【コラム・石井康之】今回は最近10日間滞在した台湾のことを書きます。台湾は昔の日本と新しさがちょうどいい感じに混じった不思議な街でした。台北から台南、そして台中、最後はまた台北へ。旅行ガイドに載らないようなところに行こうと、ホテルも1~2日で変える旅をしてみました。

台湾ではいろいろなところで、夜は夜市、朝は朝市があり、活気にあふれていました。私は毎日のように夜市に行き、屋台で食事を楽しみました。ただ日本と違い、ほとんどの店でお酒が置かれていませんでした。

旅先でお酒なしの食事はあまりなかったことですが、飲み物をお酒からジュースに変え、宿へ戻る途中、コンビニでビールを買いました。トルコに行った時も同じでした。台湾やトルコでは東京など違い、大声で争ったりする姿は一度も見ることはなく、いろいろなところで笑顔が見られました。

朝、バスで出掛けようとした時、ホテルの人に聞いても乗り場がわからず、歩いてバス停を探していると、70代後半ぐらいのおじさんが声をかけてきました。行きたい場所を地図で伝えると、おじさんはスマホで検索し、場所と時間を教えてくれました。

おじさんは教えてくれた後も心配そうに見ていてくれました。2日後、別の駅のバス会社の人に1番乗り場と言われ探していると、またお年寄りがどうしたと声をかけてくれ、バス停まで連れて行ってくれました。私が台湾で感じたのは、人と人のつながりがとてもうまくいっている国ということでした。

古い街と新しい街が融合

街も新しい建物だけではなく、古い建物をリノベーションして使っている様子があちこちに見られました。渋谷の高層ビルの谷間に昭和の建物があるような…。

古くなった公務員住宅もリノベしてアートショップや雑貨店になって、ひとつの街になっていました。古い街並みと新しい街並みは邪魔せずに融合しているように見えました。

泊まったホテルも、雑居ビルの上をホテルにしているところも何軒かありました。1階下を事務所として使っていたり、飲食店やゲームセンターがあったりと。

台中にあつた百貨店は2014年に大幅リニューアルした建物らしいのですが、素晴らしい百貨店だと思いました。建物自体かなり古いものですが、置いてある什器や商品が建物にとても合っていました。

店員も各階にちょうどよい人数で、勧め方もとてもよいと思いました。周辺には洋品店や食べ物屋など昔からの店があり、いい雰囲気でした。古いものを壊すだけの街は、古くからそこに住む人たちのつながりも奪うような気がしてなりません。(ファッションデザイナー)

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