【コラム・室生勝】高齢者サロンの参加者たちは、「もしバナゲーム」(8月24日掲載コラム参照)をやることで、自分たちが望む在宅医療や看(み)取りに関心を持つようになった。在宅医療をしてくれる「かかりつけ医」を探す人、終末期医療や看取りを真剣に考える人も増え、個人的に私に相談する人もいる。

サロンでは、自宅で家族に見守られながら最期を迎えたい人たちが多く、私もそうあって欲しいと願っている。私は開業医時代、患者さんの死期が近くなる2~3週間前から、訪問看護師と共に家族に「死の準備教育」を行い、最期の看取りを家族や親しい人たちですることを勧めた。

「看取りCOM」というサイトがあり、「在宅療養クリニック」を市区町村別に探すことができる。つくば市の場合は8カ所が掲載されている。「在宅医療介護マップ」に掲載されていない医師数、診療患者数、緊急往診件数、在宅看取り患者数、看取り率が掲載されている。

「在宅医療介護マップ」の「看取りの対応」は、医師が臨終に立ち会うということらしい。医師は診療時間中や夜間だと、臨終に間に合わないことが多い。しかし、24時間往診と看取りするのが在支診の設置基準にあり、できるだけ対応すべきである。

在宅で看取りができないときは、救急車を頼んで病院へ搬送することになる。看取りを家族で行い、おおよその死亡時間を記録しておき、かかりつけ医が死亡確認に来たときに伝えればよい。家族だけで看取りをするつもりでいても、臨終が近くなり不安になったら、訪問看護師を呼んでもいい。

専門職による在宅医療介護啓発講座

医師は臨終に立ち会わなくても、死亡確認すれば死亡診断書を書くことができる。ただし、死亡に関連した病気を診療していた医師でなければならない。

医師法第20条第1項に「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない」とある。

医師は24時間以内に診察していれば、臨終に立ち会わなくても死亡診断書を書ける、と言っているのであって、24時間以内に診察していなければ、死亡診断書を書けないと言っているわけではない。死亡原因でなくても、死亡に関連した病気で1カ月前あるいはそれ以前に診療していれば、死亡診断書は書ける。

在宅医療介護連携推進事業として、9月から来年1月にかけて毎月、つくば市の各圏域で在宅医療介護の専門職による在宅医療介護啓発(けいはつ)講座が始まる。第1回は9月22日(日)14時から「市民ホールやたべ」で開催される。市民に在宅医療を理解してもらう講座で、アドバンス・ケア・プランニング(ACP、8月10日掲載コラム参照)の話にも及ぶだろう。

ACPは、在宅医療を提供する「かかりつけ医」の協力がなければ進まない。病院では医師と看護師がACPの研修を行っているようだが、医師会では診療所医師の研修を実施していないようだ。この講座をきっかけに、高齢者のACPに基づく在宅医療が広がることを期待している。(高齢者サロン主宰)

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