金曜日, 12月 19, 2025
ホームコラム古流武術家 早坂義文さん《ふるほんや見聞記》1

古流武術家 早坂義文さん《ふるほんや見聞記》1

岡田富朗さん

【コラム・岡田富朗】早坂義文さん(66歳)は「龍ケ崎光道館」という道場を開設しています。根岸流手裏剣術第七代宗家でもいらっしゃいます。この道場では、琉球王朝時代の武術、根岸流手裏剣術、無比流兵杖術、山本流居合術などの武術を伝え、現代武道とは異なり、競技武道は一切行わない古流の武術を伝えています。 

道場には、日本のみならず世界中から門を叩(たた)きに武道愛好家が訪れます。訪問した日も、ドイツから沖縄古武術の稽古に来た方がいらっしゃいました。空手人気から始まり沖縄の武術は世界中に1億を超える愛好家がいるとも言われています。

しかし、世界中で現在人気を得ている空手は、沖縄の伝統的な空手を基に、剣道のしない競技を参考に寸止めなどをルールに取り入れ普及したもので、王朝時代の武術とは異なります。近代空手を沖縄から本土に広めたのは富名腰義珍氏で、嘉納治五郎の支援を受け慶応大学から始まりました。

茨城県の鹿島地方は古来、大和朝廷の東国経略の拠点として重要な地政を占め、常陸国一の宮・鹿島神宮を中心に栄えてきました。千葉県香取市の香取神宮と並んで、鹿島神宮の祭神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)に象徴される、文字通り武道発祥の地であり、室町後期には、剣聖・塚原卜伝や松本備前守尚勝が世に出て一層武の里の名を高めました。

筑波大学の武道学研究室

また、筑波大学には武道学研究室があり、筑波大学の前身である東京教育大学に武道学科が設置されるに伴い、武道論講座が始まりました。武道論講座は、昭和44年(1969)に渡辺一郎助教授が専任として加わり「武道史概説」「武道伝書演習」「武道資料購読」の講義を開始したことにより、講座としての体裁が整えられていきました。 

武道に関する貴重な資料も多数お持ちの早坂さんですが、早坂さんにとって大切な本をお伺いしたところ、今村嘉雄先生の「武道歌撰集」(第一書房)や「日本武道体系」(同朋舎出版)などをご紹介して頂きました。今村嘉雄先生も東京高等師範学校や東京教育大学で教授としてご活躍された方です。

今村嘉雄先生の「武道歌撰集」

他にも、渡辺一郎先生の「日本武道学研究」(島津書房)なども繰り返し手に取ってきた1冊として挙げてくださいました。筑波大学には、渡辺一郎先生の旧蔵書398冊を収めたコレクションがあり、その中には近世武芸に関する貴重な史料がたくさん含まれています。これらの本は、武道学や日本学の研究において非常に貴重な役割を果たしています。

今回は、武道の世界で12歳から柔道を始め、15歳で沖縄の武術に出会い、今では武芸百般に通じる早坂義文さんにお話を伺いました。(ブックセンター・キャンパス店主)

【おかだ・とみお】古書店主。駒込、巣鴨(庚申塚)、赤羽西口、旧軽井沢などで店舗営業をしたのち、現在、筑波大学近くにある古本屋「ブックセンター・キャンパス」(つくば市吾妻3丁目)を営業。88歳、つくば市在住。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

5選手がJリーグへ 筑波大蹴球部

筑波大学蹴球部からJリーグへ羽ばたく5選手の合同記者会見が19日、つくば市天王台の同大大学会館で開かれた。5人のうち3人は大学サッカーを1年前倒しで退部し、すでにプロ選手として活動を始めている。残る2人は蹴球部の主力として今季の関東大学サッカーリーグ1部優勝に貢献し、現在も全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)で優勝を目指して激闘中だ。 5人それぞれ意気込み サイドバックの安藤寿岐は1月に退部しJ2サガン鳥栖へ加入。「けがで思い描いたシーズンとは違ってしまったが、鳥栖の顔になり、自分を見にお客さんが来てくれるような選手になりたい」と来季の巻き返しを誓った。 センターバック兼ボランチの加藤玄は今季J1名古屋グランパスで公式戦10試合に出場。「(途中出場が多く)出場時間を伸ばせなかった。来季こそ自分の価値を証明したい」と決意を見せた。 ゴールキーパーの佐藤瑠星はJ1浦和レッズに加入が内定。昨年の天皇杯筑波大ー町田ゼルビア戦ではPKセーブで勝利をたぐり寄せる活躍をした。「レッズには西川周作さんら優れたGKがいる。全員から学べることを吸収しスタメンを勝ち取りたい」と語った。 センターバックの諏訪間幸成は今季J1横浜Fマリノスで14試合に出場。「プロは小さい頃からの夢。目の前にチャンスがあるなら行くべきだと思った。フィジカルの強さや判断スピードなどを鍛え、勝利に貢献できる選手になりたい」と話す。 サイドハーフの山崎太新はJ2大分トリニータに加入内定。今季は主将を務めチームの精神的支柱になった。現在はインカレ予選リーグを突破し、21日に準々決勝の大阪体育大学戦を控える。「チームの目標である日本一を何としても勝ち取りたい。個人としては得点やアシストなど、目に見える結果でチームを勝たせる活躍をしたい」と述べた。 早期退部が新たな刺激に 近年、大学サッカーを途中で切り上げてプロ入りする例は増加傾向にあるが、一度に3人が出るのは筑波大でも初めて。さらに7月にはエース内野航太郎がチームを離脱し、デンマーク1部のブレンビーに加入した。これも快挙ではあるが、チームとしてはさらに苦しい状況に追いつめられた。「実力ある選手たちに頼れず、チーム運営としてもぎりぎりで、最初は不安しかなかった」と小井土正亮監督は明かす。だが残った選手たちには、4つのイスが空く新しいチャンスに映った。 「ポジションを得た選手たちが予想以上にたくましく成長してくれた。サイクルを1年でも早く回していくのが、みんなにとって良いことだと感じた」と小井土監督。、早期退部についても「次のキャリアに進むチャンスがあるなら応援してあげたいし、選手としての成長を妨げられない。大学の価値を上げることにもつながる」と、ポジティブにとらえる。 ダブル優勝で集大成を 関東リーグで2年ぶり17回目の栄冠に輝いた筑波大が、今季の集大成として次に狙うのは9年ぶり6度目のインカレ優勝だ。「筑波大がインカレと関東リーグの2つのタイトルを同時取得するのは、実現すれば1980年以来45年ぶり。それくらい難しいことに取り組める権利が今年はある。また新しい扉を開けるよう、あと3つを勝ち抜いていきたい」と小井土監督。 「本当に難しい挑戦であることは理解しているが、成功につなげられる自信と強さが今のチームにはある。それを結果で証明し、歴史に名を刻みたい」と山崎主将は気勢を上げる。(池田充雄)

日本ハムに1位指名の大川投手 母校・常総学院に凱旋

今年度のプロ野球ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズに1位指名された大川慈英投手(22歳、明治大学4年)が18日、母校の常総学院高校(土浦市中村西根)で開かれた凱旋歓迎会に出席、「こういう形で戻って来られてうれしい。ここまで来れたのはチームメートや指導者などいろんな方々のおかげ。しっかり結果を出して恩返ししたい」と話し、野球部の後輩に対しては「大事なことは甲子園。優勝して島田直也監督を日本一の男にしてほしい」と発破をかけた。 凱旋歓迎会で同学園の大久保政行理事長は「入団契約は大川君の努力と才能が生んだ結果。ご両親や家族、応援してくれた皆さんらに感謝を忘れず、厳しいプロの世界で活躍し、後輩やわれわれに夢と希望を与えてくれる選手になってほしい」と述べた。 続いて中学校高校生徒会が花束を贈呈。高校生徒会長の中島サラ萌奈さん(2年)は、「自分たちの学校からこのような素晴らしい先輩が出たのはすごいこと。これからも大変なことはいっぱいあると思うが、私たちが応援しているので頑張ってほしい」と思いを述べた。 大川選手と生徒会メンバーは一問一答のインタビューやサイン会で交流。その後、後輩の野球部員と記念撮影し、またグラウンドでも交流した。 大川選手は神奈川県出身。2019年に常総学院高に入学し、野球部では20年秋から公式戦に出場。同年秋の関東大会で準優勝し、21年春の甲子園選抜大会に出場。初戦の敦賀気比戦では8回から登板し、延長13回まで6イニングを投げ、被安打4、4奪三振、自責点0で勝利投手となった。 明治大では最速155キロのストレートを武器とする救援投手として活躍。日本ハムの新庄剛志監督らにも、そのストレートのクオリティが評価された。 「球筋は高校生のときから並外れていた。低めで全部勝負できる制球力があり、球速も当時145キロ出ていて、そこから大学でしっかり10キロアップした。でもプロは球速だけじゃない。制球力に磨きをかけ、場面場面を考えた投球でチーム内で信頼を勝ち取ってくれれば」と島田監督の評。 2020年から常総学院高で采配を振るう島田監督は、大川選手について「自分が監督になって初めての教え子。その彼がプロになったのは感慨深い」と感想を述べ、また彼が、奇しくも自身と同じ日本ハムでプロのキャリアをスタートすることに関しては「自分のときよりレベルも上がっているし、いい投手が回りにたくさんいる。ここからは勝ち取っていかないと。彼ならできる」とエールを送った。(池田充雄)

留学生の授業料値上げへ 筑波大 27年度入学から

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は18日の定例会見で、留学生の授業料を2027年度入学から値上げすると発表した。国立大学は日本人学生か留学生かで授業料に差はなかった。差を付けるのは同大で初めて。国内では東北大学などが留学生の授業料値上げを発表している。 筑波大の値上げ額は大学生、大学院生いずれも年間7万3000円で14%の引き上げとなる。同大の授業料は大学生、大学院生いずれも同額の年間53万5800円で、文科省が定める標準額と同じ。値上げ後の留学生の授業料は60万8800円になる。研究生や科目履修生などの値上げ額は3万6000円。2026年度までに入学した留学生の授業料は現行のまま。 一方、今回の値上げ額は現段階で、留学生の教育・生活環境の充実に必要な最低限の金額だとし、今後も留学生数や物価動向など状況に応じて見直しを行うとする。 留学生を より受け入れるため 値上げの目的について同大は、優秀な留学生の獲得競争が世界的に激化する中、留学生の教育・生活環境をさらに充実させて、優秀な留学生を確保するための値上げだと強調する。 値上げによる増収分はすべて、留学生の教育・生活環境をさらに充実させるために充当し、①各種支援体制の充実②多様な留学生に対応した教育・相談体制の充実③個々の進路に応じたキャリア支援体制拡充④英語コースの拡充ーなどに充てるとする。 同大の留学生数は約2500人。毎年800人程度の留学生が入学し、値上げ初年度の27年度の増収は約5840万円になる。留学生全員の授業料が引き上げられた場合の増収は約1億8250万円。 国立大の授業料は文科省の省令に基づき、標準額の2割増しまでが上限と定められている。一方留学生の授業料については、国の教育未来創造会議の提言を受けて、文科省が2024年4月の省令改正で上限を撤廃した。筑波大では1年近く前から留学生の授業料について議論を重ねてきたという。 永田学長は「かなり検討を重ねて、学習環境の充実のための積算をして、丁寧に説明をしながら学内のコンセンサスをとって今日に至っている」とし「留学生が増加するという前提でやっている。それなりの受益を受けている方々なのでご理解いただきたい」と述べ、加藤光保プロボストは「留学生を、より受け入れる方向で考えている。留学生に特化した学習環境の改善のために行う」としている。(鈴木宏子)

老舗のパン屋さん「ピーターパン」《ご飯は世界を救う》70

【コラム・川浪せつ子】つくば市には多くのパン屋さんがあります。何十年も前から海外の方々が多くお住まいだったからのようです。つまり、パン食の方が多くて―ですね。そのため、つくば市は「パンの街」とも呼ばれています。 その中でも一番の老舗のお店、「ピーターパン」さん(つくば市並木)。合併してつくば市ができる前の1979年、旧桜村に開業したそうです。なんと、開店から46年にもなります。店主さんは高齢にもかかわらず、街の皆さんの胃袋と心を癒し続けていらっしゃるわけです。 現在は並木に1軒のみ。以前、吾妻にもありましたが、数年前に労働力不足のため閉店しています。ですが、TXつくば駅(地下1階)改札口近くにある「つくば良い品」でも販売されています。TXで都内から帰るとき、必ず買っています。 並木店は我が家から少し距離があり、このところご無沙汰でした。それが、最近、はまっています。きっかけは、SNSのXの投稿を見てからです。2年前、地域の事柄を知りたくて、アカウントを作りました。そこで「ピーターパン」にはイートインもあることを知り、通うようになりました。 10円でコーヒーも飲めます パンの購入だけでなく、「イートインします」と、レジ横の紙コップを差し出すと、10円でコーヒーを飲めます。これって、今風にいうと「神価格」ですよね。「物価高の中、大丈夫なのだろうか」と心配になります。 先日イートインしたとき、1冊の写真集を見つけました。いろいろな小物を飾っている棚に、見たことがある男性の写真集が…。朝ドラ「あんぱん」の主役やなせたかしさんの弟を好演した方でした。茨城県出身とのこと。並木近くに住み、ここに通っていた? Xですが、いろいろ役立っています。私は、つくば市周辺の「絵」になる場所、飲食店を探していますが、情報収集に大いに役立っています。使い方によって、SNSは良くない方に行くこともあるようですが、Instagram(インスタグラム)では世界中の画家さんの絵を見ることができ、大いに参考になります。 そういった絵から刺激ももらい、私の絵も見てもらうことで、やる気が倍増しています。Instagramには同じ志の方の絵がアップされています。いろいろな方と絵の仲間になり、グループ展を見に行くのも楽しみです。(イラストレーター)