さんは「絵というものは基本的に、一瞬を描いたように見えても、そこにいろんな時間や空間が含まれている。特にこの作品は、異なる要素をそのままの形で重ね合わせ、視覚的な面白さと、絵画とはどういうものかという根本的な問いかけがある」と評した。(池田充雄)
受賞者と作品は次の通り。(敬称略)公開中の「絵画の筑波賞」展2021のサイトで作品が紹介されている。
▽大賞 城野紗貴「Fence」▽準大賞 溝口絢斗「AMAGUMO」▽優秀賞 艾尼瓦江 阿西木「少女とぬいぐるみ」、鈴木初音「火をふいていわう」▽奨励賞 伊東春香「空の街」、川端健太「tone13」、重政周平「組立」、藤森哲「tableau2021-s02(Kushan)」、八木恵子「春風のストローク」▽主催者特別賞 吉田侑加「時のおもかげ」