日曜日, 10月 12, 2025
ホーム土浦土浦花火百年を振り返る 最古の大会パンフなど55点展示 市立博物館

土浦花火百年を振り返る 最古の大会パンフなど55点展示 市立博物館

土浦市立博物館(同市中央)で11日からテーマ展「土浦花火百年」の展示が始まった。11月1日に開かれる第94回土浦全国花火競技大会が100周年を迎える節目の年であることから、1925(大正14)年に初めて花火大会を開催した同市文京町の神龍寺住職、秋元梅峯の肖像写真や競技大会初期の記念写真、現存する最古の第2回大会プログラムなど計55点を展示する。2001年に撮影した3人の花火師たちへのインタビュー映像も放映する。

展示は「序章」から第3章までの4部構成となっている。序章「花火大会前史-江戸時代の花火」では、現在の花火につながる江戸時代の花火資料を展示している。墨田川にかかる両国橋での花火大会に集まる人々の様子が細かく描かれた同館所蔵の『江戸名所図会 巻二 両国』や、江戸時代末1858(安政5)年の両国花火の浮世絵写真パネル、旧宍塚村(現在の同市宍塚)で1862(文久2)年に花火が上げられていたことを記した「諸用日記」などを展示する。

第1章の「霞ケ浦海軍航空隊と町のにぎわい-海軍航空隊の玄関口・土浦」では、大正時代から昭和にかけての霞ケ浦海軍航空隊関連の資料として、1924(大正13)年のパンフレット「霞浦航空隊めぐり」や、同年の土浦の映像などを展示する。隣接の阿見村(当時)に設置された霞ケ浦海軍航空隊は大正時代から昭和にかけての同市の発展に関わり、花火大会のきっかけの一つになったのが殉職者の慰霊だった。

第2章「秋元梅峯と花火大会-慰霊と振興の花火」は、現在の土浦花火競技大会の始まりとなる大会を霞ケ浦湖畔で開催した秋元梅峯の肖像画や花火師たちが写る1931(昭和6)年大会の記念写真などを展示している。秋元住職は、航空隊殉職者の慰霊のほか関東大震災の影響で経済が落ち込んだ市の活性化のために私財を投じて大会を開催した。

第3章「花火師たちの競演」は、1927(昭和2)年の第3回花火大会から1975(昭和50)年までのプログラムや大会記録簿、花火師が受賞したトロフィーなどを展示する。第3回大会のプログラムからは、上空高く上がり、大きく開く尺玉、八尺玉や、仕掛、早打などを上げていたことがわかる。

1975年の第44回大会で北島義一さんが「連射連発」(スターマイン)部門で優勝した際の盾

参考展示として、農村の花火でもある、同市大畑の国選択・県指定無形民俗文化財「からかさ万灯」の模型なども展示する。

映像展示では記録映像の「土浦の花火 伝統花火から全国花火競技大会まで」「花火師たちの記憶」「大畑のからかさ万灯」を上映する。「花火師たちの記憶」では、2001年に撮影した花火師、野手保さん、武藤輝彦さん、箱守彰さんらのインタビュー映像を見ることができる。終戦直後の花火大会で「進駐軍にナイアガラ花火を早くやるように言われた」といったエピソードも聞くことができる。映像を編集した茨城ビデオパック制作の岩崎真也さんは「戦前戦後の花火師の証言や紫の煙が出る昼の花火『ブドウ煙』の再現に苦労した話など貴重なインタビュー映像」だと語る。

展示する映像を編集した茨城ビデオパック制作の岩崎真也さん。映像は、再現した紫の煙が出る昼の花火「ブドウ煙」=同

同館学芸員の萩谷良太さんは「花火の関連資料は実は意外と残っておらず、今回の展示は貴重」とし「国内でも最高峰といわれる花火師たちによる土浦全国花火競技大会の100年の軌跡を、博物館の展示を見て知ってもらいたい」と来場を呼び掛ける。(伊藤悦子)

◆「土浦花火百年」は10月11日(土)から11月24日(月)まで同市中央1-15-18、市立博物館で開催。開館時間は午前9時から午後4時半。入館料は一般200円、高校生以下は無料。11月3日(月・祝)と13日(木・県民の日)は入館無料。問い合わせは電話029-824-2928(同館)へ▽展示案内会を11月1日(土)午後1時から開催する▽土浦二高茶道部による呈茶「お茶を一服いかがですか-花火に寄せた茶会」を11月3日午後1時から展示ホールで開催する。定員50人。茶券は200円▽演劇「つち浦々まちなか演劇めぐり」を10月18日(土)19日(日)、博物館展示ホール・視聴覚ホールで開催する。上映時間は同館ホームページへ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

後期ホーム最終戦は引き分け つくばFCレディース

関東女子サッカーリーグ1部のつくばFCレディースは11日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムで後期のホーム最終戦を行い、日体大横浜SMGサテライトと対戦、2ー2で引き分けに終わった。 つくばFCレディース 2ー2 日体大SMG横浜サテライト       前半 0ー0       後半 2ー2〈得点〉62分=日体大・堀井咲穂、65分=つくば・鏡玲菜、90+4分=日体大・堀井咲穂、90+6分=つくば・石黒璃乙 つくばは昨シーズン、なでしこリーグ2部から降格し、今シーズンでの復帰を目指す。9月24日から28日に福島で行われたなでしこリーグ2部の入替戦予選は3勝1敗の2位で終え、入替戦の権利を得ていた。関東リーグ残り2試合はアウェーで18日にFC十文字Mare、11月9日に東京国際大学と対戦する。 つくばはここまで勝点6の4位で、首位の神奈川大学を勝点3差で追う。対する日体大は最下位に低迷する。つくばは、勝って優勝に望みをつなぎたいと、ホーム最終戦に臨んだ。 開始からつくばが主導権を握ると、16分に中村真奈が右サイドからドリブルで駆け上がり、中央へクロスを上げる。しかし中央の諸冨愛莉に合わせることが出来ずチャンスを逃す。 23分に再び中村が右サイドからクロスを上げ、石黒璃乙がシュートを放つがゴールネットを揺らすことは出来なかった。中村は「チャンスはつくれていたが最後のクロスの質が悪く、合わせることが出来なかったので、もっとコミュニケーションをとって正確なクロスを上げたい」と今後の課題を上げた。 32分には高橋萌々香が中央から右足で放ったシュートがポストに弾かれ、こぼれ球を中村がシュートするもゴールを奪うことが出来なかった。前半は5本のシュートを放ったが得点を奪うことはできず0ー0で折り返した。 つくばは後半も開始から相手陣内に攻め込み、積極的に攻めチャンスをつくるも、決定力に欠き得点を奪うことが出来ない。 後半17分、日体大の堀井咲穂からゴールを決められ先制点を許すが、3分後、中央からのフリーキックをつくばの鏡玲菜が右足で蹴り、ボールはゴールネットを揺らし試合を振り出しに戻した。鏡は「行けると思って直接狙って蹴った」と話した。 しかし終盤、徐々に日体大にボールを支配される場面が増え、アディショナルタイムに堀井咲穂に2点目となるゴールを決められ勝ち越しを許す。これで勝負が決まったかと思われたが、つくばは直後に右コーナーキックからのクロスを石黒璃乙が頭で決めて終盤間際のラストチャンスで見事に起死回生の同点ゴールを決め、ホームで意地を見せた。 石黒は「ゴール前に来いと思って、フリーになったところを頭で合わせ完璧に決まった」と改心の笑みを見せた。すると直後にホイッスルが鳴り、2−2のドローで試合終了となった。 つくばの志賀みう監督は「なでしこリーグの入れ替え戦まであと2試合なので、その試合に向けてのプレー、練習、戦術の確認をすることも込めて試合に挑んだ。いくらボールを保持してもゴール前に入り込めたとしても、最後にゴールを決められなかったら勝てないってことをすごく学べる試合だった。後半は攻撃のところで攻めあぐねてしまったので、1つ起点をつくろうと整備した簡単なミスから2失点だった。自陣は安心、安全にボールを回さなければいけなかった。それが出来た中でゴールまでいけなかったので整備したい。(なでしこの)入替戦では自分たちはチャレンジャー精神で戦うしかない。相手はレベルの高いリーグで戦ってきたので簡単ではないが、しっかり大胆に戦っていきたい」と抱負を語った。 フリーキックを決めた鏡は「最後に追いつけて良かった気持ちだか、勝ち切ることが必要なので短い時間で修正していきたい。(入替戦は)やるしかないので100%の力を出せるように頑張る」と力を込めた。最後に同点ゴールを決めた石黒は「入れ替え戦では絶対に自分が点を取って勝ってなでしこリーグに昇格する」と力強く語った。 なでしこリーグ2部の入替戦はホームアンドアウェーで行われ、第1戦(対戦相手は未定)は25日ホームのセキショウチャレンジスタジアムスタジアムで行われる。(高橋浩一)

ルート66とつくばシルクロ一ド《映画探偵団》93

【コラム・冠木新市】東京オリンピック開催に向けて日本中が湧いていた時代。一度も見たことはなかったが、「ルート66」(1960〜1964)というテレビ番組があったことを記憶している。小学生のころだ。 日本でも反体制的な時代の空気に包まれていたベトナム戦争時代。アメリカン・ニューシネマの先駆的な作品「俺たちに明日はない」(1967)が1968年に公開された。世界大恐慌時代の男女ボニ一&クライドの銀行強盗と逃避行を描いた犯罪映画なのだが、なぜかすんなりと共感したことを覚えている。高校生のころだ。 1970年に入り「イ一ジ一・ライダー」(1969)が公開される。主人公キャプテン・アメリカ(ピ一タ一・フォンダ)がコカイン密売で金を得てバイクを買い、腕時計を捨て相棒と自由を求めて旅立つシ一ン。ロックの流れるタイトルバックに心が躍った。大学生のころだが、当時の若者たちは皆同じ思いを抱いたのではないか。 渋谷パルコ周辺に人が集まった1989年、「バグダッド・カフェ」(1987)を渋谷で見た。アメリカ旅行中のドイツ人女性が旦那と大喧嘩し、車から降りトランクを転がしアスファルト道路をとぼとぼ歩くシーン。テ一マ曲が流れ、黄色の画面のスクリ一ンに一瞬にして吸い込まれた。結婚したころだ(コラム10参照)。 印象深い3本の映画だが、この3本の舞台が同じルート66であることを後から知って驚いた。その後見たジョン・フォード監督の名画「怒りの葡萄」(1940)、「ハリ一とトント」(1974)、「レインマン」(1988)、「テルマ&ルイ一ズ」(1991)も、ルート66が舞台であると知る。 地名は知っていても、いちいち地図で確認することをしなかった私は、長い間、同じロ一ドを舞台にした映画であることを知らず見ていたわけだ。 ルート66とは、アメリカ合衆国東部イリノイ州シカゴと西部カリフォルニア州サンタモニカを結んだ全長3755キロの旧国道。マリリン・モンローが生まれた1926年に指定された。しかし、州間高速道路の発達によりその役目を終え、つくば科学博覧会が開かれた1985年に廃線となった。 道には物語がある。私はつくば市の赤塚公園から筑波山までのほぼ一直線の道を「つくばシルクロード」と呼んでいる(コラム60参照)。この道には文化・歴史・伝説が眠っている。それらを再創造し、「つく つく つくばの七不思議」としてア一トイベント化してきた。今にして思えば、小学生のころ無意識にルート66を記憶したのは、物語のある道に興味があったのかもしれない。 来年はルート66が誕生して100年になる。アメリカでも色々なイベントが行われることだろう。こちらも、つくばシルクロードをアピールする企画を計画しよう。道が物語を生み出すのか、物語が道に輝きを与えるのか。いずれにしても、道と物語は深く結びついているのは確かである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家) <お知らせ> 物語観光「つく つく つくばの七不思議セミナー」(参加費無料)・日時:10月25日(土)13〜15時・場所:コリドイオ小会議室・内容:映画上映『サイコドン』第1話、お話と懇談会

人件費の上昇が顕著 筑波総研 経営コスト調査

筑波銀行グループの筑波総研(本社土浦市、瀬尾達朗社長)は9月、同行取引先334社(製造業122社、非製造業212社)を対象に今年の経営コスト動向を調査し10月上旬に集計した。それによると、人件費が上昇したと回答した会社が73.4%に達した。1年前の調査に比べ増えており、原材料費・商品仕入高上昇(81.9%)などのほか、人件費増が経営の負担になっていることが改めて明らかになった。 アンケート調査を担当した上席研究員の山田浩司氏は「資源価格上昇の一服と政府の緩和措置などによって燃料費や水道光熱費は低下したが、賃上げや最低賃金引き上げが続いたことで人件費や外注費が上昇した」と解説している。 「コスト増転嫁できない」18% コスト上昇を販売・サービス価格に転嫁できたかとの質問には、「1~2割転嫁できた」と回答した会社が34.4%と最も多く、「まったく転嫁できていない」会社が17.7%あった。 山田氏は、回答の中から「取引先には、材料コスト上昇については理解を得られるが、人件費に関しては認められにくい傾向がある」(繊維製造)、「大企業の外注費単価が上がらないため、給与アップには限度がある」(情報通信)、「仕入れ分は価格転嫁できているが、燃料費や光熱費などは企業努力で吸収している」(木製品製造)などのコメントを紹介してくれた。 「デジタル化している」7割強 筑波総研は同時に「デジタル化の取り組み状況」も調査した。それによると、デジタル化を進めている会社が7割強を占めたものの、依然としてアナログな業務が多いと回答した会社が3割弱あった。「デジタル化は従業員規模が大きい会社ほど進んでいる。だが、その経費の負担や担当人材の不足が課題になっている」と言う。 デジタル化の内容については、「インターネットバンキング」が一番多く(全産業で79.5%)、「給与管理ソフト」(同65.3%)、「紙書類の電子化・ペーパーレス化」(同44.2)の順だった。 中小こそAI活用のチャンス 全体の傾向について、山田氏は「従業員が多い会社ほど多くの項目で採用している割合が多い。今回調査項目に入れた生成AI(人工知能)は、中小企業向けのツールも存在しているため、従業員が少ない企業でもその活用が期待できる」と、中小企業こそビジネスに生成AIを活用するよう勧めている。(坂本栄)

子会社が不正アクセス被害 最大延べ1万5000人の個人情報漏えい 関彰商事

関彰商事は10日、子会社で人材派遣会社のセキショウキャリアプラス(つくば市東新井)が第三者によるサーバー内部への不正アクセス被害を受け、ベトナム人やインド人最大延べ1万5559人と日本人最大延べ270人の個人情報の漏えいが判明したと発表した。現時点で漏えいしたデータの悪用は確認されていない。同社は国の個人情報保護委員会に被害を申告し、茨城県警に被害届を出した。 発表によると、9月10日、顧客から問い合わせがあり、セキショウキャリアプラスが一部の業務で使用しているサーバーから、顧客情報漏洩の疑いがあること分かり、即座に同サーバーを外部と遮断し運用を停止した。サーバーは、子会社でベトナム現地法人のセキショウベトナムが運用していた。 さらに対策チームを設置し、外部専門機関の協力を得て調べたところ、セキショウベトナムが運用しているサーバーが第三者による不正アクセスを受け、保管されていた個人情報を含む社内データが、今年5月から7月ごろの間に漏えいしていたことが10月6日に判明した。 漏えいしたデータは①セキショウキャリアプラスとセキショウベトナムが、ベトナムとインドで開催した就職支援イベントで参加登録したベトナム人とインド人最大延べ1万5535人の氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスと解読されない暗号化されたパスワードなど。②セキショウキャリアプラスが運営を受託し県内で2021年に開催された「副業・兼業meet UP in茨城」に参加登録した日本人延べ42人の氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスと解読されない暗号化されたパスワードなど。③ ①と②のイベントに出展した日本人とベトナム人の企業担当者最大延べ252人の氏名、メールアドレスと解読されない暗号化されたパスワードなど。いずれも銀行口座番号やクレジットカード番号は含まれていない。 同社はすでに対象者に個別に連絡し、安全性を高めるためパスワードを変更するよう依頼しているという。 再発防止策として同社は、サーバー及びアプリを最新バージョンで再構築した上で、セキュリティー監視ツールを整備し、不正侵入や新たな脆弱性を予防・検知するほか、定期的なアクセス、操作ログの分析と脆弱性診断を実施するとしている。さらに個人情報の適正な管理を徹底し、システム開発・運用に携わる従業員を対象にセキュリティ教育を強化し情報管理に関する意識向上を図るとしている。 同社は「お客様及び関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けし、深くお詫び申し上げます。セキショウグループでは本事案を重く受け止め、セキュリティ対策の徹底を図り再発防止に全力を尽くします」などとするコメントを発表した。