水曜日, 10月 29, 2025
ホームつくばちょっと先の未来に出会える 10年ぶり常設展示施設を一新 産総研つくば 

ちょっと先の未来に出会える 10年ぶり常設展示施設を一新 産総研つくば 

完全予約制 4月1日オープン

産業技術総合研究所(産総研、AIST)は、つくば市東、つくばセンターにある常設展示施設の展示内容を一新し、「AIST-Cube(アイスト キューブ)」と改称して4月1日にリニューアルオープンする。

これまで一般向けに「サイエンス・スクエアつくば」として公開されてきた展示施設の10年ぶりのリニューアル。新事業創出をめざす企業、研究を志す学生たちと研究成果を体感しながらコミュニケーションを深めて、新たな価値の創出につなげていくのが目的で、4月からは完全予約制になる。

社会課題20テーマで

施設は、エントランス部分を除くと約500平方メートルの広さ。展示は、産総研が取り組む20の社会課題をテーマ化した3つのゾーンで展開される。①エネルギー・環境・資源制約への対応②人口減少・高齢化社会への対応⓷レジリエントな(自然災害などからの回復力をもつ)社会の実現-の3ゾーン。

具体的には、安全に大量の水素を貯蔵できる水素吸蔵合金、音楽と歌詞を楽しむ新表現「リリックアプリ」、特殊なゲルで屋根に積もった雪を滑り落とす技術-などの開発がテーマ化された。

産総研の研究拠点は全国展開されていることから、現地映像や電子顕微鏡画像で紹介するAIST DISCOVERY(アイスト ディスカバリー)のゾーンも設けている。幅11メートルの大型スクリーンに展開される映像で、研究の最前線を体験できる。

最新の研究成果にとどまらず、その成果が社会に実装されたらどうなるのかなど“ちょっと先の未来”と出会える空間を意図したといい、内容は適宜更新され、テーマの入れ替えも行われるという。

産総研の宮崎歴ブランディング・広報部長は「フラッと来てのぞいてみるという見学の仕方はできなくなるけど、予約はスマホから簡単にできるので、たとえば地質標本館を見にきたついで寄りたくなったら試してみて。きっと発見があるはず」という。(相澤冬樹)

◆AIST-Cubeはつくば市東1-1-1、産業技術総合研究所つくばセンター中央事業所内にある。開館時間:午前9時30分~午後5時、毎週月曜休館。入館無料。見学は完全予約制。AIST-Cube公式ホームページから予約できる。問い合わせは電話029-862-6215(同ブランディング・広報部)へ。

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