「装具難民なくしたい」 つくばの2社が福祉機器情報管理システムを共同開発

福祉機器の補装具に貼り付けたQRコードのシールを紹介する幸和義肢研究所の横張巧副社長㊧とペンギンシステムの仁衡琢磨社長=つくば市役所コミュニティ棟

【鈴木宏子】「装具難民」をなくしたいと、つくば市の義肢装具メーカー、幸和義肢研究所(同市大白硲、横張和寿社長)とソフトウェア開発会社、ペンギンシステム(同市千現、仁衡琢磨社長)が、福祉機器のトレーサビリティー(履歴管理)システムを共同開発した。車いすや義足などの耐用年数や、不具合が起こったときの修理方法などがQRコードで分かり、利用者と製造会社などが情報を共有して、いつでも適切なサポートを受けることができる。

車いすや義足、杖などの福祉機器を使い始めても、その後、壊れたり、耐用年数を超えたり、体の状態が変化して合わなくなることがある。福祉機器は使う人によって一つひとつ異なるため、それぞれに応じた適正なサポートが必要だが、使って数年が経過し、利用者が、いつ、どこで、だれが作ったかが分からなくなると、正しいサポートを受けられない場合があるという。高齢者社会が進行し福祉機器を使う人が増える中、福祉機器が壊れたまま自宅で埃をかぶっていたり、合わないのに使い続けたりしている状況が「装具難民」として医療や福祉の分野で問題になっている背景があるという。

QRコードによるトレーサビリティーシステムは、利用者と、福祉機器製作会社、医療・介護関係者などが常に情報を共有して、利用者が正しいサポートを受けられるようにしようと開発された。「ぽーさぽーと」という商品名で、QRコードを車いすなどに貼り付け、読み取れば、ウェブサイトに保管してある、処方した病院、福祉機器を製造した会社、製造日、型式、目的や効果、仕様、耐用年数などの情報がすぐに分かる仕組みだ。

同システムは、市内中小企業の技術マッチングを応援しようとつくば市が7月に開始した「提携締結・協業成果情報発信事業」の第1号に選ばれた。今後、市が関係する技術展示会などで展示してもらいPRするという。

さらに両社は、13~14日に仙台市で開かれる第35回日本義肢装具学会学術大会で発表するほか、10月に神戸市で開かれる第17回国際義肢装具協会世界大会にも参加し、国内だけでなく海外展開もしていく方針だ。

開発したシステムは今後、幸和義肢研究所が福祉機器製造会社を対象に販売する。導入費用は製造会社に負担してもらい、利用者には経済的負担がないようにする。価格は、QRコードラベルを発行する「ぽーさぽーとアプリ」などを導入する初期費用が15万円、月額利用料は1万6000円。システムを導入すれば、製作会社は何件でも製品情報を登録し、QRコードを発行できる。製品の情報や操作履歴は自社で管理できる。

幸和義肢研究所の横張巧副社長は「今まで関東しか営業エリアがなかったが、このシステムで国内だけでなく世界に商品提供できる企業に成長していけたら」と述べ、ペンギンシステムの仁衡社長は「つくばの2社が世界に旋風を巻き起こすことができたら」と話している。

◆問い合わせは電話029-875-7627(幸和義肢研究所内ぽーさぽーとプロジェクト)