【コラム・川上美智子】知的障害のある児童生徒を対象とする特別支援学校(小学部・中学部・高等部)が4月に石岡市下青柳に新設され、11月21日、開校式が挙行されました。この学校は、県内23番目の公立の特別支援学校となり、定員オーバー状態であった県立つくば支援学校の児童生徒ら111名が転入し、新入学の児童生徒と合わせ154名でスタートしました。

小美玉市、石岡市、つくば市(旧筑波町)が通学区域とされ、今までつくば市まで通学を余儀なくされていた子どもたちにとり、とても便利になりました。92名の教職員が配置され、手厚い指導が行われます。

旧八郷南中学校を増改築した校舎は、県産材をふんだんに使い、清々しい木の香りが漂い、明るく広々としています。校舎の窓からは雄大な筑波山や県フラワーパークが眺められ、恵まれた環境の中で子どもたちが伸び伸びと学んでいる姿を見ることができました。児童生徒の素敵な造形作品もたくさん飾られていて、それぞれの個性や才能が感じられました。

自立と社会参加に必要な技能や態度を育成

小学部の「基礎的な力を身に付ける」、中学部の「基本的な力を深め、広げる」を踏まえ、高等部では「卒業後へつながる力を身に付ける」を目標に、自ら考えて行動できる力と、働くことや公共のために役立つことをする心を育て、自立と社会参加に必要な技能や態度を育成していくとしています。

タブレット端末などのICT(情報通信技術)の積極的活用、園芸や木工などの作業学習、歩く会、地域との協働など、「楽しい学び」がしっかり盛り込まれています。

この学びが、児童生徒一人ひとりの自立に結びつき幸せな人生を送れるようにと願い、温かく迎えてくださった教職員や子どもたちに感謝して、晴れやかな気持ちで校舎を後にしました。健常な子どもも、障害のある子どもも、才能を伸ばし、健やかに育つ環境を一つひとつ整備していくことの大切さを再確認させられた学校訪問でした。(茨城キリスト教大学名誉教授)

➡川上美智子さんの過去のコラムはこちら