【コラム・浅井和幸】質問:職場での人間関係でうまくいかないことが増え、仕事の内容でもミスが増えて、徐々に体調を崩しました。今、うつ病で休職中です。ちょっとずつ元気になってきましたが、まだ仕事場に戻るのは不安があります。職場復帰のタイミングを教えてください。
回答:大変な思いをされ、それでも職場復帰を考えているのですね。そのタイミングは「ミスをしたり、嫌なことがあったり、不安なことが出てきても、何とかなる」と思えるようになった時と考えるとよいでしょう。職場の受け入れ態勢なども含め、職場復帰にはいろいろな要素が絡んできますので、一つのイメージとして捉えていただければと思います。
うつ病がよくなってくると、自分はもうミスもしないし、前のように何でもできるだろうと感じるようになります。この段階ではまだ復帰は早いと思います。というのも、どのような得意なことでもミスをしたり、嫌な場面にぶつかったりするからです。
体調を崩す前のことを思い返してみてください。嫌なことや不安になることもあったと思います。うつ病で辛いときは、とても不安が大きいと思います。そんな時、うつ病でなければ不安はなくなると考えがちです。しかし、不安な感覚というのは、程度の差こそあれ、誰もが感じる感覚です。
不安も、人間にとっては大切な感覚で、大切な役割があります。不安の役割は別の機会にお伝えするとして、余談ですが、不安な感覚がない病気もあるぐらいです。
復帰プログラムを用意している病院も
話を戻しますと、職場復帰のタイミングである「ミスをしても何とか対処できる」についてですが、この何とかなるというのは、自分で対応してもよいし、同僚や上司などに協力してもらうことも含まれます。時間が解決するものもありです。仕事を手伝ってもらうのか、不安なことの相談に乗ってもらうのか、いろいろ対処法を考えるとよいですね。
もちろん、職場を離れた家庭での家族、趣味の仲間、昔ながらの友人知人に、相談したり、遊びなどで気分転換したりということもよいでしょう。主治医やカウンセラーに協力を仰ぐのもよいですね。
職場が復帰に対して協力的であれば、少々、そのタイミングを早められるかもしれません。週の出勤日数を減らしたり、1日の労働時間を少なめにしたり、慣らし期間を設けていれば、積極的にその制度を利用しましょう。
ちょっとした苦手な人、苦手な作業、苦手な環境への対処の相談をすることもお勧めします。あまり協力的ではない職場に対し、主治医に診断書を書いてもらい配慮を促すという方法も考えられます。
職場復帰プログラムを用意している病院もありますので、主治医と相談してみてください。じっくりと専門的に練習したいと思えば、職業準備支援、ジョブコーチなどをキーワードに様々な支援をしている場がありますので、下にご紹介しておきます。(精神保健福祉士)
▽独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構茨城支部茨城障害者職業センター
➡浅井和幸氏の過去のコラムはこちら