【コラム・海老原信一】9月になると、南下する数少ないシギとチドリを探して回る。稲刈りを終えて蘖(ひこばえ)が出始める田んぼ、収穫も済み水が少ないハス田を見て回る。このころに見られるのは幼鳥が多いが、時々、珍しい種に遭遇する。
この「シギ・チドリ回り」に際して心掛けていることがある。農家が作業中であるときには、近くには行かない。そのため、早朝とか夕暮れ時になることが多い。このことは撮影に好都合でもある。日射しが柔らかく、被写体を優しく照らしてくれるからだ。
農作業している方がいなければ、普通の時間帯でも観察する。要は、「農家の方の仕事場へ鳥を見に行かせてもらう」との心持ちが必要だ。肝心の鳥たちは、居そうな条件が合っても居るとはいかず、かなり広い範囲を見て回る。今日はここからとハスをのぞいたりすると、そこに居てくれたりする。
「必ず」がないことが鳥見の面白さであり、そんな繰り返しの中で、あるハス田をのぞき込んだとき、思わぬ出会いがあった。
いつも見る鳥とは違うぞ
ハス田に近づいた私を警戒して、隣の区画に飛んだ鳥がいた。姿がはっきり確認できたわけではないのに、「いつも見る鳥とは違うぞ」との直感が働く。先輩方の「違和感が大事だ」という教えがいつも身中にある。
そっと双眼鏡を向けると、そこにはやはり見たことのない鳥の姿が…。緊張に少し興奮。帰宅して、急いで図鑑を開く。ページを繰るが、該当する種がない。「そんなはずは…」と探すが、見当たらない。図鑑にもない種なのか? 困って、先輩に画像を送り、助けを求めた。
答えは早かった。「コオバシギの幼鳥」だと。えっ、それなら図鑑にあるはずなのにと、再度、図鑑を探す。結果、そのページを飛ばしていることに気づいた。ちょい情けないドジっぷり。昨年のちょうど今ごろの話。(写真家)





