約250種類のクレマチスを集めたコレクション特別公開「クレマチス園公開」が、25日からつくば市天久保の国立科学博物館 筑波実験植物園(遊川知久園長)で始まった。今回で36回目を数え、例年2万人を超える来場者が訪れる企画展だ。華やかな色彩と多様な形を持つことから「ツル植物の女王」とも呼ばれるクレマチスの魅力と、歴史、保全の取り組みを体感できる。開催は6月7日まで。
クレマチスはキンポウゲ科の植物で、北半球の温帯地域を中心に約300種が分布している。日本にも約30種の野生種が確認されている。日本の代表的な野生種で大きな花をつける「カザグルマ」は、中国原産のテッセンなどとともに19世紀の植物学者 シーボルトがヨーロッパへ持ち帰り紹介したことで、現在の多様な園芸品種のルーツの一つとなったことが知られている。

ヨーロッパでは150年以上前から品種改良が始まり、約100年前にフランスで生まれた紅色の花弁と黄色の芯が特徴の「ビル・ド・リヨン」など園芸品種は現在までに数千種に及んでいる。日本では戦後に育種が進み、青紫色から薄青色の花色を持つ12から15センチの大輪を咲かせる「藤娘」など、海外へ輸出される品種が生まれている。園内では、クレマチスが歩んだ歴史を知ることができるように、「100年以上前の品種」「昭和の品種」「新しい品種」などの表示が株ごとにつけられている。

同園では、カザグルマをはじめとするクレマチスの野生種と園芸品種、350種以上を保有している。今回の展示は「約250種類のクレマチスが時期をずらして開花し、100種類ずつ花がバトンを渡しながらリレーするような形で咲き変わっていく。訪れる時期によって異なる景観が楽しめる」と、展示を担当する同園研究員の村井良徳さんは言う。
ゴールデンウィーク頃には早咲きの品種が見頃を迎え、会期前半と後半で全く異なる種類を見ることができるのも特徴だ。昨年発表された常陸太田市の大内園芸による世界で初めてとなる緑色の壺型の花をつける「シェンロン」や、個人育種家の廣田哲也さんによる淡いピンクが特徴の「咲良(さくら)の妖精」など、流通量が少ない品種もある。

絶滅危機の野生種も
多様な園芸品種がある一方で、深刻な個体数の減少に直面する野生種がある。地域ごとに花の色や形が異なるカザグルマや、四国の限られた場所に自生するシコクハンショウヅルなどは、宅地開発やダム建設、乾燥化などの影響で自生地が急速に減少し、絶滅危惧種に指定されている。茨城県内でも近年、複数の自生地が消失しているという。園ではこうした貴重な遺伝資源の保全に力を注いでおり、DNA解析による系統研究も進められている。

村井さんは「野生種が持つポテンシャルに人の手が加わって、色と形が爆発的に多様化したのがクレマチス。これだけの花の多様性を間近に見ることができるのは、筑波実験植物園だからこそ。一つ一つの花が持つ個性を、じっくり楽しんでもらえたら」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔)
◆コレクション特別公開「クレマチス園公開」は4月25日(土)~6月7日(日)、つくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。開館時間は午前9時から午後5時(入園は午後4時半まで)。月曜など休館、5月4日(月)は開館。入園は一般320円、高校生以下、65歳以上、障害者などは無料。5月4日(月)と19日(火)は入場無料。
◆5月3日(日)、4日(月)、19日(火)、6月7日(日)はそれぞれ午前10時~、10時半~、11時~の3回、同園研究員の村井良徳さんによる「クレマチス園見学ポイント紹介」を開催。会場は同園内のクレマチス園。各回先着10人。
◆5月4日(月)と19日(火)午後1時半~、午後3時~、村井さんによる栽培講座「はじめてのクレマチス栽培」を開催。会場はクレマチス園。各回定員12人。
◆5月10日(日)午後1時半~、カザグルマ研究者の飯島眞さんによる特別セミナー「風車の多様性および保全と、テッセンを中心とした種間交配の成果と今後の育種の可能性」を開催。会場は同園研修展示場3階セミナー室。定員30人。
◆5月17日(日)午後1時半から村井さんによる「日本のクレマチスの野生種や園芸品種の多様性を楽しむ」。会場は研修展示場3階セミナー室。定員30人。
※講座とセミナーはホームページから事前予約が必要。詳しくは同園ホームページへ。






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