【コラム・浅井和幸】視覚障害のあるAさんは、とてもまじめな20代。いつも笑顔で対応し、一生懸命に働きました。しかし、昔気質(むかしかたぎ)の根性論の社長の下での休日のない生活。自分の意見は後回しにされ、能力のある分、無理な仕事を任され、心身がすり減るような毎日を送っていました。
ある時、あまりにも疲労がたまり、もう仕事を続けることは無理だと判断しました。労働基準監督署にも相談しました。辞めた方がよいというアドバイスももらいましたが、闘うにしろ、逃げるにしろ、次の住む場所を確保してからの方がよいだろうという話になりました。
理知的でしっかり者のAさん。きちんと貯蓄もして、遠く離れている家族も協力的でした。今いる社宅から引っ越せる物件を探し始めました。しかし視覚障害があることで、出火するのではないかというオーナーや物件管理会社の偏見のため、引っ越し先を見つけることが出来ず途方に暮れていました。
そういえば、ある学校の先生の「障害があるだけで火が出るなんて、そんな超能力者みたいな話があるか」という、怒り交じりの冗談を思い出します。
Aさんは、ある理解のあるオーナーと偶然出会い、少しの充電期間のあと、今は次の就職先で働き始めています。しばらく会っていませんが、元気にしていることを願うばかりです。
住宅確保要配慮者居住支援法人
このように、住む場所に困難を持つ方を、住宅確保要配慮者と言います。低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育てする者、外国人、児童虐待を受けたもの、DV被害者など、様々なカテゴリーの対象者が定義されています。
それぞれのカテゴリーの支援はありますが、住宅確保要配慮者居住支援法人という、茨城県が指定した法人が2019年9月現在、3団体あります。以下のサイトをご覧ください。
▽https://www.pref.ibaraki.jp/doboku/jutaku/minkan/05chintai/jutakusafetynet/shiteihojin.html
そして、その住宅確保要配慮者を受け入れる物件として、セーフティネット住宅があり、そのシステムを以下のネットで検索することが出来ます。
▽https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/apart_list.php?pref=8
まだまだ登録が少ないので、今後の増加が望まれます。また、その住宅に対する家賃補助の整備も進むことも望まれます。望むだけではなく、働きかけているところです。また、セーフティネット住宅に似た、あんしん住宅というものもあるので、参考までにアドレスを載せておきます。
▽http://db.anshin-kyoju.jp/guest/room_list.php?pref_code=8
低所得、障害、孤独死、住民トラブルなど、様々な問題がある中、支援団体や地方公共団体の支援を組み合わせることで対応できることも多々あります。ほんの一例ですが、土浦市には「愛の定期便」という、65歳以上の1人暮らしの方に、週2回、乳製品を配達しながら、安否の確認をするサービスがあります。
▽https://www.city.tsuchiura.lg.jp/page/page002660.html
支えあいの社会を目指すと言っても、なかなか情報を集めることは難しいことです。住む場所の確保が難しいと感じた時は、住宅確保要配慮者居住支援法人に相談してみてください。(精神保健福祉士)
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