【コラム・玉置晋】前回のコラム(8月8日掲載)で紹介した「地球近傍天体」が地球に接近していた7月末に、友人家族から長野県の野辺山に行こうとお誘いを受けました。野辺山には、国立天文台野辺山宇宙電波観測所という、日本の宇宙電波観測の拠点があります。
マサヒロ父さん、サチコ母さん、小学生のユズノ、ソメノ、ブンタは、宇宙が大好きなファミリーです。サチコ母さんによると、ユズノは、このコラムを読んで、宇宙天気研究者・エンジニアを目指しているとのこと。将来の共同研究者の夢を育む責務が僕に生じたわけです。責任重大です。
お誘いをうけてからLINEのトークを確認したところ、「日帰りで野辺山に行く」と書いてあるぞ。行けるのかい? 僕が住む茨城から野辺山高原まで、大分遠いという印象を持っていました。
大学生のころ、実習に参加するために野辺山に行ったことがあったのですが、朝出発して到着したのは夕方だったような、と不安を覚え、地図サイトでチェック。車で250キロ、3時間と出ていたので、一安心。電車で行ったとしても、特急を使えば4時間とのことです。
大学生のころは、車もお金もなかったので、普通電車に乗って、寄り道しながら野辺山に向かったのでしょう。とはいえ、3時間の行程なので、それなりに早起きしないといけないなあと覚悟しておりましたが、そこにサチコ母さんから「ごめん、午前3時に集合」との連絡。
「甲斐の国の武将は?」「武田真治!」
当日、あくびが止まらない中、午前2時に家を出発して、宇宙ファミリーのおうちに到着。マサヒロ父さんが手を振って迎えてくれ、子供たちもスタンバイOKで大はしゃぎ。サチコ母さんは、朝ごはんのおむすびを握っています。
マサヒロ父さんの運転する車に乗り込み出発。圏央道を通って中央道に入り、上信越自動車道を経て、野辺山高原へと向かいます。
僕の隣にはブンタが座り、近況報告やら、お気に入りのキャラクターについて熱心に語ってくれる。ときおり変顔をする。とにかく面白い子どもです。「〇〇県の県庁所在地はど~こだ?」。旅のはじめからテンション高めで、クイズ大会をしておりました。
途中、山梨県のサービスエリアで休憩。「甲斐の国の武将といえば?」。ソメノ「武田真治!」。ソメノよ、違うぞ。それは筋肉体操のお兄さんだ。このように、ほのぼのとした旅のはじまりでした。2時間後に僕は死にかけることを、このときはまだ知らない…。(宇宙天気防災研究者)
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