気象庁気象研究所(つくば市長峰)と国立環境研究所(つくば市小野川)は25日、研究の連携と協力を促進するための基本協定を締結した。気象研の気候変動予測に係る知見と、環境研の環境影響評価や気候変動適応の知見を融合させることにより、自然災害などの課題に関する研究をより一層推進する。
協定締結式には気象研の中本能久所長、環境研の木本昌秀理事長が出席し、協定書に署名した。筑波研究学園都市の研究機関同士の包括的な連携協定は、環境研が一昨年に防災科研(つくば市天王台)と結んだのに次ぐ2例目、気象研は初めての締結という。
両研究所は学園西大通りをはさんでほぼ正対する立地にあり、これまでも多くの研究プロジェクトで研究者個人レベルでの連携は行われてきた。
一例をあげると、環境省は温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)を打ち上げて、宇宙から地球の二酸化炭素濃度の測定などできる観測を行っており、そのデータ整理を環境研が担当している。気象研との連携ではモデルを融合して、どの国からどのくらいの二酸化炭素が出ているのか、気候変動問題に関する国際的な枠組みであるパリ協定に基づく削減の度合を測る研究に着手している。
「こうした連携の積み重ねがあったから今回の協定に至った」と気象研の中本所長。「地球温暖化や気候変動予測の研究成果を共有し、環境影響評価や適応に生かしていければ将来の持続可能性に対してもデータを提供していけると考えている」という。
「計算のメッシュが粗すぎるデータは地域で利用できるよう細かくするダウンスケーリングの技術を用いるなど、ユーザーが使いやすく分かりやすい形での情報発信につなげていきたい」(木本理事長)ともしている。(相澤冬樹)