【コラム・室生勝】知り合いのCさんに、故郷から呼び寄せた、ぜんそくが持病のお父さん(77歳、H郎さん)の「かかりつけ医」を探すのを手伝ってほしいと頼まれた。H郎さんは、家庭の事情でUさん宅近くのアパートで1人暮らしをしているが、買い物、調理、掃除、洗濯、入浴などの日常生活は自立している。時々、呼吸が苦しくなることがあるという。

早速、Uさんと私は、ネットでH郎さんが歩いて通える内科診療所を探した。高血圧もあり、大腸が敏感で下痢しやすいので、身体全体を診てくれる内科医が希望だ。将来、通院できなくなったときのことを考え、訪問診療をしてくれる内科医を探した。

医師会のホームページ(HP)から、3カ所の診療所を検討。2つにはHPがあったが、もうひとつにはHPがないうえに、医師会のHPにも診察時間さえ記載されていなかった。何のための医師会HPなのだろうか。3年以上、改訂されていないようだ。

HPがある2つの診療所から、往診はしないが訪問診療する診療所を選んだ。Uさんに、往診しない医師がどうして訪問診療するのかと聞かれた。訪問診療は定期的に患家(かんか)を訪問する診療だから予定を組めるが、往診は緊急に依頼されるので、外来診療で忙しいと対応できないからではないかと答えた。

つくば市のHPからも、往診や訪問診療をしてくれる医師を探すのは可能だ。 介護保険→その他→介護保険についてのパンフレット等→つくば市内の介護保険事業所を経て、やっと「つくば市在宅医療と介護のサービスマップ」にたどり着く。もっと探しやすくしてほしい。このマップは冊子にもなっている。

この情報は2018年1月のもので、医師会のHPよりも信頼できそうだ。訪問診療の内容のほかに、「看取り」可・不可の欄もある。可は臨終に立ち会うという意味である。往診か訪問診療のどちらかを行っている、あるいは両方行っている診療所は51カ所。訪問診療だけは44カ所で、うち5カ所が外来診療を行わない在宅医療専門診療所である。

つくばの在宅医療専門診療所

「地域包括ケアシステムの姿」にあるように、在宅医療介護サービスは30分以内に提供できることが望ましい。法定速度で車が患者宅に到着できる距離にすると、約10キロまでになる。長く通院していた患者が通えなくなったら、訪問診療するのが「かかりつけ医」の本来の姿である。

医師会HPの「かかりつけ医Q&A」の「かかりつけ医」を選ぶ3つの目安の一つに、「病気だけでなく、暮らし(生活)についても理解してくれて、身近で頼りになる。さらに、必要な時は往診や訪問診療など在宅医療もしてくれる」とある。

つくば市の訪問診療について、5つの在宅医療専門診療所に「任せ過ぎではないか」との声を耳にする。在宅専門医の訪問診療範囲は隣接市町村までに及び、往診の依頼があっても30分以内に到着できない場合もある。在宅専門医には、人工呼吸器、中心静脈栄養、緩和ケアなどの治療を担ってもらい、「かかりつけ医」は副主治医として、患者の願いに応えてほしい。(高齢者サロン主宰)

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