【コラム・室生勝】前回紹介した、訪問看護ステーションが開いた「まちの保健室カフェ・タームズ」は、市民の健康や病気の自己管理、在宅医療介護の相談を受ける場である。同時に、訪問看護師が民生委員と協働するため、民生委員の悩みを聞き、相談相手になれればと願っている。今月のカフェも、新しく出席した民生委員を含めて数名から、悩みや関わっている高齢者への思いを聞いた。
民生委員は担当地区の高齢者名簿の中から、ひとり暮らし高齢者と高齢者のみの世帯を訪問し、困っていることや相談したいことがないかを伺う。さらに、生活状況や健康状態も聞いて、支援が必要と思われる人を本人の了解を得て高齢福祉課へ報告する。
各地区の報告が記入されたものが高齢者台帳である。記載された高齢者については、月1回あるいは必要に応じて月2~4回訪問する。ところが初回の訪問時に、インターホン越しに「大丈夫です」と返事されれば、高齢者台帳の対象にならない。そのような人の中に、何となく気になる人がいる。しかし、訪問する理由がない。その場合、市の高齢者サービス一覧や季節の小さな花束を持って訪問していると言う。
台帳の対象でないが、直接顔を合わして話すことができない高齢者をどうしたらいいのか。顔を見せてくれれば、宅配食事サービスを試してもらえるかもしれない。それをきっかけに玄関先で会話ができるようになれば、少なくとも安否確認になる。
旅行するときは隣近所に言って
カフェでは、大変な安否確認の話もあった。訪問看護を利用していた要支援2の80歳代の1人暮らし女性を安否確認で訪問したが、インターホンにも、窓をたたいても、携帯電話も通じないので、留守かと思った。しかし気になって、3時間後に訪問して大声をかけたら、「お風呂に入ってます。大丈夫」との返事。
その後、電話してもつながらず、さりげない見守りに来たふれあい相談員さんと一緒に声がけした。息子さんに「お母さんは家にいますが、気になるので鍵を持って来てください」と電話。息子さんが到着して解錠。浴槽内で足が踏ん張れず立ち上がれなかった本人を、抱え上げたそうだ。
健康状態が優れないように見え、医療機関にかかったことがあるかと聞くと、かかりつけ医がないと。クリニックか病院の受診を奨めても、「大丈夫です」の返事だけ。ボランティアで訪問してくれる保健師や看護師がいてくれたら助かるんですが、と。
ひとり暮らしで自立している高齢者の中には、隣近所に留守にすることを伝えないで旅行に出掛ける人がいる。いろいろな事情で近所と付き合いがない人に、是非、区会役員か民生委員に留守になることを伝えてほしい。一見自立した高齢者の中には認知症の初期の人もいる。火の不始末が心配である。注意をお願いすると、嫌な顔をされることが多い。消防署の防火安全指導をしてほしい。民生委員の悩みは尽きない。(高齢者サロン主宰)