【鈴木宏子】つくばの研究機関や民間研究所などで構成する産官学の交流組織「筑波研究学園都市交流協議会」(事務局・文科省研究交流センター)の2019年度総会が28日、同市竹園の同交流センターで開かれた。つくばが国交省の先行モデルに採択された「スマートシティ」をテーマに、今年度から実際に実証実験に取り組む筑波大学システム情報工学研究科長の大沢義明教授と、けん引役の県産業戦略部技術振興局の飯塚一政局長がそれぞれ講演し、スマートシティの先の未来のつくばの姿を語った。
大沢教授は、同大とトヨタがこれまで取り組んできた共同研究の成果を話し、車に搭載されたセンサーなどの情報を収集・分析して、周辺の道路状況を把握したり、災害復旧支援などに活用する近未来の地域社会の姿を語った。
今年度からつくばで始まるスマートシティ先行モデル事業の実証実験の中身も紹介した。筑波大学を行き来する路線バスで、顔認証によるキャッシュレス決済を行うほか、公共交通と医療サービスをつないで、バスに乗った人が顔認証により筑波大附属病院の受診受付や診療費の支払いなどを一括して行えるようにする。さらに排気ガスの心配がない水素燃料電池の路線バスや救急車を運行して、病院の建物の中に直接入る実証実験なども計画しているという。大沢教授は「つくばで日本版スマートシティを実現したい」と意欲を語った。
大沢教授はほかに、車の走行台数と駐車場空きスペースなどさまざまな情報を最適にマッチングさせることで、鹿島アントラーズ試合開催日のサッカースタジアム周辺の渋滞解消や、ゴールデンウイークや紅葉シーズンの筑波山周辺の渋滞解消などに取り組む計画があるという。
県の飯塚局長は、つくばが、国交省のスマートシティモデル事業と新モビリティサービス推進事業の二つの先行モデルに選ばれたことを強調し、その先に「まるごと未来都市」と呼ばれるスーパーシティがあるなどと未来のつくばを話した。
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