つながり広げる三つの新企画
土浦市中心市街地を舞台にした演劇祭「つち浦々プチまちなか演めぐり2026」(同実行委員会主催)が17、18日の2日間、同市中央、亀城公園周辺にある飲食店や寺院など6会場で催され、6作品が上演される。4回目となる今回は、子どもたちが描いた絵をアニメーション作品に取り入れた企画や、観劇後に感想を語り合う「語り場」、街を歩きながら演劇と地域の魅力に触れるツアーなど、3つの新しい試みが実施される。作品を上演して観客に見てもらうだけでなく、子どもや来場者、街の人たちとのつながりを広げる試みだ。
今年は「プチ開催」と銘打ち、会場を亀城公園周辺の中央1、2丁目や大手町など、徒歩10~15分で回ることができる範囲に絞った。昨年は船を使った企画もあったなど過去最大規模だったが、会場の範囲が広く観客が回るのに苦労した面もあった。「今年は徒歩でも十分に回れる範囲に会場を絞り、コンパクトにした。その分、演劇祭に関わる入り口を広げた。より深く、土浦の街と演劇を楽しんでもらえたら」と実行委員長の福田琢哉さん(50)は話す。

市内小学生が描いた絵をアニメに
新企画の一つは、市内の子どもたちが作品づくりに参加したアニメーション作品「かいじゅうムベンベ」だ。水戸市で障害者らのアート活動に取り組む団体「自由空間あとりえず〜む」による作品で、アフリカに伝わる伝説の怪獣、ムベンベを題材にしている。
絵を描いたのは、市内のスポーツ鬼ごっこチーム「土浦オニゴッターズ」に参加する小学生ら20人余り。チームのコーチを、上演会場にもなる瀧泉寺(同市中央)の住職が務めている縁で、協力を得た。
ムベンベには決まった姿がない。7月初め、子どもたちはムベンベの紙芝居を聞いてイメージを膨らませ、それぞれが思い描く怪獣を描いた。普段はスポーツに打ち込む子どもたちだが、紙を受け取るとすぐに描き始め、1枚をじっくり描く子もいれば、4、5枚描く子もいたという。
描かれた絵はデータとして取り込まれ、アニメーションの中で動き回る。子どもたちが作品づくりから関わるのは、同演劇祭として初めてだ。上演するのは「かいじゅうムベンベ」と「あおむしくん」の2作品で、小学生以下の子どもと同伴の保護者が無料で鑑賞できる。「子育てをきっかけに演劇から離れてしまう人もいる。地域に、子どもと一緒に気軽に芸術に触れられる機会があればいい」と実行委事務局の根岸佳奈子さん(39)は話す。
演劇と街歩き組み合わせてツアー

演劇と街歩きを組み合わせたツアーも開かれる。参加者は土浦商工会議所を出発し、江戸時代の蔵などが残る中城通りを中心に、旧水戸街道を歩きながら、各所で突然始まる短い芝居を楽しむ。
ツアーを先導するのは、舞台俳優の森裕嗣さんと香取春音さんが演じる「うろつき団」。土浦の街をうろうろと歩く2人組だ。古い地図を手に宝探しに出かける2人に誘われ、観客も団員になったつもりで一緒に街を歩く。途中で芝居を見たり、観光ボランティアガイドから街の話を聞いたりしながら、謎を追っていく。
脚本づくりでは、観光ボランティアガイドから土浦の歴史など街にまつわる話を聞き、物語に取り入れた。上演場所の提供など、地域の人たちの協力も得ている。
感想を話せる「語り場」
観客が感想を共有できる「語り場」も新たに設ける。毎年、亀城公園前の公園ビルにあるイベントスペース「がばんクリエイティブルーム」(同市中央)の1階を演劇祭の総合案内所とし、チケット販売や、観客の希望に応じた観劇コースの提案を行っている。
今年は、同スペースの2階にある畳の部屋を開放する。「観劇に来た人同士で感想を語り合いたい」という過去の来場者の声に応えたもので、スタッフも常駐する。作品の感想を話したい人や、次にどの作品を見るか相談したい人も利用できる。歩き疲れた人が休憩する場所としても活用でき、飲食物の持ち込みも可能だ。「語り合うことも観劇の楽しみの一つ。街の店で買ったパンなどを食べながら、歩き疲れたら休んだりしてもらえたら」と根岸さんは話す。
このほか、4人の女性による合コン前の作戦会議を題材にした「夜は短し、語れよアラサー乙女」(劇団スペースクロラ)、幼児から楽しめる人形劇「あおむしくん」(てんこの人形劇場)、江戸川乱歩の小説をもとにした「江戸川亂(らん)歩リミックス『指』と人間」(鎌ケ谷アルトギルド)、時代小説をテーマにした朗読会「風のこえ」(演劇事務所‘99)、装飾をテーマにしたオリジナル作品「デコレイト」(劇団タイコバン)などが上演される。
福田さんは「『あおむしくん』『デコレイト』『夜は短し、語れよアラサー乙女』など、以前上演した作品を会場を変えて再演もある。上演場所が変わると、作品のつくり方や見え方も変わる。同じ作品でも違いを楽しんでもらえるはず。また、観劇を通じて街を巡りながら、『土浦にはこんな場所もあるんだ』と新たに街を知る機会にしてもらえたら」と参加を呼びかける。
◆「つち浦々プチまちなか演めぐり2026」は10月17日(土)、18日(日)、亀城公園周辺の飲食店や寺院など6会場で開催される。チケットは、1日フリーパス券が一般3000円(前売り2500円)、22歳以下1500円(前売り1000円)。希望者は、席数限定で事前予約ができる(別途申し込みが必要)。「かいじゅうムベンベ」と「あおむしくん」の2作品は、小学生以下と保護者は無料で観劇できる。(柴田大輔)
◆上演作品と会場は
・劇団スペースクロラ「夜は短し、語れよアラサー乙女」=会場は城藤茶店
・鎌ヶ谷アルトギルド「江戸川亂歩remix 『指』と人間」=中央二丁目公民館
・劇団タイコバン「Decorate」=福来軒
・演劇事務所’99 朗読会「風のこえ」=古民家ほんのり
・てんこの人形劇場「あおむしくん」=17日・土浦聖バルナバ教会、18日・瀧泉寺寺
・自由空間あとりえ“ず~む”「かいじゅうムベンベ」=17日・土浦聖バルナバ教会、18日・瀧泉寺寺
・演劇ミニツアー「ウロツキ団と土浦まちなかツアー」=中城通りなど
米総合案内所は、同市中央のがばんクリエイティブルーム1階に設けられ、16日(金)までは正午から午後8時まで、17日(土)は午前9時半から午後6時まで、18日(日)は午前9時半から午後5時まで。
◆チケットの申し込み、イベントの詳細は公式ホームページへ。問い合わせは、つち浦々まちなか演劇めぐり実行委員会のメール(tsuchiuraura@gmail.com)または電話(029-896-3099)へ。





