水曜日, 11月 12, 2025
ホームつくば霞ケ浦 小規模事業所の排水規制強化へ 県が普及啓発に全力

霞ケ浦 小規模事業所の排水規制強化へ 県が普及啓発に全力

【山崎実】霞ケ浦の日(9月1日)に前後して、霞ケ浦のごみ問題など流域住民による浄化運動が行われた最中、県霞ケ浦水質保全条例などの関係条例、法令を一部改正し、流域に立地する小規模事業所の厳しい排水規制に乗り出した県は、改正内容の普及啓発活動に全力を挙げている。

霞ケ浦は1972年11月、環境庁(当時)から全域が湖沼Aに類型指定され、汚染の目安とされるCOD(化学的酸素要求量)値を1リットル当たり3ミリグラム以下に抑えること、また1986年4月の環境庁告示で全窒素は1リットル当たり0.4ミリグラム以下、全リンは0.03ミリグラム以下にするとされている。

しかし現実は昨年度の調査でCOD値が7.4と前年度の7.2とほぼ同程度の横ばい、全窒素は前年度が1.1、全リンも0.091と、環境基準値を大幅に上回っている。

汚濁負荷要因は様々だが、生活排水、中でも流域に4~5万経営体はあるといわれる小規模事業所からの排水が問題になっている。飲食店やコンビニなど、全ての事業所や工場がこれに該当し、排水基準超過は55%に上る(県資料)。

そこで県は今年3月、罰則規定を盛り込んだ霞ケ浦水質保全条例の一部改正を県議会に提出し承認されたのを機に同月28日に公布した。

改正内容の骨子は▽排水の基準超過に対し改善命令、排水の一時停止命令が出せる▽改善命令に従わなかった場合、最大100万円の罰金が課せられるなど、罰則が適用される▽条例などに届け出対象のうち、排水量が1日当たり10立方メートル未満のすべての工場、事業場は、定期的な排水の水質測定と結果の記録を義務付けるーの3点。内容に関する相談などについては、ワンストップ窓口(県環境対策課、電話029-301-2966)で対応している。

施行は2021年4月1日。現在は改正内容を周知徹底する猶予期間で、県は県環境保全施設資金融資制度など、流域小規模事業所を対象とした制度金融による支援策も打ち出している。

流域住民の飲料水だけでなくサイクルツーリズム(自転車観光)のメッカとして脚光を浴びつつある霞ケ浦。観光面からも、待ったなしの水質浄化対策が迫られている。

➡霞ケ浦流域小規模事業所の排水規制に関する過去記事はこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

緊急消防援助隊が合同訓練 1都9県の隊員ら1400人が集結 

県内で20年ぶり 大規模災害発生時に全国各地に駆け付ける緊急消防援助隊 関東ブロックの合同訓練が12日、土浦市小高にある採石場、塚田陶管柳沢工場の敷地内で実施された。1都9県(東京、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、静岡、福島)の緊急消防援助隊による合同訓練の一環で、県内での開催は20年ぶりとなる。 12日と13日の2日間、土浦市のほか、ひたちなか、神栖、鉾田、鹿嶋、水戸市の13会場で、1都9県の緊急消防援助隊員や関連機関など約1400人が参加し、倒壊建物救助訓練、多数負傷者救助訓練、石油コンビナート火災対応訓練などのほか、宿営地設置・運営など後方支援訓練や、指揮本部運営訓練なども実施されている。 土浦の集落が孤立したと想定 訓練は、連日の大雨により河川氾濫や土砂災害が発生している中で、茨城県沖を震源とする震度6強の地震が発生したという想定で行われた。津波や大規模火災などが県内各地で発生し、多数の負傷者や孤立者が出た複合災害の状況を想定した。 土浦市の会場では、東京、埼玉、栃木の3都県の緊急消防援助隊210人と、茨城県内の消防広域応援隊14部隊60人が参加。同市東城寺地区の集落が土砂崩れにより孤立したと想定し、消防隊員らが専用重機で道路の障害物を除去したり、崩れた土砂に埋もれた車両や倒壊した家屋の中からの救助、ヘリコプターによる上空からの救助などの訓練が実施され、部隊同士や関係機関との連携、指揮系統の確認などが行われた。 ほかに自衛隊、国土交通省、茨城DMAT(災害派遣医療チーム)なども加わり、がれきが散乱して通行が困難な場所でも走行できる救助車両や消防ヘリコプター、照明車など約80台が救助訓練に当たった。 鬼怒川水害では支援受け入れ 緊急消防援助隊は、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに創設され、大規模災害時に消防庁長官の要請などにより、他の都道府県から派遣される。2011年の東日本大震災や24年の能登半島地震でも活躍した。県内では、15年の関東・東北豪雨による鬼怒川水害の際に支援を受けている。 緊急消防援助隊ブロック合同訓練は、1996年から全国を6ブロック(北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州)に分け、各ブロック内の都道府県が持ち回りで実施してきた。茨城での開催は2005年以来となる。 茨城県消防安全課は今回の訓練について「県内での大規模災害の発生を想定し、近隣都県の緊急消防援助隊の応援を受け入れ、多くの関係機関とともに実施する今回の訓練は、受援体制の強化に大きく寄与する大変意義深いもの。本訓練を通じて、本県の受援体制の見直しを図り、茨城県緊急消防援助隊受援計画へ反映させていきたい」と話している。(柴田大輔)

暑かった今年の夏、原発事故の夢を見た《ハチドリ暮らし》55

【コラム・山口京子】今年の夏、重苦しい夢を見ました。SFの世界が現実になるのかと…。どこかの原子力発電所で事故が起き、放射性物質が大量に空中に放出されました。メルトダウンしたのでしょうか。風の向きによりますが、私の暮らすところにも避難勧告が出ました。過酷な事故が起きれば、原発から数キロだろうが数百キロだろうが誤差でしかなく、結局は地球全体が汚染されることになり、どこにも逃げ場はないのです。 東京電力福島第1原子力発電所の事故を経験したわけですから、東電は「とんでもない事故が起きてしまいました。取り返しのつかないことです。ですので、原子力発電事業から撤退します」と言うのかと思ったら、逆の方向に進んでいます。 何事でもきちんと知った上でないと、意見も的外れやピンボケになります。なので、ジャーナリスト、原子力や地震の専門家、弁護士、知識人などの本を読みました。原発の差止訴訟が全国で起きていること、「原子力市民委員会」「脱原発弁護団全国連絡会」「ノーモア原発公害市民連絡会」などの活動も知りました。 元裁判官による「原発入門」 心して読んだのが、「原発を止めた裁判官による保守のための原発入門」(樋口英明著、岩波書店)です。多くの人が原発を容認してしまっているのは、福島原発事故の実態と原発の本質を知らされていないからだ、と著者は指摘します。 報道されない原発トラブルが多数ある、被害の大きさを多くの国民は知らない、原発は水や電気が失われればコントロールできなくなる、事故後は通常管理されている原発とは異なる状況にあり今も危険な状態が続いている―などと、警鐘を鳴らしています。 原発の本質の一つは、人が管理しないと暴走するため、人による安全三原則「止める」「冷やす」「閉じ込める」が不可欠です。もう一つは、暴走した場合の被害は甚大であるため、福島第1原発の吉田所長、原子力委員会の近藤委員長、菅首相たちは「東日本壊滅」を覚悟した―とも。 樋口氏は自著の後半で、原発の五重苦として①人の継続的な管理を要する②地震大国であるにも関わらず耐震性が低い③原発を管理するのに必要不可欠な発想がない④技術力がない⑤倫理観がない―ことを挙げています。そして、原発差止め訴訟を担当しながら裁判官が原発の危険性を知らないことは罪が重い、と。 原発問題は国防問題? さらに、原発を止めるべき理由として、①原発の過酷事故のもたらす被害は極めて甚大である②それゆえに原発には高度の安全性が要求される③地震大国日本においては高度な耐震性が要求される④しかし日本の原発の耐震性を正当化できる科学的根拠がない⑤したがって原発運転は許されない―と。 原発問題はエネルギー問題でも環境問題でもあるが、その本質は国防問題だとも述べています。(消費生活アドバイザー)

給食にカメムシとアブラムシ混入 つくば市 4小中学校

つくば市は11日、市内の小中学校4校で同日提供された学校給食18食以上に、カメムシとアブラムシが混入していたと発表した。同日午後6時時点で児童生徒に体調不良などは確認されていないという。 同市教育局健康教育課によると、虫の混入が分かったのは小学校3校と中学校1校の計7学級で18人以上に提供された給食。学校別では、吾妻小の3学級で3人、栗原小の2学級で10人以上、九重小の1学級で4人、桜中の1学級で1人に提供された給食にそれぞれ虫が混入しているのを児童生徒、教職員が発見した。 ほうれん草を使った献立「ほうれんそうとくらげのあえもの」の中に体長1.3センチほどのカメムシ、小松菜を使った「ひらひらわんたんスープ」に体長1ミリほどのアブラムシがそれぞれ混入していた。 いずれも市桜学校給食センター(同市天王台)が同日、調理し、幼稚園2園、小学校5校、中学校2校に計3192食提供された給食の一部で、ほうれん草と小松菜は、いずれも市内で栽培された有機野菜だった。 同課によると、給食センターでの野菜の洗浄方法は、水が流れている3槽のシンクでそれぞれ3回洗浄することになっている。同給食センターではこの日、ほうれん草と小松菜に虫が混入していることに気付き、所長から調理委託業者に、徹底して洗浄するよう指示があった。調理員は、流水の3槽のシンクでそれぞれ3回洗浄したが、すべての虫を取り除くことが出来なかったという。 同日12時45分ごろ、吾妻小から給食センターに連絡があり、その後、他の小中学校から次々に連額があった。各学校で給食を停止するよう周知したが、一部のクラスを除いてすでに食べた後だったという。 市は同日、虫の混入が判明した4校の保護者にお詫びの通知を出した。 今後の対応策として同課は、給食センターで野菜を洗浄する際は目視による確認をさらに徹底するほか、洗浄回数を増やすことも検討したいとしている。

「置き薬」と「置き絵」《続・平熱日記》186

【コラム・斉藤裕之】9月の終わり、長野県千曲のギャラリー「art cocoon みらい」を訪ねた。紅葉にはまだ早いどころか、まだ夏の名残のある今年の信州。 目的の一つはギャラリーに置いてあった作品を引き取り、新たに作品を置かせてもらうこと。季節柄、クリスマスに向けての作品も所望されたが、特にクリスマスに向けた絵を好んで描いているわけでもないので、冬っぽいのを見繕って持って行った。 「なんだか富山の『置き薬』ならぬ『置き絵画』みたいですねえ。置き薬のように使った分だけ補充方式。昔は『風呂敷画商』なんていうのもありましたねえ」。ギャラリーのかおりさんとの会話がはずむ。いいのを選んでもらおうかと思っていたが、とりあえず全部置いていくことにした。まあ、物が小さいから邪魔にもならないだろうから。 ギャラリーでは、若い女性の作家がヨーロッパを旅してしたためたスケッチを展示していた。というと優雅な旅を想像することもできるが、彼女は例えば冬のスペイン北部、サンチアゴ・デ・コンポステーラを目指して巡礼の旅をしてきたという。日本でいえば、四国のお遍路さんみたいなものかもしれないが、うら若き日本人の女性がそう簡単に歩けるものではないはずだ。 ギャラリーには、足取りを記した地図や水彩絵具、巡礼者のあかしとして実際に身に着けて歩いたホタテ貝(聖ヤコブのシンボルだとか。そういえば仏語でホタテ貝のことを「サン・ジャック」というなあ)も展示されていた。それから、南仏、イギリス、スウェーデン、フィンランドと彼女の旅は続く。 私はその旅の軌跡にちょっとした偶然を感じていた。実はおよそ30年前、ほぼ同じような場所を訪ねていたからだ。次女がお腹にいたころ、ベビーカーを押して妻と長女と訪ねたのはスペインと南仏。それから、スウェーデンの画家の友人を訪ねて旅をしたストックホルム、ヘルシンキ。私の場合は彼女と違って呑気(のんき)な旅だったが…。 ただ、これも偶然といえばそれまでだけど、私は少し前から何となく気になっていたロマネスクの教会を紙粘土で作って描くようになっていた。それから以前から教会の窓やステンドグラスの絵も好んで描いていたので、彼女のスケッチに登場する風景やモチーフをごく自然に受け入れることができた。若いのに、ちゃんと絵に向き合っていてえらいな…。 「こんにちは! 置き絵で~す」 幼いころ、我が家にも置き薬はあった。お腹が痛いとき、風邪を引いたときに飲まされた薬は、テレビのコマーシャルで聞く名前とは微妙に違っていて、効能に半信半疑だった(もちろん効いたと思う)。しかし、置き薬方式に絵を置いてもらうのも悪くないと思えてきた。それ、ネットでいいんじゃない? いや、年に一度、「こんにちは! 置き絵画で~す」と訪れるのがいいじゃないか。 次に千曲を訪れるのは杏の花が散った後か。ギャラリーの目の前にある神社には真っ赤な彼岸花が咲いていた。(画家)