【コラム・入沢弘子】土浦市立図書館は、去る11月27日に移転開館1周年を迎えました。これまで来館された約60万人の皆様に心より感謝申し上げます。また、日ごろボランティアとして運営にご協力いただいている市民の皆様、図書館を支えてくださる事業者や関係機関の皆様に御礼を申し上げます。

この1年間の利用者動向と利用者アンケートを分析したところ、新たな傾向を把握することができました。旧図書館と比べた大きな変化は3つあります。青少年の利用激増、貸出冊数の増加、10代学生の利用増加—です。

1つ目の青少年の利用ですが、年齢別新規登録者数を見ると、16~18歳が旧図書館と比べて82倍、13~15歳が同45倍、10~12歳が同16倍と、小学高学年~高校生年代の登録が大きく増えました。

この理由としては、学習室利用の予約制導入が大きいと考えられます。彼らは自習利用だけでなく、本も読むようになりました。年齢別貸出冊数で一番伸びたのは16~18歳で、約6倍に増えました。

2つ目の貸出冊数の増加では、年間約59万5000冊の貸し出しがあり、市民1人当たり4.26冊と、旧図書館の1.94冊と比べ2.2倍になりました。来館しやすい場所、開放的な書架の設置—などが要因と考えられます。

3つ目の10代学生の増加については、毎日実施しているアンケート調査792通の分析結果から明らかになりました。回答者の4割が10代、8割が徒歩や自転車で来館する市内在住学生というプロフィール。彼らは週に2回程度来館し、1回の滞在時間は30分~2時間が6割でした。

来館目的は本や雑誌の閲覧や借用で、図書館内の環境、スタッフの対応に高い満足度を示しています。自由回答欄に寄せられたご要望を、可能な限りすぐに改善してきたことが報われました。若い年代が図書館に関心を示し、調査に積極的に回答することはうれしい限りです。

駅前周辺の歩行者も大幅増

図書館の周辺もにぎわいが感じられるようになってきました。速報値ではありますが、市が毎年11月に実施している交通量調査でも、アルカス土浦をはじめとする駅前周辺の歩行者の増加が見られます。

市役所が駅前に移転した4年前と比較すると、休日が約150%増(8200人増)、平日が111%増(3250人増)となりました。アルカス土浦の完成により、図書館や市民ギャラリーへの休日の来訪者が増えたと考えられます。

開館前は、「駅前再生最後の切り札」「にぎわい再生起爆剤なるか」などの報道に不安を感じた日々でしたが、1年経過した現時点ではひとまず安堵(あんど)しているところです。

今月から2年目。“ご祝儀”の時期は終わり、これからは真価が問われます。土浦の図書館として何をするべきかを考えながら、地元の皆様に末永く愛される図書館づくりを目指してまいります。年末は28日まで、年始は1月5日から開館しております。来年も土浦市立図書館をよろしくお願い申し上げます。(土浦市立図書館館長)