金曜日, 12月 6, 2024
ホーム土浦県南3JAが来年2月合併で調印 新名称は「水郷つくば」

県南3JAが来年2月合併で調印 新名称は「水郷つくば」

【鈴木宏子】JA土浦、竜ケ崎、茨城かすみの県南3JAの合併調印式が1日、土浦市城北町のホテルマロウド筑波で開かれ、新JAの名称を「JA水郷つくば」とし、来年2月1日合併する契約書に調印した。合併後はJA常陸(本店常陸太田市)に次いで県内2番目の規模となる。

合併協議会会長の池田正JA土浦組合長は「合併後は販売高の半分くらいをレンコンが占める。広域合併のメリットを生かし、海外輸出や2020年の東京五輪に向けたGAP(農業生産工程管理)認証取得を目指したい。他の作物についてもレンコンブランドをもってセールスをかけていきたい」と抱負を話した。さらに県南地域の今後の広域合併について「水郷つくばは県南の中核JAとなる。今後、JAつくば市や他のJAに合併の働き掛けを進めたい」などと述べた。

新JAの本店は現在のJA土浦本店(土浦市田中)に置き、さらに地区本部をJA土浦本店、竜ケ崎本店(龍ケ崎市)、茨城かすみ本店(美浦村郷中)にそれぞれ設置する。新組合長は現時点で未定という。

調印式は、大井川和彦知事、山岡恒夫県会議長、土浦市の中川清市長、県農協中央会の佐野治会長の4人が立会人となって、JA土浦の池田正組合長、竜ケ崎の木村透組合長、茨城かすみの糸賀一男組合長が契約書に調印した。

大井川知事は「単に合併効果だけでなく今後どうチャレンジするのか、自己改革がどういう形で実を結ぶのかが問われる。新しい市場開拓や商品開発など、県として努力は惜しみなくやらせていただきたい」などとあいさつした。

JA土浦(土浦、かすすみがうら市)は組合員数1万4386人、竜ケ崎(牛久、竜ケ崎市、利根町)は同9301人、茨城かすみ(阿見町、美浦村)は同4326人。3JAは今年3月1日合併協議会を設立し、5カ月での合併調印となった。合併後の新JAの組合員数は7市町村の2万8013人で県内2位、販売高は約104億円で県内5位の規模になる。

笑顔で握手する(左から)中川土浦市長、山岡県会議長、糸賀JA茨城かすみ組合長、木村JA竜ケ崎組合長、池田JA土浦組合長、大井川知事、佐野県中央会会長

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

生活保護行政の適正化求め つくば市職員が再び請願 市議会、特別委を再設置

つくば市で生活保護行政をめぐる不適正な事務処理が相次いでいる問題で、現役の市職員が4日、改選後の市議会12月定例会議に再び生活保護業務の適正化を求める請願を出し、市議会は6日、請願審査特別委員会(小村政文委員長)を再度、設置した。 請願は最初、市議会9月会議(9月3日付)に出され特別委員会が設置された。しかし継続審査となり(9月13日付)、前の市議の任期満了により11月29日に審議未了で廃案となった。 新たに出された請願は①真相究明に向け、百条委員会を含め市議会として主体的な調査と、➁生活保護業務の適正化のため国・県への研修や職員派遣、公益通報に関して外部通報窓口の設置や担当を人事から独立した法務課にするなど、実効性のある再発防止策及び改善策の検討を求めている。 ①真相究明に向けた調査では、今年7月に市が発表した生活保護費の誤支給(7月20日付)について、いまだ国への返還金や市の損害額などが確定していないことを例に、「時効で消滅していく過支給額は今この瞬間も市財政への負担を増やし続けており、猶予はない」などとし、市議会としての調査を要望している。 ➁再発防止策と改善策の検討では「どうしたら生活保護費の計算を過不足なくできるのか、国庫負担金の算出を適正に行うにはどうしたらいいか、そういった一つ一つに対応する具体的で実効性のある再発防止策と改善策が早急に必要」だとし、さらに「公益通報の受理に3カ月以上かかり結果まで1年以上もかかる現行制度のままでいいのか。間違いに気付いた時、どのような形であれば組織としてただすことができるのか、本当の意味で心理的安全性が高い組織になるにはどうしたらいいか、議会でも検討してほしい」などとしている。 6日設置された特別委は保健福祉委員会と総務文教委員会の14人で構成する。小村委員長は「9月からの流れもあるので、ていねいに審査に当たりたい」と話した。 同市の生活保護行政の不適正事務をめぐっては、市監査委員が9月27日付で「市民の市政に対する信頼を大きく損ねた」など異例の意見を付けた監査結果を出した(10月17日付)。一方現在、市福祉部と総務部でそれぞれ内部調査が行われているほか、県が特別監査を実施している。

液体合成燃料まず200ml/時 産総研に一貫製造ベンチプラント完成

産業技術総合研究所(産総研)のエネルギープロセス研究部門(つくば市小野川、望月剛久研究グループ長)は6日、二酸化炭素と水を原料に、液体合成燃料を一貫製造する原型的なプラント装置を開発し、連続運転に成功したと発表した。設計データを測定するためのベンチプラントと呼ばれる施設で、パイロットプラントの前段階となる。同研究部門がカーボンニュートラル燃料技術センター(JPEC、東京都江東区)と共同で産総研つくば西事業所内に約1000平方メートル規模で整備した。2020年度から5年をかけての事業で、連続運転により今回、1時間当たり200ミリリットルの液体合成燃料が製造できた。液体合成燃料はガソリン、軽油、ジェット燃料など内燃機関向けの燃料を代替する。輸送や給油所などで既存のインフラを活用できるため、二酸化炭素を利用して液体合成燃料を製造することはカーボンニュートラルを実現するための有力な技術として注目されている。化石燃料を原料としない水素の製造コストが高く、どう効率化するかが大きな技術的課題となっている。 国内初 今回開発した一貫製造ベンチプラントでは、電気分解と触媒による化学合成とを組み合わせた製造プロセスを採用した。特に電気分解にSOEC(固体酸化物形電解セル)共電解を用いたシステムは国内初の設置例となった。固体酸化物形電解セルにより、二酸化炭素と水蒸気を同時に高温で電気分解させること(共電解)で、一酸化炭素と水素の混合ガスを製造可能な技術。これまで別々に行っていた水電解による水素製造と合成ガス製造を同時に行うことで、高いエネルギー効率が期待できた。さらに触媒を用いたFT(フィッシャー・トロプシュ)合成のプロセスでは、酸触媒を組み合わせて用いることで、炭素数をコントロールしてガソリンや軽油など、液体合成燃料として利用可能な合成粗油を効率的に得られるようにした。このプロセスにより、従来法に比べ投入電力を25%程度軽減できると試算できたことから整備に取り組み、ベンチプラントは9月から稼働開始した。水と二酸化炭素を原料に、電解システムへ1時間当たり最大1500リットルの合成ガスを投入した。FT合成を経ての連続運転で、ガソリンや軽油成分を持った液体合成燃料は200ミリリットルが製造できた。今後に向け、研究グループは「投入電力を多くすればその分多く生産できると思うが、化石燃料を減らし、再生可能エネルギーをどう使っていくかが課題の取り組みなので、どんな生産規模がいいのか、どんな組み合わせがいいのかかなど色々データを取っていきたい」としている。(相澤冬樹)

スタッフ向け介護予防体操講習会を開催 つくばの高齢者施設

介護スタッフ向けの介護予防体操講習会が5日、つくば市大砂の特別養護老人ホーム「まごころの杜つくば」(大島弘行施設長)で開かれた。地域住民の健康寿命の延伸を目指し、セキショウグループの社会福祉法人関耀会(筑西市、葉章二理事長)が、介護予防体操の普及に取り組む NPO 日本健康加齢推進機構(水戸市、理事長・大田仁史 県立医療大名誉教授)と共催した。 「知って得するシル・リハ体操~老人ホームで実践と講義~」と題した講習会で、県内の医療機関や介護施設にも参加を呼び掛け、同施設のスタッフのほか、県内各地から介護士や介護福祉士、管理栄養士など20人が参加した。 講師として、シルバーリハビリ体操考案者で同機構理事長の大田医師(89)があたり、実践・座学を含め90分の講習会となった。前半は施設の入所者6人も加わり体操の実技が行われた。後半は介護スタッフ向けの実践的な座学と実技となった。 県内の65歳以上の高齢化率は31%で、全国平均を1.7%上回る。シルバーリハビリ体操は、道具を使用せず、時間や場所に関わらず取り組むことができる介護予防体操で、大田理事長らは県内で、体操を普及する指導士養成に取り組んでおり、約20年間で1万人の指導士が養成されているという。 大田理事長は、どうして体操が必要なのかという理由から分かりやすく説明し、「しがみついても立つことが大事」「出来ることはやれる限りやる」「関節や筋肉のケアが大事」など、具体的でわかりやすい言葉で話した。 ひたちなか市の医療施設「フロイデひたちなかメディカルプラザ」から参加した管理栄養士の實松加奈子さん(42)は「おでこを押すなど、今までなんのためにやっていた体操かわからなかったことが先生の説明でよくわかり、運動機能の理解が深まった。この知識をもとに、今後は地域医療のために役に立てていきたい」と感想を述べた。 太田医師は「この体操は県立医療大学の院長だった時に考案した。高齢化社会が加速する中、さらに普及してもらえればありがたい」と語った。(榎田智司)

武蔵も洞窟に籠もった 「ひきこもり」その4 《看取り医者は見た!》31

【コラム・平野国美】前回(11月2日掲載)は、「ひきこもり」の要因として、家屋の構造や町の在り方もあるのではないかと、述べました。もちろん、原因はそれだけではないでしょう。 教科書的に言えば、①ストレス:仕事や学校・家庭で受けるストレスが原因で社会との関わりを避けるようになる、②トラウマ: 過去のトラウマが原因で社会との関わりを避けるようになる、③社会的な孤立:友人関係や家族との関係が希薄、または障害によりコミュニティーから孤立してしまう、④身体的な問題:病気や障害が原因で外出が困難となり孤立する―などが考えられます。 つまり、個人の資質と社会や時代の文化背景が複雑に絡み合って、起きているのではないでしょうか。中には、「ひきこもり」から脱却させるのがよいのか、分からない事例も多くあります。この辺りは、私の中でも整理がついていません。 宮本武蔵は熊本市近郊の金峰山にある洞窟に籠(こ)もって「五輪書」を書きました。これも、今風に「ひきこもり」と表現するのか? 籠もって自己を鍛錬していたとすれば、リスペクトされるべきでしょう。今、部屋に籠もってゲームに溺れていたら、批判されることなのか? 「生きづらさ」を感じる現代、価値観が単一化され過ぎたことも問題なのだと思います。今の時代、学歴に価値観を見出そうとするのが普通の親だと思うのですが、他にも様々な価値観があるのに、見えていないのではないでしょうか。 野山に消えた子は? 90代になる患者さんに、「昔は、いわゆる引きこもりはいなかったのか?」と尋ねたところ、興味深い答えがありました。「病気やある種の感染病にかかり、家で過ごす子はいた。それ以外にも、登校拒否的な子供は結構いた」と言うのです。 「戦前は、学校を休んでも大騒ぎにならなかった。続けて休むと、先生から誰か様子を見て来いと言われたが、安否確認のようなものだった。ただ、一緒に学校に登校する途中で、消える子はいた」。その子たちは家に帰るのか?と聞くと、「いや、家には居場所がなかったでしょう。野原や森あるいは川に行って、1人で過ごしていた」 私が不思議そうな顔をしていると、「やつらは私たちには便利でね。腹が減ったときなんか、彼らの後をついていくと、木の実や魚など食べ物が手に入って、非常に助かった」と言うのです。 野山に消えていく子供たちも、生きていれば、目の前にいる患者さんと同い年。その後の人生の軌跡は分かっているはずです。「その子たち、その後はどうなったのでしょう? 就職はできたのでしょうか? 社会からドロップアウトした状態で過ごしたのでしょうか?」と聞いたところ、意外な答えが返ってきました。続きは次回に。(訪問診療医師)