つくば駅前の夏を彩る、恒例の大型タペストリー作品展が商業施設トナリエつくばスクエア トナリエMOG1階のプラザ・パフォーマンス・ギャラリーで始まった。展示されるのは、日本国際学園大学の学生がデザインした作品。同大学とつくば都市交通センターが連携して実施している「TUTCタペストリーアートコンペティション」で優秀作品に選ばれたに2作品が、それぞれ約3週間ずつ展示される。
同展は2015年から始まり今年で11年目を迎える。今年は8月につくばエクスプレス(TX)が開業20周年を迎えることから、例年のテーマである「夏を彩る大型タペストリー」に「つくばらしさ」をテーマに加えて作品を募集した。応募のあった7作品から、生井妃萌乃さん(20)の「水鏡」と、鈴木翔斗さん(21)の「ガマと筑波山」が選ばれた。
同大情報デザイン学科3年の生井さんは、湖に映る夏の青空と、筑波山を描いた。筑波山の二つの峰を右上に天地逆さまに描き、大空を舞う鳥と漂う白い雲の姿を、水面の揺らぎとともに鮮やかに表現した。生井さんは「夏の涼しさを幻想的にイメージした作品。選ばれてうれしいし、これほど大きな作品を作ったことはなかったので自信になった」と受賞の喜びを語ると、「大学では、カフェなどお店のチラシやポスターを制作している。将来はデザインを通して自分が作りたいものを届けていきたい」と今後の目標を話した。
同じく情報デザイン学科3年の鈴木翔斗さんが描いたのは、筑波山ロープウェイつつじケ丘駅前にあるガマ大明神だ。2021年に閉館した、三井谷観光が運営していた食堂や物産展、子ども向け遊具を併設した観光施設「ガマランド」の敷地内に今もある高さ約5メートルの大型のガマを描き、下から見上げる大胆な構図が評価された。
鈴木さんは「ガマの迫力が伝わるデザインにしたかった。今回の作品のために改めて筑波山に行ってみると、目の前に広がる自然など筑波山の新たな魅力に気づく機会になった。筑波山にはガマの油売りなど他にはない魅力的なスポットがある。受賞には驚いたが、とてもうれしい。将来はデザインを生かした仕事に就きたい」と語った。
選考委員長を務めたつくば都市交通センター理事長の関俊介さんは「今年はTX開業20周年にちなんでつくばをテーマに設定した。センター地区の交通インフラを支える立場で、つくばを盛り上げ、にぎわいの演出に貢献できればと考えている。応募作品には、夏のイメージにつくばをどう表現するか工夫した作品が多かった。受賞した2作品を通じて、道行く人にもつくばの夏を感じていただきたい」と語った。
日本国際学園大学教授で審査員の高嶋啓さんは「応募作品には、つくばに広がる田んぼや、TXの車両、祭りつくばのねぷたなどがあった。大きくメッセージが入るなど、遊び心を取り入れたユーモアあふれる作品もあった。受賞した作品を通じて、つくばの新たな一面を知ってもらう機会になるとともに、清涼感を感じてもらえたら」と語った。(柴田大輔)
◆「TUTCタペストリーアートコンペティション」優秀賞受賞作品による大型タペストリー展は、つくば市吾妻1-6-1 トナリエつくばスクエア トナリエMOG1階プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで9月8日(月)まで開催。生井妃萌乃さんによる「水鏡」は7月28日(月)から8月19日(火)まで、鈴木翔斗さんによる「ガマと筑波山」は8月19日(火)から9月8日(月)まで。入場無料。