【コラム・及川ひろみ】大井川和彦知事は経済産業省出身で、退職後、IT関連数社の役員を経て知事に就任されています。集会前には、環境問題にはあまり関心がないとか、数値を重んじる方といった情報が寄せられていました。県政を担われる上で、数値を重んじることは当然ですが、それだけでは捉えられないことについて、どのような関心を持っているか、私の関心事でした。

また、県庁職員には厳しいが、庁内を、リュックサックを背負い、積極的に情報収集に努め、県民とはざっくばらんに対話をするなど、好奇心旺盛な方である―などの情報も届いていました。そこで集会では、私たちが日ごろ考えていること、願っていることを淡々と伝えることになりました。

環境問題が待ったなしの状況の中、持続可能な開発目標の視点から、自然環境の大切さを伝えると同時に、身近な自然体験が子供たちの人生に影響を与えていることを実感している立場から、知事には自然環境、里山体験の大切さを伝えました。

いったん価値が失われたかのように捉えられてきた里山ですが、未来を見据えた価値が数々挙げられる中、特に子どもたちにとって価値を生み出す場所であることを説明。子どもたちに自然・農業・保全の体験学習をさせるには、教員に里山研修を行っていただきたいとお願いしました。

会の使命は里山を未来に渡すこと

知事からは感銘を受けたとの言葉をいただきました。また、なぜこのように多様な人が集まり、さまざまな活動が持続的に行われているのか、不思議に思っているとの発言もありました。そして、仕事に関係する人はともかく、継続的にボランティアとして関わる秘訣や魅力が知りたい―と。

知事の質問には、10人の会員が自身の体験を通して話をしました。専門的な知識を持ち、個性豊かな人たちが、お互い刺激し合い、人が人を呼ぶ形で活動が広がり、継続してきたこと、子どもたちの成長を見守っていくことの楽しさ―などについてです。

ゼネコンで区画整理事業を経験した人からは、地元の協力を得ながら会は様々な活動を継続してきた、里山を未来に伝えていくためには、都市計画決定あるいは地域指定などで、無秩序な利用を抑える方法はないか―といった提案もありました。

最後に、会のミッションはこの里山全体を未来に渡すことなので、行政の協力をお願いしました。知事からは「結構重いテーマ」だが、「協力します」との言葉を聞くことができました。(宍塚の自然と歴史の会代表)

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