木曜日, 7月 10, 2025
ホーム暮らし国は全面的に争う姿勢 鬼怒川水害国賠訴訟 裁判始まる

国は全面的に争う姿勢 鬼怒川水害国賠訴訟 裁判始まる

【鈴木宏子】常総市に甚大な被害をもたらした2015年9月の鬼怒川氾濫で、水害が発生したのは国交省の河川管理に瑕疵(かし)があったためだとして、住民32人と企業1社が国を相手取って総額約3億4400万円の損害賠償を求めた国家賠償訴訟=8月7日付け=で、第1回口頭弁論が28日、水戸地裁下妻支部(伊藤一夫裁判長)で開かれた。国側は訴えの棄却を求め、全面的に争う姿勢を見せた。ただしどのような主張を展開して争うかについては、次回以降の準備書面で明らかにするとした。

この日の裁判は傍聴者の抽選が行われ、法廷は住民や支援者らで満席となった。法廷では住民側弁護団がプロジェクターを使い、法廷に設置されたスクリーンに、水害が発生した原因や国の河川管理の問題点などを大写しにして、国の責任を改めて追及した。

続いて原告住民2人が意見陳述をした。常総市の赤羽武義さん(78)は水害の翌年2月、妻を災害関連死で亡くした経緯を話し、時折言葉を詰まらせながら「水害が無かったならば私の妻は死ななくてすんだ。水害は防ぐことができた」と話した。

花き園芸会社を経営する同市の高橋敏明さん(64)は、水害で花や観葉植物など10万株を失ったと話し「国は責任から逃げている」などと訴えた。

訴状によると鬼怒川水害の原因は、国が若宮戸地区の無堤防状態を放置し河川区域に指定しなかったことから規制が及ばず、ソーラーパネル事業者によって自然堤防の砂丘林が削られたこと、堤防が決壊した上三坂地区は、地盤沈下が進み堤防の高さが年々低くなっていたが国は改修を後回しにしたこと、市中心部の水海道地区は、排水河川である八間堀川の排水機場の運転再開が操作規則に違反して遅れたことなど国の管理に瑕疵があったためだなどと主張している。

次回第2回口頭弁論は2019年3月20日午後3時から行われる。

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7月から手持ち花火OKに つくば市の公園302カ所

つくば市内の市営公園302カ所で7月1日から、手持ち花火ができるようになった。これまで公園の管理に支障のある行為だとして市都市公園条例で禁止していたが、手持ち花火に限って期間や時間帯を限定し、公園管理に支障のある行為からはずした。 ただし現在、協議会を設置し管理・運営方法を検討中の洞峰公園(同市二の宮)と、開園時間が午後5時までのさくら交通公園(同市吾妻)の2カ所、緑地帯59カ所は引き続き花火ができない。 「多くの人に子どもの頃花火をやった楽しい思い出がある。あれもだめこれもだめではなく柔軟に検討した。市として、身近な場所で夏の思い出をつくってほしい」(五十嵐立青市長)と方針を変更した。県内では取手市などが公園での手持ち花火を認めている。 つくば市では7月から9月の3カ月間、午後6時~8時30分まで楽しめるようにする。1組10人程度までとし、18歳以上の大人が付き添うことが必要。ロケット花火や打ち上げ花火、爆竹などは近隣住民や他の利用者の迷惑になるため禁止する。消火用のバケツを持参し水をくんで用意する、花火が終わった後はごみを持ち帰ることが必要。大声で騒いだり飲酒をしたりすることは禁止する。ルールが守られない場合は見直すという。 市役所駐車場を開放 一方、手持ち花火をしたいけれど近くに楽しむ場所がない市民のために、市は8月14日、15日の2日間、市役所駐車場を開放する。駐車場を44区画に区切り、1グループ6人以内で、1日44組まで楽しむことができる。会場ではかき氷やアイスコーヒーなどを販売する。 つくばみらい市が市役所を開放して実施していることから、つくば市でも実施する。手持ち花火、ライターなどの着火器具、バケツは自分で用意する。 参加費は無料。参加は事前申込が必要で、7月11日から31日までいばらき電子申請・届出サービスから申し込む。先着順。(鈴木宏子)

4年連続の赤字 つくばのまちづくり会社、24年度決算

黒字化予定も大幅減収 つくば市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)の2024年度決算(24年4月-25年3月)が9日開かれた同市議会全員協議会に報告された。24年度の最終的な当期損益は約3258万円の赤字となり、188万円の赤字だった前年度より大幅に赤字が増えた。赤字は設立以来4年連続。 内山社長は「当初は4年目に黒字化を予定していたが大幅な減収となった」とし「(つくば駅周辺でスーパーなどの商品を配送する)自動配送ロボットの受託事業(約6000万円)が24年1月に無くなってしまったため」だと説明する。同社は市中心市街地の活性化などを目的に2021年4月に設立された第3センターで、つくば駅近くのつくばセンタービル1階で貸しオフィスなどを運営する。 元市職員のナンバー2が退職 一方、元市職員で、設立以来ナンバー2として同社の経営を担っていた小林遼平専務が今年3月末で退職したことが明らかにされた。内山社長によると退職理由は「個人的なもの」という。現在専務は空席で、内山社長が常勤で経営に当たっているとしている。 今年4月から新役員に、常陽銀行の子会社でファンドを運営する投資会社、常陽キャピタルパートナーズ(水戸市)の池田重人社長が非常勤の取締役に加わった。 社債5500万円を追加発行 同社は、つくばセンタービル1階を貸しオフィスなどに改修して開業する際、社債を発行し約3億1600万円を調達して工事費にあてた。24年度は2期工事分として新たに同ビル4階の市吾妻交流センター跡地に貸しオフィスを増やす工事(約5500万円)と、1階のオフィスを間仕切りして区画を狭くするなどの工事(約1500万円)を実施した。工事費は計約7000万円で、工事費の一部として今年6月、新たに社債を追加発行して常陽キャピタルパートナーズから約5500万円を調達したことも明らかにされた。 社債の償還(返済)については、最初に発行した約3億1600万円の元本償還が24年度から始まり、24年度は500万円を償還した。25年度は2000万円の償還が求められる。さらに今年6月に追加発行した社債5500万円の償還は来春から始まるという。 3カ年の見通し示すも 議会の要請を受けて、内山社長は25年度から3カ年の事業計画目標を今回初めて議会に示した。売上高から経費などを差し引いた営業利益は、25年は1439万円、26年度は2498万円、26年度は1960万円になるとする強気の見通しが示されたが、ただし営業外費用の社債の償還などを加えると最終損益は赤字のまま。 決算報告に対し市議からは「3億1600万円借りた社債の返済は24年度は500万円だったが、25年度は2000万円、26年度2500万円、27~30年度は各3000万円、31年度は1億4600万円ある。大丈夫か」「小林専務は会社の立ち上げから尽力した。小林専務のあと、営業活動はどうするのか」などの質問が出た。内山社長は「コンサルタントなどの受託事業が順調に積み上がると思っている」「(貸しオフィスの入居などの)営業は基本的に市への問い合わせが多く、人海戦術で動いていたわけではない。私が後方支援から前面に出てマネジメントを行う。3、4年経ち現場の職員も育ってきている」などと答えた。 スーパーシティ実証実験の受注見込む 24年度決算の内訳については、全体の売上高は、前年度より約3100万円少ない1億1826万円となった。売上高から経費(販売費及び一般管理費)を差し引いた、本業で稼いだ利益である営業利益は約2358万円の赤字で、24年分の社債の元本や利息の支払いなど営業外費用を含めると、通常事業の収支である24年度の経常損益は3258万円の赤字になった。 事業別では、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどつくばセンタービル1階のco-en(コーエン)事業は、売上高が前年度より約880万円多い約5516万円になった。コワーキングスペース(共同オフィス)の月額会員は60人(23年度末は56人)、ビジター会員は1500人超(同1375人)という。25年度は5月に4階の貸しオフィスが開業することから約2110万円増の7626万円の売り上げを見込むほか、26年度は貸しオフィスがすべて埋まるとして9286万円の売上を見込む。 地下駐車場の売り上げは前年度比微増の1404万円(23年度は1360万円)。25年度、26年度いずれも1357万円の売上を見込む。つくばセンター広場の指定管理者としては921万円の売上があり、40件(23年度は29件)を超えるイベントについてアドバイスや物品貸出などの支援をした。 コンサルタントなどの受託事業は、同市のスーパーシティ実証実験の取り組みの一つとして、パーソナルモビリティ―シェアリングサービス「つくモビ」のアドバイザーなどを受注するなどし3775万円の売上があった。25年度以降も同事業の売り上げを見込む。ほかに現在、受託を前提に(地域のつながりをつくる)エリアマネジメントの相談を数件、受けているとした。 一方、23年度にサンドイッチ専門店として事業を継続し約2100万円の売上があったつくばエキスポセンター内のカフェ事業は、借主側の事業で継続が難しくなり、25年4月に閉店した。(鈴木宏子)