乳幼児など小さな子供たちのための舞台作品で世界的に知られるイタリア・ボローニャ市の劇団「ラ・バラッカ」の公演「ON・OFF」が13日、つくば市鬼ケ窪の私立みらいのもり保育園(久松惠園長)で開かれ、0歳から5歳までの園児約100人が観劇を楽しんだ。照明のオン、オフによって生まれる光と闇の美しさが、子どもたちの好奇心や想像力をかき立てた。
前日の12日、つくばカピオで催された来日公演に続く特別公演で、同園での公演は昨年に続き2回目(25年10月7日付、同10月16日付)。来日公演を主催した文化交流団体「日伊櫻の会」の協力で実現した。
今回の演目「ON・OFF」は、作者の一人でもある同劇団のアンドレア・ブゼッティさんによる一人芝居。ラ・バラッカを代表する演目の一つで、18年前に制作されて以来、世界各地で上演されてきた。赤ちゃんや幼児が光るものに対して示す驚きや関心を、そのまま演劇に落とし込んだといい、みらいのもり保育園の子どもたちからも「照明がついたり消えたりするのが魔法みたいで楽しかった」といった感想が聞かれた。
ブゼッティさんは「0~3歳児の反応はどこの国でもほとんど同じで、どの場面で笑ってどの場面で怖がるかも同じ。3歳以上では違いがあり、イタリアの子どもたちはじっと集中して見てくれたが、日本の子どもたちはすごくハッピーに、声を上げて楽しんでくれた」と話す。

せりふはほとんどなく、冒頭では電気のコンセントを抜いたり差したりする仕草や表情だけで見せた。その後は電球の光を吹き消したり、食べたりするパントマイム的な表現も入ってきて、さらには照明器具をパパやママ、赤ちゃんに見立てた人形劇的な場面もあった。赤ちゃんを何度寝かしつけてもすぐに光ってしまう場面では、子どもたちの笑い声や歓声がひときわ大きくなった。
「歌や踊りも入ってはいるが、単なるエンターテインメントにはせず、演劇が持っている要素を維持するよう心掛けている。また抑揚も大事。子どもたちにはあまりたくさんのことを一気に伝えられない。スローな時間もつくりながら集中は切らさず、沈黙の時間の中でアイコンタクトで子どもたちと会話する。言葉にするのは難しいが、今日も劇中で子どもたちとたくさんの会話ができた」とブゼッティさん。
日本では、小さな子どもが演劇や芸術を理解することは難しいと考えられているが、欧米では7カ月目から演劇鑑賞が可能だとする研究成果もあるという。ラ・バラッカではボローニャ市の委託を受け、劇場や保育所で子どもたちが日常的に演劇に触れられる環境をつくっている。

ブゼッティさんは「子どもは正直で真実で純粋な最高の観客。伝わったときはきちんと応えてくれる。子ども向けに作って演じることで、アーティストとしての自分を磨き育てることもできる」という。
今回の公演から子どもたちが得たものについて、同保育園の久松園長は「言葉だけでなく音や動き、表情などから物語を感じ取り、想像力や感性を豊かにする貴重な経験となった。また一人ひとりが自由に感じ、表現する楽しさを知るとともに、好奇心や探求心を育む機会となった」と語っている。(池田充実)





