
【相澤冬樹】低山といえど、山頂を目指すならトレッキングやハイキングではなく「登山」。筑波山系に連なる標高361メートルの小町山(土浦市小野)では、地元の愛好家がルート整備をしながら山登りを楽しんでいる。小町里山愛好会―。会長の斎藤晃さん(77)は毎日午前中の登山を欠かさないほどの熱の入れようだが、その右膝には人工関節が入っているというから、“健脚”っぷりには驚かされる。
土浦市小野の「小町伝説」に由来する小町山。愛好会が勝手につけた名だが、最近はグーグルマップにも載っている。会の結成は2017年3月、所有する地元砕石メーカーの協力のもと山に立ち入り、同所の「小町の館」から山頂に至る3つのハイキングルートを整備している。
東のハイキングコースに連結する朝日峠展望コース、中央の急勾配を登る尾根コース、西の沢伝いを回り巨石群に抜ける天の川コースの3コース。お隣りの宝篋山(ほうきょうさん、標高461メートル)の登山道整備に一役買ったメンバーが加わって、ルート整備を担っている。
秋の紅葉シーズンともなるとごった返すほどの人出となる宝篋山の混雑を避けて、小町山に移ってきた愛好者が多い。「標高は100メートル低いが難易度からいえば小町山。甘く見てると意外な急勾配に息が上がってしまう」そう。変成岩の一種、ホルンフェルスが大きく露頭している場所などがあり、「小町の舞台」だの「おかめ岩」だの名付けて楽しんでいる。
「山は診療所」健康増進に新兵器も
活動の先頭に立つのが、登山道入口近くに自宅を構える斎藤会長。70歳を超えて人工関節を右膝に入れ、とぼとぼ歩いていたところを山に誘われた。一念発起して登ってみると、脚の痛みも忘れ、一気に病みつきになった。以来毎朝、多少の雨ぐらいは意に介さず登るようになった。今では1時間ほどかければ登れるという。
「年取ると何かにつけ出歩くのがおっくうになるが、山歩きほど健康増進にいいものはない」と斎藤さん。多くの人に山の良さを知ってもらいたい、と最近、足腰が心許ない高齢者を同伴するための新兵器も開発した。2メートルほどの長さに切った竹材2本を布のない担架のようにして用いる。介助者が前後に立ち、中央に高齢者などハンデキャップ者をはさんで山道を登るものだ。
「山は診療所」といい、自宅の納屋は「山小屋」と呼んで活動の拠点にしている。2日開催のスタンプラリーには家族連れなど約180人が参加した。こうしたイベントは年1回しかできないが、山道の整備作業は月1回程度行っており、ボランティア参加を歓迎している。
申し込み・問い合わせは斎藤さん(電話:090-2526-2131)
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