【山崎実】霞ケ浦の日(9月1日)に前後して、霞ケ浦のごみ問題など流域住民による浄化運動が行われた最中、県霞ケ浦水質保全条例などの関係条例、法令を一部改正し、流域に立地する小規模事業所の厳しい排水規制に乗り出した県は、改正内容の普及啓発活動に全力を挙げている。
霞ケ浦は1972年11月、環境庁(当時)から全域が湖沼Aに類型指定され、汚染の目安とされるCOD(化学的酸素要求量)値を1リットル当たり3ミリグラム以下に抑えること、また1986年4月の環境庁告示で全窒素は1リットル当たり0.4ミリグラム以下、全リンは0.03ミリグラム以下にするとされている。
しかし現実は昨年度の調査でCOD値が7.4と前年度の7.2とほぼ同程度の横ばい、全窒素は前年度が1.1、全リンも0.091と、環境基準値を大幅に上回っている。
汚濁負荷要因は様々だが、生活排水、中でも流域に4~5万経営体はあるといわれる小規模事業所からの排水が問題になっている。飲食店やコンビニなど、全ての事業所や工場がこれに該当し、排水基準超過は55%に上る(県資料)。
そこで県は今年3月、罰則規定を盛り込んだ霞ケ浦水質保全条例の一部改正を県議会に提出し承認されたのを機に同月28日に公布した。
改正内容の骨子は▽排水の基準超過に対し改善命令、排水の一時停止命令が出せる▽改善命令に従わなかった場合、最大100万円の罰金が課せられるなど、罰則が適用される▽条例などに届け出対象のうち、排水量が1日当たり10立方メートル未満のすべての工場、事業場は、定期的な排水の水質測定と結果の記録を義務付けるーの3点。内容に関する相談などについては、ワンストップ窓口(県環境対策課、電話029-301-2966)で対応している。
施行は2021年4月1日。現在は改正内容を周知徹底する猶予期間で、県は県環境保全施設資金融資制度など、流域小規模事業所を対象とした制度金融による支援策も打ち出している。
流域住民の飲料水だけでなくサイクルツーリズム(自転車観光)のメッカとして脚光を浴びつつある霞ケ浦。観光面からも、待ったなしの水質浄化対策が迫られている。
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