【コラム・片岡英明】7月から「2027年~33年の高校のあり方」を議論する県の高校審議会が始まった。私たちは同審議会に要望を提出しているが、狭い既定路線を進むのでなく、充実した議論と子どもたちに希望を与える答申が出ることを期待している。
今期の高校審の主要な論点は3つあると考える。これらについて、県の大方針である「県民が日本一幸せな県」の実現に向けて深めてほしい。
⑴ 前回答申を基に作成された高校改革プランの実施状況の点検と評価
⑵ 生徒減に合わせた県立高の魅力アップと地域に必要な学校づくりの提起
⑶ 生徒が増えているつくばエリアの高校不足への事実に基づいた議論と対策
26年から中学は35人学級に
もうひとつ、議論を期待するテーマがある。それは27年~33年で必ず課題となる高校35人学級である。
5月に県は26年度から中学1年にも35人学級を実施し、順次広げると発表した。これにより、教室にゆとりが生まれ、教職員の多忙化が少し軽減される。すでに、秋田県では2001年から30人学級が始まり、山梨県でも21年から25人学級が始まっている。生徒の個性を伸ばす少人数学級への期待は大きい。
一方、市立中学と同時に、県内13校の県立中学も今までの男女別募集枠が廃止された上、35人学級となる。つくば市内の並木中等は4学級160人募集が140人に20人減。つくばエリアの水海道一高付属中も40人→35人。土浦一高付属中は2学級80人→70人、下妻一高付属中も40人→35人などとなる。
県立高不足のつくばでは、県立中学進学は高校受験のバイパスの側面があるので、ここが絞られると一段と進路選択が厳しくなる。県には泣き面に蜂のような定員削減ばかりでなく、竹園高校の学級増や県立高新設などの抜本的定員増を求めたい。
29年から県立高も35人学級?
26年入学の県立中1年生が高校に進む29年には、県立高の35人学級が当然テーマになる。国が方針を決めていないので県は先走りしないと言うかもしれないが、審議会ではぜひ議論してほしい。
25年の県立高募集枠は432学級である。40人学級が35人学級になると、ここで生徒減の2160人を吸収することになり、審議会の生徒減対策の基本に関わってくる。
それに伴って、県立高不足に悩むつくばエリアではもっと深刻な問題が発生する。現在、つくばエリアの県立高は58学級。これが35人学級となると、さらに290人の募集定員減となる。これは35人学級の8学級分であり、高校1校分の定員削減になる。
昨年、県は定員見込み試算を発表した。私たちの会が同一資料で計算すると、つくばエリアは14学級不足だった。これに加えて、審議会資料では24年~33年のエリア生徒数は382人増。それに見合う必要学級数は7学級になる。さらに35人学級を実施すれば、新たな学級不足が8学級上乗せとなるのである。
高校審議会は、以上のような点を視野に入れて十分な議論を行ってほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)