【車谷郁実】お正月に向け、餅の誤飲による窒息事故を防ぐための啓発イベントが26日、カスミ筑波大学店 (つくば市天久保)で行われる。主催するのは筑波大学医学部5年の森陽愛子さんだ。イベントでは森さんが手作りのフリップや人形を用いて餅を詰まらせたときの対応方法などを伝える。その様子はカスミの公式フェイスブックや同大学店のツイッターなどでライブ配信される予定だ。
SNSを使ったカスミのライブ配信
森さんは昨年から心肺蘇生法を伝えるイベントを開催してきた。森さんとカスミが連携してイベントを行うのは6月のイベント(6月24日付)に続いて2回目になる。
今回は、コロナ禍における医療従事者の負担を少しでも減らしたいと企画した。きっかけは、実習先の病院で「医療従事者は常に大きな感染リスクに晒されている」と実感したことから。発熱のある患者は、感染リスクのために学生の森さんではなく、病院勤務の医療従事者たちが対応した。ある医師は「少しでも咳や鼻水が出ると患者さんに不安を与えてしまう。自分の体調管理も徹底しないといけない」と話した。
森さんは、医療従事者には気を緩める時間は一時もないと感じた。病気や事故の予防法を市民に伝え、病院にかからぬようすることで、医療従事者の負担を少しでも減らしたいと考えた。
そのころ読んだ大学の先輩が書いた論文で、一年で最も誤嚥(ごえん)による窒息死が多いのは元日であることを知った。多くの人がお餅を食べるためだ。その窒息予防について伝えたい、と前回のイベントで交流のあったカスミの担当者に開催を提案した。
同社は現在、月に2回ほど旬の食材の魅力や食育について、生産者や取引先とともにSNSを通してライブ配信している。イベント担当者である営業統括部人事コミュニケーションソーシャルシフトの高倉綾子さんによれば、森さんの提案はその情報発信の在り方を見直す契機にもなった。「どれだけ商品を販売できるかだけではなく、お客さんが購入したあと安全に食を楽しんでもらうことまで考えないといけないと気づかされた」と話す。
カスミのSNSを使ったライブ配信ではおよそ5000人の視聴者が集まる。森さんは「救急の観点だけで言えば『餅は食べないでほしい』と言わなければいけないところ。だけど、そうは言えないので、餅を安全に食べてもらえるよう窒息の予防法について多くの人に伝えたい」と意気込みを語った。
イベントは26日午後1時から。会場は筑波大学構内のカスミ筑波大学店(電話:029-850-5851)。ライブ配信は以下のアカウント。
・カスミ公式Facebook「カスミFanページ」@kasumi.fanpage
・カスミ公式Twitter「カスミ筑波大学店」@kasumi398ut