【コラム・森本信生】国土交通省は、常磐自動車道路「(仮称)土浦スマートインターチェンジ(IC)」の新規事業化を、2024年9月6日に決定した。土浦市は、すでに2024年度予算でスマートICの調査委託费として3070万円を計上し、2024年4月に、都市計画課内にスマートIC整備推進室も設置、4人の専任職員を配置している。
ICは、土浦市とつくば市の境で、常磐高速道路と交差する土浦学園線(県道24号線)北側に設置し、接続道路は、宍塚、吉瀬あたりの土浦学園線とされている。上の写真は、土浦学園線の桜橋から、常磐自動車道路を見たところであるが、この周辺にICが建設されると考えられる。
詳細な場所は、土地買収などに支障をきたす恐れがあるため、現時点では公表できないとのことだ。建設費用は、高速道路から料金所までを東日本高速道路株式会社が負担、料金所から土浦学園線までを地元自治体が負担する。自治体負担の費用は国の補助が2分の1程度交付される可能性がある。
今後、土浦市では測量を行い、計画を策定する予定ということで、国、東日本高速道路、茨城県などの関係機関と調整しながら、線形などの詳細検討を実施し、具体的な計画が推進される運びとなったら、地元地区への回覽や地元説明会の開催など、段階を踏んで説明していくとのことである。
生物相などへの影響調査が必要
ICの整備は、中心市街地へのアクセス向上およびアクセス圈の拡大に伴う観光振興の支援、新たな土地利用の創出による企業誘致の促進や物流の効率、救急医療の支援、さらには、大規模災害時のリダンダンシー(冗長性)の確保や早期復旧活動の支援などの効果が期待できるとしている。
国交省事の業認可発表時(9月6日)資料では、IC整備効果として「中心市街地へのアクセス向上と防災機能の強化」「物流の定時制向上•物流の効率化の支援」の2点があげられている。
具体的には、「土浦駅・つくば駅」の中心市街地への渋滞箇所を回避や、土浦市上高津地区やつくば市中根金田台地区への所要時間の短縮、定時制の向上があげられている。しかし、すでに建設されている巨大流通施設(ZOZOBASEつくば2、Amazon Flex茨城つくばDS)がある、つくば市の流星台とさくらの森の境に位置する4車線道路である藤沢荒川沖線が、土浦学園線に接続される。
さらに、新たな流通拠点や企業誘致に成功すれば、土浦学園線の交通量は飛躍的に増加するだろう。現時点でも、「つくば市~土浦市間の一部道路区間においては、ピーク時以外でも渋滞が発生」(『TX県内延伸調査の結果について』茨城県政策企画部交通政策課2023年3月31日)とういう認識となっており、さらに深刻な渋滞を招くだろう。
このようなことから、IC利用が想定される地域の開発の進行、それに伴う交通量の昼夜の推定、大気汚染、騒音、振動、道路で削られる予定地の生物相などのIC設置による影響調査が必要だ。(宍塚の自然と歴史の会 理事長)