【橋立多美】つくば市南部の森の里団地(約1300戸)は高齢化が顕著だが、体力と気力、そして現役を引退したことで時間のあるシルバーたちが、安心して子育てできる環境を守り、学校を支援する活動を続けている。その活動ぶりを上下2回で紹介する。
団地に隣接する、市立茎崎第三小学校に通学する119人の児童を見守る森の里防災・防犯自警団「かわせみパトロール隊」。不審者情報に注意を払いながら、子どもたちを危険から遠ざけている。
「おはよう」「行ってらっしゃい」。午前7時半すぎ、同校正門に近いバス通りの横断歩道や住宅の角で、緑色の帽子とベスト姿の十数人が、登校する児童に笑顔で声をかける。同小2年の女児の母親は「いつも子どもたちを見守ってくれる心強い存在。ありがたい」と話す。
同自警団は、地域ぐるみの活動で団地内の安全力を高めようと2010年12月に発足した。団員はシルバー世代の男女66人。全員に「防犯パトロール」の文字が入ったベストが貸与、帽子は配布され、パトロールには必ず着用する。倉本茂樹団長(75)は「団地の中をパトロールの服装をした人がいつも歩いていることが、犯罪の抑止力になる」。
活動は定時パトロール(午前8時、午後2時30分、午後5時)と犬の散歩などを兼ねた任意時刻のパトロールに分かれる。同小児童の登下校の見守りに重点が置かれ、午前8時のパトロール前に登校する児童を見守り、低学年の下校時間に当たる午後2時半からのパトロールは、往来が少ない通学路に目を光らせる。
登校時の見守りを担当する副団長の藤田広次さん(71)は「子どもたちと顔見知りになって元気をもらう。眼鏡を忘れたら『おじさん、きょう眼鏡は?』って。見守りは社会への恩返しで、雨風が強い日でも通学路に立つよ」。山田秀子さんは「森の里は安心して子育てできると言われたい」。
愛犬の散歩を兼ねて日に3回パトロールする工藤哲也さん(72)は「住民と顔なじみになったから見慣れない人はすぐ分かる。空き家や雑草が生い茂る区画には注意を払うようにしている」と話す。
110番の家 3分の1に
倉本団長の気がかりは、子どもが不審者に遭遇した際に助けを求める「110番の家」だ。かつて団地内には個人商店など善意の家が20カ所あったが、閉店や転居などで6カ所になった。児童委員などの職を離れた家に今も看板が掲げられており「早急に整理したい」と話す。また18日朝、大阪府北部を襲った地震で見守りの80歳の男性が亡くなったことに「身につまされる。団員の安全も大切な事」と気を引き締める。
県内で見守り活動が強化されたのは、2005年に栃木県今市市(現日光市)で下校途中の小1女児が殺害された事件だった。つくば市の自警団は4月1日現在、中央警察署管内に104団体、北警察署管内には11団体ある。ただメンバーの高齢化が課題となっており、主力メンバーを失って継続が危ぶまれている自警団もあるという。
