【橋立多美】つくば市が地域の意見や要望を一括して受け付け、課題解決に取り組んで市政に反映させる「地区相談センター」を市内6カ所に設置して2年が過ぎた。南部の茎崎地区に設置された「茎崎相談センター」は、足繁く相談に訪れる区長たちに好評だ。
相談センターは2017年4月に筑波、大穂、豊里、桜、谷田部、茎崎のそれぞれの地区に設置された。地区の人口の伸びや相談件数に応じて市職員が配置されている。茎崎相談センターは今春着任した秋葉義美センター所長(59)と茂木翼さん(35)が相談に応じている。
今年4月から6月末日までの3カ月間に受け付けた相談件数は75件。道路や防犯灯、空き家などの「建設系」が47件と全体の6割強を占める。次いで上下水道、不法投棄のごみなどの「生活環境系」が7件で1割弱。相談に訪れたのは延べ35人。区長(自治会長)や市議会議員、民生委員、市民などだが、区長は全体の6割強(20人)と圧倒的に多い。(1人で複数件の相談があり、件数と人数は一致しない)
区長の仕事は、防犯灯やごみ集積所の維持管理、道路、路面標示、側溝の補修の要望を行政に伝えるなど多岐にわたる。また行政への要望の申請は区長が届け出ることになっている。これらが区長たちを相談センターに頻繁に足を運ばせている。
茎崎地区最大の住宅団地、森の里自治会の倉本茂樹会長(77)は「入居から40年を過ぎ、道路などの公共的な設備や施設が老朽化して市に要望する件数が多くなった。相談センターができる前は無しのつぶてのケースがあったが、今は間違いなく回答を受け取ることができるようになった」と話す。
同地区区会連合会会長の小原正彦さん(80)は「高齢の区長たちにとって地区内で相談できるのは良いことだと思う」と評価する。
茂木さんによると、地区相談センター設置に併せて業務を管理するための「相談システム」が整備され、相談センターと案件に対応する各部署が情報を共有し、連携して問題解決に当たっている。市民がたらい回しにされるなど縦割り行政の弊害を払拭しようとする仕組みで、案件がデータ管理されることで進捗(しんちょく)状況の確認ができるという。
同センターは、相談を受けた翌日に現場確認を行って担当する部署に案件を伝える。おおむね1、2週間、長くて1カ月以内に相談者に回答して解決に至っているという。
新たな仕組みで相談業務が円滑になったが、滞るのが管理されていない空き家や山林の相談だ。
昨年度の同センターの相談受付件数は計約160件。インフラや生活環境に関する130件は解決したが、残り30件は老朽化が進む空き家や隣接する山林から樹木が越境してくるという困りごと相談。担当部署が所有者に適正な管理をお願いする文書を出しても改善されず、未解決となっている。
民事に関する相談は行政書士や法テラスにつなげる。まれに生活苦や将来への不安を訴える相談者もいる。
茂木さんは「傾聴することで落ち着かれる方もおられる」と話す。秋葉センター所長は「思い立ったら気楽に来てほしい」と来所を呼び掛ける。
◆茎崎相談センターの相談受付時間は午前8時30分~午後5時15分、土日祝は休み。つくば市小茎320(茎崎保健センター内)。電話029-883-1384。
【2018年度の地区相談センター実績】▽大穂=131件▽豊里=142件▽谷田部=249件▽桜=330件▽茎崎=162件▽筑波=84件。谷田部と桜の相談件数が突出して多いのは、つくばエクスプレス(TX)沿線開発により新たなまちが形成され、通学路の整備や防犯灯設置などの要望が急増したため。