木曜日, 11月 27, 2025
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「NEWSつくば」は発足から1年経ちました

理事長 坂本栄

「ネットによる新聞」をキャッチコピーにして、NEWSつくばがスタートしてから今日1日で1年になります。地域のニュースを扱う+媒体はインターネット+運営は非営利のNPO―という未体験の組み合わせですから、当初はどうなるものかと心配でしたが、何とか軌道に乗ってきました。これも、支援者の方々、多くの読者のおかげと感謝しております。

ページビューは3倍に

閲覧データを見ますと、代表的な数字であるページビューはこの1年で3倍に増えました。これを、来年3月(今年度末)には4倍にしようと、5月に開いたNPOの初総会で確認しました。そのためにはどういった工夫をしたらよいかですが、「読者が関心を持つニュース・コンテンツを提供する」ことに尽きます。

ネットの特性を生かす

NEWSつくばのメンバーは、地域紙で仕事をしていた記者を中心に構成されています。ですから、取材のプロ集団ではありますが、どうしても紙という媒体の特性に縛られ、ネット媒体についての理解が十分でないという問題があります。伝達手段として使い勝手がよい、ネットの特性をいかに生かすか。この点は走りながら考えるしかありません。

ネットの特性(活字・写真・動画・音声を即時に提供できる、これらコンテンツを保存もできる、ほかのネット媒体との連動もできる)を引き出すために、いろいろなことを企画しています。例えば、首長の記者会見を上記の4表現手段でお届けすることです。近く実現できると思います。

大学高校生記者も参加

どんな事業でも活性化できるかどうかは、言うまでもなく「人」次第です。NEWSつくばは5~6人のスタッフライターでスタートしましたが、今ではライターが倍になりました。大学生のライター、高校生のライター、別の仕事をしているライターが参加してくれたからです。これはNPOのメリットと言えます。スタッフライターとは違った視点の記事は、ネット新聞の幅を拡げるからです。

NEWSつくばでは、通常の記事のほか、地域で活躍している(活躍していた)方々のコラムを原則毎日アップしております。月1回の方と月2回の方がおりますが、寄稿していただいている方は20人になりました。どういった顔ぶれかは各コラムニストの経歴欄をご覧いただければと思います。見識を持った方々のコラムは、ネット新聞の奥行きを深めることになります。

米の寄付文化がモデル

冒頭、NEWSつくばは「非営利のNPO法人」と自己紹介しました。ということは、この組織は寄付によって成り立っているということです。われわれは、寄付によって運営されている米国のネット地方新聞をモデルにスタートしました。でも、日本の寄付文化は米国に比べるとまだまだで、資金面では苦労しております。大口・中口・小口のご寄付によって、地域に欠かせないメディアに育てていただければ幸いです。(NEWSつくば理事長 坂本栄)

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市職員が刑事告発 つくば市生活保護行政めぐり「虚偽公文書作成罪に該当」

県の監査に5年間虚偽報告 つくば市の生活保護行政をめぐる不適正な事務処理に関し、同市が県の監査に対して虚偽報告をしたのは「虚偽公文書作成罪に該当する」などとして、同市職員(40)が20日付でつくば警察署に刑事告発していたことがわかった。 告発内容は、生活保護を担当する市のケースワーカーなどの現業員が受給者に生活保護費を支給するにあたって、組織的に現業員が現金を取り扱っていたにもかかわらず、2019~23年度の5年間にわたり、県の監査調書に虚偽の回答を行い県に提出していたほか、23年度の県の監査でも県に対し「現業員が現金を取り扱うことはない」など事実と異なる説明をしていたなど。告発した市職員は、公務員がその職務を行使する目的で虚偽の文書を作成した虚偽公文書作成や背任などにあたるなどと指摘し、「虚偽が5年以上に及んだ事実を考慮すれば市が組織的に行ったものであることは否定し難い」「すべての事実が明らかになっているとは思えず、看過することはできない」などと指摘している。告発対象者は不詳としている。 現業員の現金取り扱いをめぐる虚偽報告については、県が2024年度に実施した特別監査で、市に対し「監査において虚偽の報告を行う行為は非常に悪質であり、生活保護行政に対する社会的信頼を損なうものとして誠に遺憾」だなどと指摘している(25年3月17日付)。 生活保護費の現金取り扱いをめぐっては、全国各地で現業員が現金を失くしたり取ったりしていたことが分かり、会計検査院が2007年度の報告で是正を求め、厚労省が現金取り扱い手順や決済権者を明確にした事務処理規定の整備や、事務処理方法の見直しなどを求めていた。 つくば市の場合、2015年度に「現業員は原則として金銭等を取り扱わないものとする」などの内部規定を作成し、18年10月に「現金支給については現業員以外の担当職員を指定する」などと改めた。内部規定が守られなかったことについて同市は県の調査に「(内部規定が)組織的に周知徹底されず、引き継ぎもされなかったため適切に運用されなかった。現金取り扱い員の人員不足もあり、現業員による現金支給を組織的に黙認していた。そのため監査においても事実と異なる説明を行っていた認識はあり、虚偽の報告を行っていた」などと回答している。現在は改善され「基準に基づいた運用を徹底し、二度と虚偽報告を繰り返さないことを徹底」しているとしている。 県に対する虚偽報告について、市福祉部は今年6月に発表した報告書の中で「(現業員の現金取り扱いについて)管理職は業務中も『口外しないこと』『台帳に記録しないこと』を指示し、県の監査においても事実と異なる回答をするよう指示していたと考えられる」などと記述している。なぜ5年間も県に虚偽の報告を続けたのかについての原因や背景は、報告書では明らかにされていない。 今回の市職員による刑事告発について同市の五十嵐立青市長は「(刑事告発が)どの部分か確認してないのでコメントできない。(生活保護行政をめぐる同市の不適正事務については)これまでも福祉部の報告等ですべて明らかにしているし、是正も行われているので、我々としてはこれまで通り改善を進めていきたい」としている。 刑事告発した市職員は2022~23年度まで約2年間、市社会福祉課に所属し生活保護行政を担当した。業務の中で、誤支給や誤認定など不適正な事務処理が行われていることを見つけ、内部で是正を訴えたが聞き入れられず、24年2月と3月に各種の不適正事案の是正を求めて市公益通報委員会などに通報した。その後市は、県などからの指摘を受けて24年7月に誤支給や誤認定などを公表し、25年6月に報告書をまとめた。しかし市職員は「すべての事実が明らかになっているとはいえない」などとして、24年8月と25年6月に特別委員会や第三者による調査委員会の設置などを求めて市議会に請願書を出し、不採択となっていた(9月26日付)。 告発した市職員は「最近のつくば市の記者会見や議会での様子を見るに、とても市民に対して誠実に向き合っているとは言い難く、このまま市当局に任せていても遅々として事実は明らかにならないと思い、刑事訴訟法に定められた公務員の告発義務に基づき今回告発した」としている。 つくば警察署は、告発状を受理したかどうかについて「個別のことはお答えできない。仮に出ていたとしても捜査に関わることはお答えできない」としている。(鈴木宏子)

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掃いても、掃いても《短いおはなし》45

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スズメの記憶二つ《鳥撮り三昧》7

【コラム・海老原信一】今回はスズメの話を二つしてみます。一つは、野鳥の観察・撮影を始める前のことです。小学生3人の子供たちを連れ、栃木県小山市にあった「小山遊園地」へ出かけた際の出来事です。当時、この遊園地は存在感がある施設でしたが、20年ほど前に閉園となり、今は大型ショッピングセンターになっています。 運転席の窓を全開にして、下館から結城を抜け、小山市内を走っていた時、全開した運転席に小さな塊が飛び込んできました。驚きましたが、すぐスズメであるのが確認できました。車内はこの出来事に興奮状態です。 スズメは自分のいる所が本来の場所ではないと思ったのでしょう、フロントガラスに向かい飛び出そうと羽をバタつかせています。私も、まさかスズメが同乗者になるとは想像もできませんでしたが、右手を伸ばし、ダッシュボード上で動けなくなっているスズメ保護できました。ケガはしてないようでしたので、窓から放鳥しました。 もう一つは、野鳥の観察・撮影を始めて10年ぐらい経った時のことです。「花と鳥」という定番の情景を求めて、何日か同じ場所に通っていました。今日で一区切りと思いながら、周りを眺めていると、視界の下方で何かが動き、自分の方に這い寄って来る気配。見ると、1羽のスズメが足元に来てうずくまりました。 人からは逃げるはずのスズメがなぜ? そう思ってよく見ると、足元にうずくまったまま動く気配がありません。目は半分閉じられ、ゆっくりとした呼吸が感じられるほどでした。見るからに弱っており、残された時間の長くないことがわかりました。 足元に寄って来たのは、冷えてきた自分の体を温めたいと人の体温を求めたからではないか? でも私はじっとしている以外になすすべがなく、かなりの時間そのままでいました。やがて動かなくなったスズメをそのまま置き去りにするのが忍びなく、近くのヤブに隠しました。生きている時間を少しでも遅らせることができればと。 二つの記憶。一つは楽しかった記憶。もう一つは切なかった記憶。これからも、野鳥との関わりの中で多くの記憶を残せたらと思っています。(写真家)