【コラム・富嶋稔夫】認定NPO法人宍塚の自然と歴史の会(土浦市宍塚)では、春になると毎年、里山のゴミ拾いをしています。今年も3月20日の春分の日の午前中、16名の方(うち子ども3名)に集まっていただき、ゴミ拾いを行いました。前日は雨、筑波山はうっすら雪化粧していましたが、お彼岸のこの日は、風は冷たいものの晴れ上がり、絶好の野外活動日和。
ゴルフ練習場からコンビニに抜ける未舗装の通り(通称鎌倉街道)を中心に、大池堤防辺りのゴミも拾うことができました。鎌倉街道沿いは例年より少ないようでしたが、少し里山に分け行ってみると、家電類少々、一斗缶も多量に出てきました。
当会のホームページを見ると、最初の里山のゴミ拾いのは2001年2月11日です。今から24年前になります。記録には「他の里山に比べると大池はゴミが少ないとはいえ、集めてみるといまさらながらゴミの多さに愕然(がくぜん)としました」とあり、大池周辺の弁当や飲み物類、鎌倉街道沿いの家庭ゴミのほか、洗濯機やクーラーといった家電、廃材、タイヤ、ドラム缶などの粗大ゴミを回収したと書かれています。
以後2005年まで、大量のゴミを回収した様子がつづられていますが、2006年になると「ゴミの量が少なくなってきた」とあります。継続して行ってきた効果が現れてきたものと、当時の書き手は評価しています。
ゴミ拾いの名称も、最初は単に「ゴミ拾い」だったものが、2005年に「里山クリーン大作戦」となり、その後「ゴミ拾い」に戻ったりしていますが、2018年から現在の「春の里山ゴミ拾い大作戦」になりました。ここ数年、回収量は軽トラにして3~4台分程度と、以前に比べれば落ち着いていると言えるでしょう。
とはいえ、一見きれいな里山ですが、実地にやってみると、意外とゴミが捨てられていることに改めて気づかされます。
うさぎ追いしかの山、…
2025年3月号の「図書」(岩波書店のPR誌)に、解剖学者・養老孟司氏が「環境と自己」という題名で次のように書いていました。「『うさぎ追いしかの山、小鮒(ブナ)釣りしかの川』は本来自己を構成するものだったが、外部的、客観的な世界に移った。私は子どもたちには、田んぼや畑、里山は将来の君たちだよ、と教える。食物が体を作るからである」 。身近な里山が外部的・客観的な世界となり、ゴミの捨て場になってしまったが、巡り巡って将来の自分になるのだと思えば、そうそうゴミを捨てられなくなるはず。ではありますが、現状ではゴミ拾いをしなくて済む日は容易には来そうにありません。日ごろの里山への感謝を込めて、これからも春の里山ゴミ拾いを行っていけたらと思っております。(宍塚の自然と歴史の会 会員)