【コラム・浅井和幸】小遣いをあるだけ使ってしまう。おやつをあるだけ食べてしまう。そのようなことで、子供のころに親に怒られた経験は誰にでもあると思います。ですが、大人になってもその癖(くせ)はなかなか治らない。
それどころか、優秀な人が集まっているはずの官僚制を俯瞰(ふかん)した法則で、パーキンソンの法則が70年ほど前に提唱されました。英国の官僚制の話らしいですが、予算や人や時間がある分だけ、官僚たちは増長していくという法則です。
具体的には2つの法則が提唱されました。第1法則:仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。第2法則:支出額は収入の額に達するまで膨張する。税金は、年度区切りの短期的な考え方、その年の収入は使い切るとの考えがあるからかもしれません。
私が法人や個人で対応している生活困窮者でも、短期的に物事を捉えて月の収入をその月で使ってしまい、数年に一度の車検やアパートの更新料、突発的な病院代が払えなくなる人がいます。また、毎日のガソリン代は工面できるけれど、家賃は払えなくなる人もいます。
さらに、月収をその月に使い切るだけでなく、給料の週払い・日払い、そして来月の収入を見越したクレジットカード払い、借金、給料の前払いになります。お金の計算は結構難しいもので、なかなか教育されない分野です。
まじめにやっていればよいというイメージだけで金銭収支を捉えている人も多いことでしょう。このように考え、借金は悪として受け入れない、上記とは反対の間違いにはまってしまっている人も多いはずです。財務諸表などの中の資産と負債の勉強まではなかなか手が出ないものですよね。
タイムパフォーマンス
話をパーキンソンの法則に戻して、皆さんも日々の動きに当てはめて考えてみてください。お金をあるだけ使っていないでしょうか。時間もあるだけ自分の意図しない使い方をしていないでしょうか。この法則の中では、1時間で終わる会議を2時間に設定すると、同じ内容で2時間使ってしまうとも言われているようです。
「タイパ」という言葉を使う方もいます。時間に対する満足度=タイムパフォーマンスの略です。映画や動画を3倍速で見る若者は、そこで浮いた3分の2の時間を何に使っているのでしょうか。もちろん、それが楽しい時間であればよいと思います。浮いた時間で、嫌な人のことや嫌な仕事のことを考え続けるよりはずっとよいでしょう。
短期・中長期的に、自分も周りも笑顔になれるような時間の使い方は何かと悩む時間をつくるとよいかもしれません。(精神保健福祉士)