【コラム・浦本弘海】4月から新年度、新生活をはじめる方もいらっしゃると思います。新生活はいろいろ物入りで、お買物も増えるかもしれません。そこで今回は生活に密着した、消費者として知っておきたい法律を紹介します。

クーリングオフ

キャッチセールスなどでつい、いらない物を買ってしまった。あとでよくよく頭を冷やして考えれば、たいしてほしくもなかったのに…。そんなときに役立つのがクーリングオフという制度。一定の期間であれば、契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる場合があります。

クーリングオフを定めた法律は商品、販売方法などの類型によりいくつかありますが、中心となるのは特定商取引に関する法律です。そこで、特定商取引に関する法律からクーリングオフできる類型と期間のうち、代表的なものを挙げます。

▽訪問販売(キャッチセールス等を含む):8日間
▽電話勧誘販売:8日間
▽特定継続的役務提供(エステティック、語学教室、学習塾、結婚相手紹介サービス等):8日間
▽業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法等):20日間
▽訪問購入:8日間

買う買わないはしっかり考えてからというのが原則としても、キャッチセールスなどでは熟慮せずに購入を決めてしまう場合もあります。そんなときのために、消費者を保護する制度がちゃんと用意されているのです。

消費者契約法

営業の勧誘がしつこいのでイヤイヤ契約した、商品の説明がウソだった…。そんなときに役立つのが消費者契約法。消費者の利益の擁護を図るための法律です。

たとえば、事業者が消費者を困惑させたり、誤認させたりするような不当な勧誘をした場合、消費者は契約を取り消すことができます。不当な勧誘の例として、次のような行為が挙げられます。

▽重要事項について事実と異なる説明がされた(不実告知)
▽不確かなことを「確実だ」と説明された(断定的判断の提供)
▽消費者に不利な情報を故意に告げなかった(不利益事実の不告知)
▽営業マンなどが強引に居座った(不退去)
▽販売店などで強引に引き留められた(退去妨害)

取り消しは、追認することができる時(例:誤認をしたことに気付いた時)から1年間、契約の締結の時から5年間経過するとできなくなりますので、ご注意ください。

また、消費者契約法には、ほかに消費者の権利を不当に害する契約条項を無効にできる条文があります。たとえば、契約書に事業者に責任がある場合でも「損害賠償はしない」とする条項や「一切のキャンセルや返品・交換などを認めない」とする条項があった場合でも、これを無効にできることがあります。消費者としてぜひ覚えておきたいところです。

消費者としての困りごとについては、国民生活センターにいろいろな実例が掲載されていますし、国民生活センターや地域の消費生活センターで相談に応じてくれます。上手にご活用ください。(弁護士)

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