【コラム・海老原信一】4月下旬から5月初めになると、鳥撮りのための車中泊が本格的に始まる。やって来る夏鳥たちに会いに行くのが主な目的だ。時間に縛られない車中泊の気軽さも味わえる。野鳥たちを見るには早朝の活動開始になるので、どうしても車中泊が必要になる。
その相棒となる車は登録33年目で、走行距離は地球10周分の40万キロメートル。どちらが先にダウンするかね?などと話しかけながら、ハンドルを握る。よい相棒に巡り会えた幸運をかみしめながら、ドライブはもう少し続く?
くちばしで木の幹を突く音
まずは裏磐梯。ここから始まる高原通いは20年弱になる。裏磐梯にはこれほどの鳥たちがいたのかと驚き、時間を忘れて見続けていた日々。1羽見ることができたら、すごい出会いだと思っていたオオルリ(上の写真)も、複数がさえずりを聞かせてくれた。
キビタキは、ブンブンと羽音を立て相手を脅す様子を目の前で見せてくれた。アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラなどのキツツキが、鋭いくちばしで木の幹を突く音を樹木林に響かせると、それだけで幸せな気分になる。
クロツグミ、コサメビタキ、コムクドリ、イワツバメ、ヒレンジャク、サンショウクイ、トラツグミ、オオヨシキリ、ノジコ、オオジシギ、ルリビタキやベニマシコ、ノビタキ、ウグイス、シジュウカラ、ホオジロ、コゲラ、エナガ。
そして水の上には、マガモ、カルガモ、コガモ、オシドリ、サギ、バン、オオバン。ジージーと虫のような声で鳴くヤブサメとの出会いも楽しくて仕方がない。
かなりくたびれてきた相棒
裏磐梯通いも、ここ数年、オオルリ、キビタキ、ヤブサメなどは個体数が少なくなったように思う。オオジシギやノジコは見られなくなった。湿地環境の変化が原因のようだ。オオヨシキリが観察できたヨシ原は乾燥化して消えてしまった。オオジシギも湿地の減少とともに姿が見えなった。
鳥たちの変化を湿地環境要因だけで説明するのは単純すぎるとは思うが、地球規模で見ていかないと、こういった変化の理由が説明できないような気がする。相棒の車と私、可能な限り通い続け、繰り広げられる野鳥たちの命のきらめきと、彼らを取り巻く生息地のあり様を見続けたい。気がかりなのは、かなりくたびれてきた相棒のことだ。この後、どのぐらい頑張ってくれるかは見当がつかない。(写真家)






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