月曜日, 4月 21, 2025
ホームつくば古民家改造しチョウザメレストラン 筑波山麓・真壁の養殖業者が店開き

古民家改造しチョウザメレストラン 筑波山麓・真壁の養殖業者が店開き

【大山茂】真壁のひなまつり開幕に合わせ、桜川市に4日、古代魚のチョウザメを食材にした古民家レストランがオープンする。異色の組み合わせだが、総務省の地域振興策「ローカル10000プロジェクト」採択を受け、市内でチョウザメの養殖を手掛ける「つくばチョウザメ産業」(つくば市、白田正男社長)が準備を進めてきた。

店の名は「レストキャビン古民家スタージョン」。スタージョンは英語でチョウザメのこと。場所は造り酒屋「西岡本店」の東隣りで、市が管理している木造平屋の古民家を改造した。

スタージョンは英語でチョウザメのこと=同

メニューはチョウザメの肉を使ったカレーや漬け丼、煮込みうどんなど。全ての料理にチョウザメを使用する。肉は白身で淡白なため、多くの料理に合うのだそう。価格は1000円前後。白田社長は「地元の人たちがお昼に気軽に立ち寄れる場になれば」と話す。

店内に入ると入口に大きなプラスチック製の水槽が置かれている。来店者にチョウザメの泳ぐ姿を見せるという。店内にはチョウザメの生態を紹介するパネルやグルタミン酸、アスパラギン酸などチョウザメの持つ機能性成分の分析表なども展示し、なじみの薄いチョウザメの理解を促す考え。奥に進むとテーブルやカウンターが配置され、15人前後ゆったりと座ることができる。

総務省事業に県内1カ所採択

同事業は、2019年のローカル10000プロジェクトに県内でただ1カ所、採択された。レストランに加え、廃校した小学校のプールを使ったチョウザメの養殖と、プール隣りで飼育水を再利用した野菜の水耕栽培の3点セットが事業内容。地元桜川市を通じて総務省に申請したところ、地域の産業再生と活性化に結び付くとして採択された。事業費は国の地域経済循環創造事業交付金と桜川市の負担分合わせて850万円、それに筑波銀行の事業継続融資分850万円の合計1700万円。

同社は筑波山麓の石材工場跡地に加工・出荷事業所を開設、約10年前から6000匹前後を飼育し、雄の魚肉をホテルや割烹、寿司店などに提供してきた。3年前からは雌の成魚からキャビアを採取しており、瓶詰20グラム6000円(税別)で販売している。結婚式場などから引き合いがあるという。

桜川市では4日から恒例の真壁のひなまつりが開幕する。3月3日までの会期中、市街地の店舗など約160軒におひなさまが飾られ、10万人を超える人出が見込まれている。

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「合理的配慮」義務化から1年 25日、障害当事者の意見集めるイベント つくば

第1回はレストラン編 車椅子のまま着席できるスペースを用意したり、太いペンで大きな文字を書いて筆談するなど、事業者と障害者が話し合いながら、障害の特性に応じてバリアを取り除く「合理的配慮」が昨年、民間事業者にも義務化され、4月で1年を迎えた。25日、つくば市内の障害者らでつくる市民団体「障害×提案=もうちょい住みよいつくばの会」が、制度の浸透を目的としたイベントをつくば駅前のつくばセンタービル内 市民活動拠点コリドイオで開催する。 第1回目は「レストランの困りごと編」で、障害者が飲食店を利用した際に直面する「困りごと」を参加者同士で出し合い、話し合いの中で改善策をまとめ、行政に伝える。 主催団体の世話人で、障害当事者団体「つくば自立生活センターほにゃら」代表の川島映利奈さん(42)は「さまざまな障害のある人に参加してもらい、それぞれが直面している困りごとを出し合いたい。地域の事業者や市議会議員の方などにも参加していただき、障害の当事者との対話を通じて一緒に『合理的配慮』を進展させていく場になれば」と語る。 今回のイベントでまず「レストランの困りごと」を取り上げるのは、2024年のつくば市長選・市議選の際に同つくばの会が候補者に実施した公開質問で、市役所本庁舎のレストランの改善を提案したことから、「市役所本庁舎のレストランを、民間事業者による合理的配慮のモデルケースにしたい」のだと、川島さんは言う。 無人化に不安 今回の企画に参加する、同会のメンバーで自身も障害当事者である生井祐介さん(48)は「合理的配慮の義務化を受けて、レジに(イラストや絵を指差して意思を伝え合うための)指差しコミュニケーションボードが置かれたり、入り口にスロープがつくなどした店舗が特に大手では進んでいる印象がある。杖をついていると、『手伝いましょうか』と声を掛けられる場面も増えた」と話す。 一方で、飲食店で客自身がタッチパネルを操作して会計をしたり、ロボットが配膳をするなどの店舗の無人化が広がることに対して「手の力が弱かったり、視覚に障害があるとタッチパネルを操作できず、自分で立てないとセルフレジに届かない。自動運転バスなどでも広がるかもしれない無人化への不安はある。新しいシステムを導入する際には、障害者の意見を聞いてほしい」と思いを語る。 選挙で政策提言を公開質問 同つくばの会は、2018年に市内の障害者の呼び掛けに応じた当事者、家族、支援者らが集まり生まれた。障害者が暮らしやすいまちづくりを進めようと、障害者の意見を市政に届ける活動を続けている。 2020年の市長・市議選では、障害者の社会参加を目的としたタクシー利用時の市の運賃助成制度をバスや電車でも利用できるよう、ICカードとの選択制にすることや、スマートフォンやタブレット端末を用いた市役所での遠隔手話通訳サービスの導入など、障害者の意見を元に6項目の政策提言を作成した。すべての候補者に公開質問として政策提言を投げ掛け、3人の全市長候補、41人中27人の市議選候補者から回答を得た。選挙後「重度障害者に対するICカード乗車券運賃の助成」「つくば市遠隔手話サービス」など4項目が実現している。 2024年の市長・市議選の際にも、市役所本庁舎レストランの改善など「市役所本庁舎のレストランにコミュニケーション支援ボードを導入し、民間事業者における合理的配慮の普及につなげる」や、「つくば市バリアフリー条例を制定し、今後、計画的に市内をバリアフリー化していく」などの6項目を、他自治体の先行事例を示しながら提言し、公開質問として、2人の市長候補者と48人の市議選候補者に投げ掛けた。市長・市議選の候補者24人から集めた回答は選挙期間中に同団体のウェブサイトで公開した。 当事者と対話を 同会では今後、第2回目として、昨年の選挙で提案した6項目の一つでもある「市の健診・検診時に合理的配慮を提供する」について、当事者の意見を聞く場を設ける予定だ。車椅子を利用する世話人の川島さん自身、市の健診を受けた際に車椅子対応の体重計がなかったために体重が測れず、検査台に乗れないことから胃や腸の検査を受けられなかった経験がある。他にも、自力で立ったり座ったりできないことから婦人科検診のマンモグラフィー検査や子宮がん検診を受けられなかった。そのため、追加料金を自費で負担し、胃カメラ検査やエコー検査を受けた。「代替えとなる検査が自分の希望であれば有料であることに納得がいくが、理由が障害があることなわけなので、何らかの他の方法を検討してもらえたら」と改善を訴える。 一方で川島さんは「合理的配慮がそもそも事業者に伝わっていないという面もある」とし、「新しいものを買ったり、大規模な施設の改修をしなければならないなど、難しく考えてしまう人が多いのかもしれない」と言い、「(段差があるなどで)車椅子で入れないお店の場合は、介助者などに店内の陳列商品を写真で撮ってきてもらい、店外でそれを見て買う商品を選ぶことができる。合理的配慮で大事なことは、事業者が障害者と話をすること」だと話す。 生井さんは「障害の当事者は、こんな時はどうすればいいのかというアイディアを持っているので、『うちは無理です』と断らずに、まずは当事者と対話をしてほしい」と言い、川島さんは、「今回のイベントは、(合理的配慮の趣旨である)さまざまな当事者の声を聞く場所でもある。障害のある人、そうでない人を含めて、多くの方に参加していただき、これからのまちのあり方を一緒に考えていきたい」と語る。(柴田大輔) ◆「住みよいつくばの会 レストランの困りごと編」は25日(金) 午前10時からから正午まで、つくば市吾妻1-10-1 つくばセンタービル 市民活動拠点コリドイオ内 つくば市民センター大会議室で開催。Zoomを利用したオンラインでの参加も可能。参加費は無料。イベントの詳細、参加申し込みは専用サイトへ。申し込み締切は23日(水)午後5時まで。問い合わせは「障害x提案=もうちょい住みよいつくばの会」(電話029-859-0590、メールcil-tsukuba@cronos.ocn.ne.jp、FAX029-859-0594)へ。

川内優輝、2度目の優勝で復活ののろし かすみがうらマラソン

1万5832人がエントリー 「第35回かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2025」(土浦市など主催)は20日、土浦市川口の川口運動公園J:COMフィールド土浦を発着点として開催された。フルマラソン、10マイル(約16キロ)、5キロの各部門で昨年より多い総勢1万5832人がエントリーし、フルマラソン男子は川内優輝(38、埼玉県・あいおいニッセイ同和損害保険)が2時間19分10秒の記録で13年ぶり2度目の優勝を果たした。 川内はかつて「公務員ランナー」として名をはせ、ボストンマラソン優勝など数々の輝かしい戦績を持つ。かすみがうらは2012年大会で自身初のフルマラソン優勝を達成した思い出あるコース。負傷からの再出発にこの舞台を選び、見事復活ののろしを上げてみせた。 スタート直後から独走態勢に入った。「前半はある程度速めのペースでしっかりやって、後半の向かい風で粘ろうと思っていた」。大会直前には奄美大島で1週間の合宿にも臨んだ。「かすみがうらと同じような風や湿度のある環境で練習できたことが生きた。今日も奄美の風を思い出しながら走れた」。ここを足がかりに、2028年のロス五輪を目指すという。 女子は遠藤知佐が初優勝 フルマラソン女子は遠藤知佐(36、東京都・PTC)が2時間46分38秒で優勝。かすみがうらは2017年に続く2度目の参加で、前回の記録は3時間半ほどだった。「最初に大学時代に出た東京マラソンでは5時間台で、そこからサブ4、サブ3とタイムを上げてきた」。いわゆる皇居ランナーで、クラブチームの仲間と競い合って成績を伸ばしてきた。フルマラソンの参加は年1回。きついコースであえて自分を鍛えるのが狙いという。昨年優勝の松村幸栄さんからアドバイスをもらい「前半の登りで足を使ってしまわないよう抑えて、後半の直線でリズムに乗って淡々と走った」ことが優勝のカギとなった。 10マイルはラシュトンと位田 10マイル男子はシドニーからの招待選手シアラン・ラシュトン(20)が49分38秒で優勝。「10マイルレースに勝利しとても幸せ。私の日本での初めてのレースで、とてもエキサイティングだった。来年もう一度このレースに戻ってきたい」とコメントした。 10マイル女子は大学招待選手の位田明優(19、東京都・拓殖大学)が59分33秒で優勝。「前半は目標とした選手にうまく付いて走れ、中盤で離されかけたが落ち着いて挽回し勝ちきれた。今年の目標は5000メートルと1万メートルでインカレ出場、駅伝では全日本大学女子と富士山女子で3位以内を目指している」 5キロ女子は5連覇経験の松本 5キロ女子は松本恭子(54、千葉県)が18分37秒で1位。去年は10マイルを走ったが、今年は5連覇の経験もある5キロに戻ってきた。「負傷明けなのでスピードがもつか心配だった。追いかけてくる若い子たちに抜かれないかとドキドキしながら走った」 男子は1~3位とも県勢 5キロ男子は1~3位とも県勢。タイムはそれぞれ1秒差の接戦だった。優勝は15分51秒の斉藤直希(28、日立市・ひたち医療),「去年と同じ1秒差で連覇を達成できた。去年は28年ぶりの大会新記録となる15分05秒を出せたので、その更新を狙っていた」。2位は15分52秒の伊藤遼佑(28、筑西市・つくばウェルネス整形外科)。「3年前に優勝したが、その後2年続けて1秒差で優勝を逃してきた。今年も1秒差で敗れて悔しい」。3位は15分53秒の麻生拓茉(26、取手市・麻生歯科医院)。「格上の2人に対しどう勝つか展開を考えて走った。集団をコントロールしてペースを抑え、惜しくも負けたが最後まで競ることができた」。3人とも医療系で年も近く普段から仲良し。茎崎運動公園の練習会などで一緒に走っているという。(池田充雄)

目指す!土浦花火の妄想実現

新年度が始まり、総会づくしの日々。資料説明では、新たな事業計画に期待が高まる一方で、資金面の理由から予算削減計画も目白押し。 私の花火鑑賞計画2025は、7月中下旬予定の地元八坂祇園祭礼のため、花火シーズンに遅れての参戦予定。人気花火大会の宿泊予約はすでに満杯、限られた自主財源に合わせ、身の丈に合った計画縮小を余儀なくされる状況。仕方なく、土浦100thに注力すべく、今回は4つの妄想事を書いてみた。 かすみがうらマラソン大会に花火を 本日開催のかすみがうらマラソンは、土浦全国花火競技大会と共に、市内外から多くの人が訪れる2大イベントだが、これまで、特別なコラボは実現していない。 以前、市職員に、マラソンの前夜祭に花火を上げたらと提案したら、「予算」と「警備」の理由で却下。夜がダメなら、当日のスタート前にどうだろう。パリパリと音を出しながら赤、黄、緑、青、黒など色の付いた煙が枝垂れ柳(しだれやなぎ)のように落ちる煙竜花火や夜の「菊花火」のように煙が開く昼花火もまた、いいもんだ。大曲の花火では、夜の部の前にコンテストが行われており、「花火のまち土浦」の絶好の「おもてなし」となるに違いない。スタート時の「合図花火」だけでは寂しすぎる。 煙竜花火の傑作「ブドウ煙」の復活 煙火業界で、伝説の花火といわれているのが、土浦火工の故北島義一氏の手による煙竜花火「ブドウ煙」。正式には「赤煙竜」と呼ばれ、紫の煙を大量に噴出する花火として、1953(昭和28)年頃、伊勢の花火大会で初めて披露されたという。2001年、土浦火工最後の花火師 箱守彰氏と齊木煙火本店(山梨県)の協力で再現に成功、この模様が映像として「土浦の花火~伝統花火から全国花火競技大会まで~」(土浦市立博物館制作DVD)に記録されている。DVD制作を担当した茨城ビデオパック(土浦市)の岩崎真也氏から、配合帳も博物館に保管されているので、100周年企画として再々現するという魅力的な提案が届いたが、落下傘を使う吊り物花火を安全に打ち上げる場所は限定されるため、場所は要検討。 Japan Fireworks Expo 開催中の大阪・関西万博では、花火イベント「Japan Fireworks Expo」を8日間設定。日本を代表する花火大会が全国から集結とのうたい文句だが、現時点で公表されているのは、4月26日の伊勢花火、6月28日の大曲の花火の2日のみ。今もってすべて埋まらないのは、花火シーズンと重なる日程や資金面など参加条件が折り合わないのか。ちなみに、土浦の花火の参加費用は、市予算に計上されてない模様。 とりあえず、「大曲の花火の日」の入場予約と宿泊を予約した。 9月5日を「土浦花火の日」に 土浦の花火の第1回は1925年9月5日、霞ケ浦湖岸の岡本埋立地(現川口運動公園付近)で開催した。 土浦市は、先の市議会でも答弁したように、当日に特別な企画はないようなので、私からの提案。この日を「土浦花火の日」として、日本記念日協会に登録する。登録料15万円が必要となるが、当日の「ブドウ煙」の再々現の費用とあわせ、クラウドファンディングで資金を捻出したいがどうだろう。 そろそろ、長年の妄想を実現いたしたく、春の迷走を続けている。 春馬花火を見上げながら 最後に、前回(3月16日掲載)紹介した「HEART花火」の報告。 音楽とコラボした見事なスターマイン花火が参加者を魅了した。後半、筒から直接立ち上る「マイン花火」の連続で、湖面からの風で観客側に煙が吹き寄せ、花火全体がかすみ、燃え殻も落下した。 このとき、土浦市が過去に行った花火会場移転調査結果が脳裡にちらついた。「夜は湖風(うみかぜ)が地上に向けて吹くから、観覧席の場所確保が難しく、花火会場には適さない」とされている。機会があったら、真偽のほど、知人のヨットマンに確かめてみよう。本日はこれにて、打ち止めー。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

江戸文化伝える「さくらそう展」 筑波実験植物園で始まる

現存する最古の品種など展示 江戸の武士や庶民の文化を今に伝えるサクラソウが一堂に展示されるコレクション特別公開「さくらそう品種展」が19日から、国立科学博物館・筑波実験植物園(つくば市天久保、遊川知久園長)で始まった。主催は同植物園と、筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター。展示されるのは、現存する最古の品種「南京小梅」をはじめ、遺伝資源の保存を目的に筑波大学が保有する園芸品種314種の中から選ばれた約100種のサクラソウだ。同園によると期間中の入場者数は約5000人を見込んでいる。 サクラソウの栽培は、室町時代に宮廷貴族が始めたとされる。野生種を自宅の敷地で栽培していた。江戸時代中期ごろになると、江戸に暮らす人々の間で園芸用の品種改良が盛んになった。現在、国内に300種以上ある園芸品種のルーツを遡ると、江戸郊外の荒川流域に咲いていた一種の野生種に行き着くことがDNA研究によって分かっている。 江戸で庶民の娯楽や文化が活発になった当時、桜の花に似た野に咲く小さなサクラソウの美しさに魅せられた人々が、競うように改良を重ねていった。品評会も盛んに行われ、白い花弁に緑の筋が入る「青葉の笛」、淡い桃色と白のグラデーションと深い切れ込みのある花弁が印象的な「勇獅子(いさみじし)」、丸みを帯びた真っ白な花弁が特徴の「臥龍梅(がりゅうばい)」など、作り手の思いが名前に込められた品種が今に伝わっている。今回の展示で鉢が置かれる縁台は、江戸時代に生まれた「桜草花壇」だ。上から注ぐ光の加減や、吹き抜ける風、人の目線を意識した品種ごとの配置など、いかにサクラソウを美しく見せるかを追求したものだ。 筑波大と市民団体が保存活動 長年、庶民に愛されてきたサクラソウだが、近年は、都市開発などによる環境の変化や野生種の持ち去りなどから個体数が激減し、環境省が定める準絶滅危惧種に指定されている。今回、コレクションを展示する筑波大学では、2005年、市内のNPO法人つくばアーバンガーデニングと協力し、サクラソウの遺伝資源の維持・保存を目的とした里親制度「さくらそう里親の会」を立ち上げた。サクラソウの園芸品種においては世界有数の遺伝資源保存施設である同大が保有する品種を、会員が1人1品種、自宅で育てることで、災害などの緊急時にも品種を維持できるようにした。 里親の会に立ち上げから参加する、つくばアーバンガーデニングの佐藤久美子さんは「寒さに強く、乾燥に弱いのがサクラソウ。小さな花が可愛く、育つのを見るのが楽しみ」と活動のやりがいを話す。展示を担当する同植物園研究員で、筑波大生命環境系の田中法生教授は「サクラソウはバリエーションが多い。江戸時代には400種を超え、今でも300種以上の園芸品種が残っている。たった一種の野生種から生まれたものが、花弁の大小、切れ込みの深さ、配色など、時代と共に変化していった。携わるたくさんの人々の相当な努力や思い、情熱が背景にあったはず。そんな歴史を想像しながら見るのも面白いと思う。是非、自分の好きな花を探してほしい」と話す。(柴田大輔) 企画を担当した筑波大の田中法生教授 ◆コレクション特別公開「さくらそう品種展」は19日(土)~27日(日)、つくば市天久保4-1-1 筑波実験植物園で開催。開館時間は午前9時から午後4時30分(入園は午後4時まで)。26日(土)、27日(日)は午後5時閉園(入園は午後4時30分まで)。休園は21日(月)。期間中、教育棟ではサクラソウの歴史や専門家のお薦め品種の紹介、解説などのパネル展と共に、景品が付くクイズ・スタンプラリーが催される。筑波大と「さくらそう里親の会」によるサクラソウ品種の販売会もある。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上は無料。障害者と介護者1人まで無料。