【コラム・浅井和幸】中1ギャップという言葉を聞いたことはあるでしょうか。小学生から中学生になると、勉強の仕方が変わったり、たくさんの人との交流があったりと環境が変わります。その変化になじめずに、不登校やいじめが起こることもあります。全国の小学生と中学生の不登校率を比べると、4~6倍ほど中学生の不登校率が高くなります。

具体的には、以下の調査結果をご覧ください。

▽2015年度県学校統計の調査結果

▽2018年度文科省の児童生徒問題行動・不登校等生徒指導上の調査結果

そして、高1ギャップ。中学校から高校では、さらに変化が大きくなることでしょう。高校生活に適応できずに不登校や退学する生徒は、高校1年時に集中しているようです。

高1ギャップは私が独自に提唱していると思っていましたが、インターネットで検索したら、結構出てきました。「高1クライシス」という言葉もあるようです。それはともかく、中学での不登校よりも高校での不登校が問題なのは、退学ができてしまうことです。

退学してしまうと、外部の人間からは把握しにくい状況になってしまいます。把握されにくいと、孤立しやすく、支援の機会を逃しやすくなります。では、大1ギャップはどうだろう?と思ったら、ちょっとだけインターネットで引っ掛かりました。じゃ、社会人ギャップ、定年退職ギャップ…ときりがないので、ここまでにしておきます。

つくば市の義務教育学校設立から9

さて、つくば市最初の義務教育学校が設立されてから9年経ちました。1年生から入った児童たちも卒業します。もちろん、制度開始時に6年生だった児童は3年前に卒業しています。市内の義務教育校が中1ギャップをフォローする効果は小さかったという専門家の意見もありますが、それでも、より高1ギャップの衝撃が強いのは想像に難くないでしょう。

市と県や民間団体、個人の連携、SOSを出せる当事者や家族、SOSを出しやすい環境づくりなど、今後、地域ぐるみで考え、構築していくことが必要になってくるでしょう。(精神保健福祉士)