【コラム・山口京子】わが家の階段を一歳過ぎの孫が両手両足を使い上っていきます。少し前まではハイハイだったのに…。厚生労働省の「2024年簡易生命表」によると、24年に生まれた男の子の平均寿命は81.09歳、女の子は87.13歳ということです。ということは、平均的な男の子は2105年、女の子は2111年まで生きることになります。
そのころは一体どんな社会になっているのか。そんなことを思うと不安と希望が入り混じります。今大人の私たちには何ができるのでしょうか。例えば、戦争で犠牲となった人々を支援する。なぜ戦争が起きたのか歴史構造や国際関係を知る。原子力発電の仕組みに無知だったことを反省して東京電力福島原発事故のことをきちんと考える…。

私はいくつかの団体の会員となり、その活動の報告書を読ませてもらっています。一つは、中村哲医師のパキスタンでの医療活動支援を目的に結成されたペシャワール会です。中村医師が設立したPMS(平和医療団・日本)のアフガニスタンでの灌漑水利事業なども支援しています。彼は「私たちはアフガニスタンを救援するなどと大きなことは言いません。その日その日を感謝して生きられる、平和な自給自足の農村の回復が望みです」と述べていました。
二つめは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民救援活動です。収奪的で膨張主義的な大国の思惑により、難民が生みだされています。1991年から2000年まで高等弁務官として活動した緒方貞子さんは「必要に迫られて日本に来る難民の受け入れには寛大でなければなりません。そういう人たちにもう少し真摯に対応する必要があります」と言います。
三つめは、政府や産業界から独立したNPO法人原子力資料情報室です。原子力利用の問題点に関する資料を集め、そこで得られた情報を発信し、市民による脱原発活動を支援しています。設立者の高木仁三郎氏は「問われているのは、科学技術総体とそれにかかわる科学技術者の質である」と言います。平和で持続的な地に足のついた暮らしの在り方とは? (消費生活アドバイザー)