【コラム・及川ひろみ】コロナ問題が続く中、宍塚の里山は安全安心だと、家族、カップル、高齢者のグループなど、訪れる人がとても増えています。初めて宍塚に来た人誰もが、こんなに素敵なところがあったと大変驚きます。
さて宍塚大池。いつもの年なら、今ごろから淡い紅色の野生ハスが花を咲かせ、夏には一面の花と甘い香りが大池を覆います。また、ヒシもハスの合間でハスと競うように広がりますが、今年はこれらの植物を見ることができません。さらに、池の水は茶色に濁っています。昨年と今年の池の写真を見比べると、その違いに驚かれることでしょう。
なぜ? 宍塚大池は水田耕作用の貯水池、ため池です。当たり前のことですが、昨年も水田耕作農家が池の水を使いました。ところが昨年は雨が少なく、池の水を多く使いました。その結果、池の水位が極端に下がり、しかもハスやヒシが池を覆ったことから、水中酸素が少なくなり、大型魚が酸欠で多数死にました。
その結果、ザリガニやその子どもを食べる生き物がほとんどいなくなり、今年はアメリカ ザリガニが大発生。池をのぞくと、水際に赤い大きなアメリカザリガニが多数見られます。アメリカザリガニは水草が好物で、ハスやヒシを食べ尽くした後の光景が広がっているのです。
大池の捕獲数は去年の 14 倍
宍塚大池の調査は、2006 年、環境省の事業「いきづく湖沼ふれあいモデル事業」を請け負ったことに始まり、それ以後、池の生き物を調べる調査と外来生物の駆除活動を続けています。
今年も週 1 回程度、調査と外来生物捕獲活動を、定置網や「小型もんどり(魚わな)」を使って続けています。去年と今年(いずれも 1 月~ 6 月半ば)に捕獲したアメリカザリガニを比較すると、今年の捕獲数は去年の約 14 倍、その重さは 21.3 倍にもなりました(調査回数はほぼ同じです)。
この結果から、アメリカザリガニの激増と大型化が分かります。池の色は、アメリカザリガニの増加に関係がありそうです。アメリカザリガニと水質について解明できたらと考えていますので、 池の活動に関心のある方は、及川(090-9840-719)までご連絡ください。
宍塚の里山は、里山保全部隊「里山さわやか隊」の方々が、仕事の合間をぬって散策路の草を刈ってくださっていて、とても歩きやすくなっています。ここは、ほっとでき、リフ レッシュできるところです。お越しください。(宍塚の自然と歴史の会代表)