いつの頃からか、つくばの成人式は「荒れる成人式」としてマスコミが注目するような不名誉な称号をいただいてしまいました。今年の成人式では石井国土交通大臣の目の前で暴漢がSPに取り押さえられ、成人式が途中で中止になってしまったという暴挙がありました。私は33年前に成人式を迎えましたが、当時は旧6ケ町村単位で成人式を開催し、プチ同窓会として旧交を温めたように記憶しています。

都市化が進むと犯罪が増え、治安が悪くなる傾向があります。TXの開通以降、それまで地元の私たちが経験したこともないような多様な犯罪が増えているのも事実です。私の会社にも茨城県警だけでなく関東近県や愛知県の警察からも犯罪捜査への協力依頼が来るようになりました。この一連の事象を「仕方のないこと」として片づけてしまって本当にいいのでしょうか。

つくば市の本来のあるべき姿は「研究学園都市」です。いつの頃からか、こちらも「つくばらしさ」を失い東京近郊の住宅地となってしまいました。つくば市から撤退する研究機関やベンチャー企業は増えていますが、つくば市から世界へ飛び出す先端産業はいっこうに育っていません。人口は増えていますが、道路や学校などのインフラ整備に追われ、本来の筑波研究学園都市が取り組むべき課題を見失っているのです。つくば市誕生から30年が経過して、もう一度足元を見つめ直し、「つくばらしさ」とは何かを考え直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか。

例えば犯罪の撲滅や治安の維持についても最新の技術を導入して、抑止したりスピーディーに解決したりすることはできないのでしょうか?また、研究所用地として確保した土地を住宅地として転用したために、渋滞などの新たな問題が発生しているところもあります。無人自動車などを活用した新しい公共交通機関を試験的に走らせるような取り組みはつくば市ではできないのでしょうか?

このような社会問題を科学技術で解決することが、筑波研究学園都市に課せられたミッションであると思います。30年前の科学万博で感動した先端技術は、今日では私たちの日常生活に取り入れられています。あの時の想いをもう一度、思い出してはいかがでしょうか?(塚本一也)