【鈴木宏子】車いす卓球で2020東京パラリンピック出場を目指すネパール代表候補のケサブ・タパ選手(29)が30日、つくば市天久保の妻木バッティングセンター内卓球場で子供たちと卓球をして交流した。
ケサブさんは、8月1~3日、東京都の港区スポーツセンターで開かれる「パラ卓球国際大会ITTF PTTジャパンオープン2019東京大会」(国際卓球連盟主催)に出場するため29日、来日した。
ネパールで障害者スポーツは、代表に選ばれるまで国の支援が受けられず、渡航費や滞在費をすべて自分でまかなわなければならない。費用を節約するため、日本滞在中の支援をつくば市の障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」に申し出た。
車いすの障害者で、市内のアパートで介助を受けながら自立生活をする、ほにゃら事務局の斉藤新吾さん(44)が引き受け、大会期間中、ケサブさんは、斉藤さんのアパートに滞在しながらつくばエクスプレス(TX)で大会会場に通う。

出場へ向け遠征費のカンパ募る
大会を前に30日夕方の約2時間、ほにゃらのスタッフや子供たちと、つかの間の交流を楽しんだ。ケサブさんは試合とは打って変わって、笑顔で子供たち一人ひとりにやさしく返球していた。
一緒に卓球をした市立松代小5年の五十嵐弘憲さん(10)は「一緒にできて楽しかった。パラリンピックに出場できるよう応援したい」などと話していた。
ケサブさんはネパールの首都カトマンズ出身。大学生だった2011年、事故で脊椎を損傷した。車いすとなったが、その後、卓球を始め、大学に復学し大学院にも進んだ。現在は赤十字社のコーディネーターとして働きながら東京パラリンピックを目指している。
ほにゃらとの縁は、障害者福祉の向上に寄与する人材を育成する「ダスキン愛の輪アジア太平洋障害者リーダー育成事業」の第18期生として、2016年に来日し、10カ月間、日本各地で研修したのがきっかけ。つくば市にも約10日間滞在し、ほにゃらで当事者による自立支援の取り組みや介助者の育成方法などを学んだ。
1年半後、今度は卓球選手として再び来日することになり、斉藤さんに支援を申し出た。ケサブさんは「斉藤さんの家に宿泊出来てうれしい。もし宿泊できなければ本当に大変だった」と話す。
ケサブさんは来年3月まで、台湾、日本、タイ、中国で開かれる国際大会を遠征し、良い成績を残すことができれば東京パラリンピック出場が決まる。出場できればネパール初の卓球パラリンピック選手になるという。
斉藤さんは「ケサブさんがパラリンピックに出場できるよう応援したい」と話す。ほにゃらではケサブさんの渡航費用のカンパを募っている。
◆問い合わせは電話029-859-0590(つくば自立生活センターほにゃら)