【コラム・坂本栄】現在4期中の中川清土浦市長が11日、5期続投への意欲を表明しました。市長選の告示は11月3日、投票は10日ですから、これから2カ月、土浦も政治の季節に入ります。でも対抗馬の姿が見えません。「政治・行政は選挙によって鍛えられる」が持論の私としては、選挙になることを期待しているのですが、無投票の可能性が大です。

市議会での中川さんの出馬表明は、本サイトの記事「中川清市長が立候補表明 11月の土浦市長選」(9月11日掲載)をご覧ください。答弁テキストによると、「体力、気力とも充実しており…」「引き続き…全身全霊で市の発展に尽くす」と、実に意欲的です。

仮に選挙になった場合は、16年間の仕事と多選の是非がポイントになります。前回2015年の選挙には、4選を阻止しなければと柏村忠志市議が立ちました。しかし、得票比1:2で負けました。2011年と2007年の2回は無投票でした。いい勝負だったのは、最初の2003年(対抗馬はベテラン市議、得票比7:10)だけでした。

前回の市長選に挑み敗北→昨年末の県議選に挑み落選→今春の市議選で復活した柏村さんについては、本コラム46「ホットなつくば>クールな土浦」(昨年12月17日掲載)で取り上げ、「無投票を阻むドンキホーテ」と書きました。今回は? と聞いたら、いまのところ出るつもりはないとのこと。メディアは、争い(選挙戦)が大好きなのですが…。

大名のまち→商業のまち→文化観光のまち

私が東京(通信社で仕事)から土浦(高校まで在住)に戻り、地方紙の社長になったのは2003年の春でした。中川さんが市長になる半年前です。それから16年。土浦市でもつくば市でもいろいろなことが起き、まちの姿形が変わりました。

つくばで言えば、2005年にTXが開通したことで、まちの臍(へそ)がTX終点駅周辺(センター地区)から1駅手前周辺(研究学園地区)に移るという、変化が起きました。これによって市民の動きが変わり、市の大きな仕事が「(市の中心でなくなった)センター地区活性化」になりました。同じまちの中での盛衰(せいすい)です。

大名のまち→商業のまちと、繁栄を謳歌(おうか)してきた土浦は、旧市街地の疲弊に悩んでいました。自動車社会になり、生活者の消費・居住の場が変わり、旧(ふる)いまちの使い勝手が悪くなったわけですから、当然でしょう。時間軸での盛衰です。

中川さんの仕事は、こういった「まちの変化」を踏まえ、旧市街地を商業地区に戻すことではなく、コンパクトな居住地区につくり変えることでした。駅前に市役所(2015年)や図書館(2017年)を持ってきたのも、このコンセプトに沿ったものです。さらに、文化都市(生活の質アップ→定住人口増)と観光都市(資源は霞ケ浦→交流人口増)づくりを目指して欲しいものです。(経済ジャーナリスト)

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