江戸川乱歩の少年探偵団シリーズは、第1作が『怪人二十面相』、第2作が『少年探偵団』で、小説からラジオドラマ、そして映画化もされ、私も夢中になった。その影響は現在も続いているようだ。「映画探偵団」なるチームを結成、活動しているからだ。
拠点は、「NEWSつくば」編集室がある筑波学院大内のフランス料理店「グルマン」。隔週土曜日の午前、『芸者文化史』を講義したあと、午後1時から3時まで会合を開く。団員は7名で、私はリーダー役をつとめる映画探偵だ。
活動といっても、お茶を飲み何の役にも立たない映画の話を交わすに過ぎない。例えば、石原裕次郎が大スタアとなった『嵐を呼ぶ男』(昭和32年)の併映作品(当時の映画館は2本立て)は『燃える肉体』だが、主演は五浦(北茨城市)出身の筑波久子で、大ヒットは彼女の功績大、といった話題。
翌年の主演作『狂った関係』では、生まれ故郷の大津港が舞台となり、彼女の実家五浦観光ホテルが映し出された。これは、まち興し地域映画のルーツと言えないか、など他愛のない話をしている。
映画探偵を自称する私の持論は3つある。①人生は1本の映画である②あらゆる問題解決のヒントは映画に隠されている③未来はすでに映画の中で予告されている―というものだ。
つくばセンター地区も
先日、団員から「つくばセンター地区」の話題が出された。TXの研究学園駅周辺と比べ、つくば駅のあるセンター地区の衰退が著しいというものだった。東西南北の大通りに囲まれた長方形のセンター地区にある駅周辺は、デパートの西武が撤退、オークラホテルとノバホールの間にあるセンタービルは空き店舗が多い。つまり活性化していない。
その証明として、つくば市都市計画部学園地区市街地振興室とか、つくばセンター地区活性化推進協議会なる組織が存在する。いろいろと工夫をこらしているようだが、いまひとつ成果が上がっていないようである。駅前ビルのBiViでは中心地区活性化のワークショップが開かれている。
「なんとかならないものでしょうかね」と、センター地区内のマンションに住む団員はつぶやいた。続けて「活推化のヒントとなる映画はないのですかね」と聞いてきた。私は「うーむ」と、よくシナリオに出てくるセリフを唸った。これは「あらゆる問題解決のヒントは映画に隠されている」という持論に対しての挑戦に等しい。
こういう時にはどう振る舞うか。『仁義なき戦い』(昭和48年)の山守親分(金子信男)の姿が思い浮かんだ。親分は責任を子分に押しつけるのである。「それでは今後、皆で、センター地区活推化案につながる映画をさがしましょう」と。今後は、役に立つ映画の話し合いの場になりそうだ。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(冠木新市)
▼12月の会合は2日と16日に開きます。
【かぶき・しんいち】脚本家、アートプロデューサー。TV映画フィルム編集助手を経て、映画監督市川崑に師事。1991年、角川映画15周年記念「天河伝説殺人事件」で脚本家デビュー。以後、ゲーム『ダークハンター』(コーエー)、映画『マヌケ先生』(大林宣彦総監督)、舞台『奥様は化け猫』(瀬川昌治演出)など。2008年から活動をつくばに移し、ラジオ『ロボットナース』、TV『サイコドン』、宴劇『桜川芸者学校』を制作。著書に『ゴジラ・デイズ』(集英社)、『映画「極道の妻たち」ノ美学』(近代映画社)など。福島県生まれ、つくば市在住。