【コラム・片岡英明】2024年から土浦一高の募集学級が4クラスになり、昨年の土浦市内8中学からの入学者が18人に減少したのには驚いた。土浦一高には附属中(2021年設置、定員80人)から内進生も入るので、今年の市内小学校から附属中に合格する人数に注目していた。
今年の市内小学生の土浦一高附属中への受験者は初年の21年(71人)と比べ3割減の48人、合格者は初年(25人)比5割減の12人となった。市内16小学校で12人だから、1校1人以下である。これは土浦市と土浦一高にとって大きな問題と言える。
地元の受験者減は地域にとって同高が遠い存在となり、学習目標から外れたことになる。それは、土浦一高側にとって新たな魅力発信が必要になったことを意味する。
中高一貫は教師づくりが鍵
茨城県は21年から地域の伝統高校10校に付属中を設置。一方、並木中等、古河中等に加え、勝田高を中高一貫に移行させた。その結果、県内には県立中が13校もある「中高日本一」の県となった。それに見合う教員と施設は十分だろうか。
中高一貫で成果を上げている私立校は、まず教師の個性を認め、個性豊かな教師たちがチームを組み、6年間を見通して指導を行う。卒業生を出すと担任を1年間外れ、次に新しい学年のチームをつくるサイクルがある。だから、自然に20年以上、3サイクルを体験した教師が学年の中核として育つ。
つまり、中高一貫は教師づくりが鍵だ。中高一貫を成功させるには、中心的な教師集団を育て、20年以上同一校に勤務する人事制度が必要である。学校側の安定した指導が地域に見えれば、地元との距離は近くなる。
中学校舎と体育館は必須
付属中が学年1・2学級でも、中学時代は中学の仲間と共に育つ場所が必要だ。同じフロアーに中高同居は安上がりだが、中学用の校舎と体育館は必須である。県内の市立中学では、学年が1・2学級規模でも体育館をはじめ多くの教育施設がある。
付属中を設置しても教室は増やさず、その分の高校定員を削減して調整するという構えでは、受験者減と受験生の苦労につながる。
高校を4学級から6学級に
付属中設置から5年が経ち、土浦一高・附属中の課題が少し見えてきた。「教育は百年の計」であり、始めたものを止めるわけにはいかない。ならば、受験者減の意味を受けとめ、教師の力量を高め、施設の充実をお願いしたい。
すると、県立中の環境改善は少数生徒への配慮であり、公教育としてはどうかという疑問が発生する。そこで、多くの地元の生徒のために、土浦一高の定員を4学級から6学級に戻してはどうか。
定員を増やし、教育環境を改善すれば、地域での魅力は高まる。そうすれば、多くの地元生徒が土浦一高を目標校に定めると考える。(元高校教員、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)