【コラム・沼田誠】年末年始は、普段じっくり話せない友人や知人と飲む機会があります。その場でふるさと納税のことが話題に上りました。そこで、自分が住んでいるつくば市はどのような返礼品があるのだろうと、ネット検索してみると、なんと!「純金小判」が出てきました。
ふるさと納税は、本来、応援したい自治体に寄付を届けるという理念で2008年に始まった制度。昨年10月からは、仲介サイトによる「ポイント付与」が原則禁止されました。過熱する自治体間の寄付獲得競争に国が歯止めをかけた形です。
少し話が逸れますが、この制度を自治体のどの部署が担当しているかは、そのまま首長や行政組織(特に財政部門)の考えが反映されるものになっています。制度の趣旨、あるいは自治体間競争の面から考えれば、観光やシティプロモーション担当部署が担うのが自然であるように思います。岐阜県飛騨市では、関係人口創出や移住・定住などを担当するふるさと応援課が担当部署になっています。
私が在職していた水戸市では、税務部門の市民税課が担当しています。ふるさと納税を「税務事務」の範囲内で適正に処理したい―との考え方からです。ところがつくば市は、民間企業との連携やSDGsを担当する企画経営課の持続可能都市・官民連携推進係が担当しています。官民連携を活用した資金調達と、ふるさと納税を捉えているようです。
税収確保のための「防衛戦」?
最先端の研究機関が並ぶ街で、つくば市はなぜ純金小判を返礼品にする必要があるのでしょうか? それは、つくば市が県内でも数少ない地方交付税不交付団体だからだと思います。
つくば市民が他自治体に寄付して流出した住民税(2024年度は約28億円)に対し、国からの穴埋めは1円もありません。これに対し、交付団体である水戸市は、流出額の75%が翌年度以降の交付税で補填(ほてん)されます。つまり、つくば市にとって、ふるさと納税は税収確保のための「防衛戦」なのです。
その防衛戦のためには、一度の寄付額が大きい高付加価値商品をそろえることが合理的―という判断が、純金小判なのではないかと思います。しかし、この防衛戦のコストは軽くありません。寄付額の半分は、返礼品代、ポータルサイトへの手数料、職員人件費などに充当されますから、「毎年10億円ずつ税収が増えている」(2024年10月23日掲載のNEWSつくば記事)とはいえ、「非常にもったいない」と思います。
カタログから他県の特産品を選び、「等価交換」で得をした気分になる一方、その代償として削られているのは、自分が踏みしめる道路の補修費であり、子供たちが通う学校の設備費なのかもしれません。私たちが手にする肉や魚や米は、本来受けるべき公共サービスと引き換えに差し出されたいびつな「等価交換」の結果なのです。
「受益と負担」という地方自治の原則を根底から揺さぶるこの制度について、私たちは一度立ち止まって、そのあり方を考えるべきでしょう。(元水戸市みとの魅力発信課長)






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